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なぜあの人は痩せるのに、私は痩せないのか?(前編)~リバウンドのメカニズムを紐解く~

一時的に痩せることは、理論的に言えば簡単だ。

強靭なメンタルを担保に、食事の摂取量を極端に減らせばいい。

これで2ヶ月後のウエディングに、痩せた姿でばっちり写真が撮れれば満足という人もいるだろう。

しかしそんな記念日でもない限り、ある一時点にのみ痩せた姿でいることに、果たしてそこまでの価値があるのだろうか?(その極端なダイエット法は、見るも無残にリバウンドするとわかっているにも関わらず)

もちろん、ダイエットを決意したその時に、リバウンドすることを想定して始める人はいないだろう。(誰もがこれが人生最後のダイエットよ!と願って食事制限なり運動なりを始めるはずだ)

それなのになぜこうも、リバウンドを繰り返す人でこの世は溢れかえっているのだろうか?

今回はこの摩訶不思議な現状に終止符を打ちたいと思っている。

そう、リバウンドのメカニズムを紐解いていこうではないか!

ダイエットを始める前に|モデルはモデル


と、先を急ぐ前に、ダイエットを始める人がまず念頭におかなければいけない大前提をお伝えしておこう。

もし、テレビ画面や雑誌に写るモデルや女優みたいなスタイルを目標にするなら、並大抵ではない覚悟が必要だ!ということ。

モデルや女優は、その美しいスタイルや細さを維持することでお金を稼ぐ。

そうではないその他大勢の人が、それと同じモチベーションを保ち続けるのは相当困難なはずだ。

脂肪をもっと蓄えたいという人体の本能に対して、太ったら仕事がなくなるという危機感を常に持ち続けるモデルたち以上に、強い覚悟でダイエットに挑める決意はできているだろうか?

また、そういった美の基準となってる理想体重は、生物学的に言えば痩せすぎであることが分かっている。

つまり、不健康なのだ。

(最も健康的だと言われるBMI値21~22の見た目では、現代の女性は納得しないのだろう)

もちろん痩せた美しいスタイルでいれば、ファッションも楽しめるし、他人からも褒められる機会が多いのも事実だろう。

そう望む人を私は全力で応援したいし、現に多くの人をサポートしている。

だが同時に、自分の価値観をどこに置くのか考えることも、また重要なのではないだろうか。

野原に咲く鮮やかな花たちが、人間に褒められるようには進化してこなかったのと同じで(花が色づいたのは、昆虫が目を進化させた後だとわかっており、昆虫たちの目を引くために花は色鮮やかに進化したのだ)、

私たちの人体は、現代のモデルのように細く痩せたスタイルを簡単に維持できるようには進化してこなかったのだ。

賢いダイエット法|スピードの出し過ぎは禁物

とはいえ、最高の人生を送るためには、自分の体型やスタイルに自信を持ち続けることは必須である。

では、今の不格好な体とは金輪際おさらばしたいと望む人が、これからとるべき最も効率的なダイエット法は、いったいどういった戦略なのだろうか?

答えの一つは、「スピードを出し過ぎない」ことが考えられる。

説明していこう。

慎重な条件設定により実施された対照臨床試験では、約6週間の集中的なダイエットで10%以上の減量をすると、体が以前蓄積していた脂肪の量を回復しようとするので、その分だけエネルギー消費量や代謝量が減少することが確認されている。

しかもその代謝の低下は、1日の総摂取カロリーの10%に相当する場合もあるという。

Ebbeling,C.B.,JAMA(27 Jun 2012) Effects of dietary composition on energy expenditure during weight-loss maintenance.

こういったメカニズムが発動する理由は、6週間という短期間のうちに体重が激減するため、脳が緊急事態だと認識するからだと考えられる。

原始時代、体重の激減は食料不足を意味していた。

そんな危機的な状況でも生き残るには、エネルギー代謝を節約するのが得策だったのだろう。

今ではそのありがたき戦略が、リバウンドの原因になるのだが。

とにもかくにも、車の運転もダイエットもスピードの出し過ぎは禁物だと認識しておこう。

具体的には、1カ月に1Kg以内くらいがちょうどいい。

(女性の場合、1カ月に1Kg減量しただけでも、その月に妊娠する能力が低下するとも言われている)

それでも短期間にコミットしたい場合は、ダイエットをする目的を慎重に検討しておくべきである。

リバウンドする理由|ダイエットには不向きな私たち

こういった事実から、私たち人間はダイエットに関して不利なメカニズムを備えていると言える。

体重が減り始めて、体重計に乗るのが楽しみな時期に、あなたの脳は太古からの経験を頼りに緊急警報を発令している。

「まずい!食料が足りないみたいだぞ!

このままだと餓死するかもしれないから、エネルギー代謝を落として対応せよ!」と。

ちなみにこのメカニズムの作用は、低脂肪ダイエットの場合が最も大きく、高タンパク低糖質のダイエット法が最も小さいといことが、研究で分かっている。

したがって、テレビCMでお馴染みのダイエットジムで有名な糖質抜きの食事制限のやり方は、短期間に“のみ”コミットする場合は合理的と言っていいだろう。

またこういったことから、全ての脂肪を悪者にする風潮をそろそろ改めた方がいい。

余分な脂肪をそぎ落とすためには、良質な脂肪はむしろ摂った方がいいのだ。

(オメガ3系はもちろんのこと、オメガ6や飽和脂肪酸ですら健康効果が示されている。最もやめた方がいいのはトランス脂肪酸で満場一致だろう。)

エピローグ~ダイエットと交通渋滞の共通点~

ところで、あなたが大事な用事で急いで目的地に行きたい時に、道が渋滞していたらイライラするだろうか?

そんな時は少しでも早くと思って、車間距離をツメツメで運転しているのではないだろうか?

実はこれは間違っている。

早く目的地に到着したければ、車間距離は広く取った方がいい。

そうすれば交通渋滞は緩和される。(ただし全員がこの認識のもと運転しなければ効果はないが)

それと全く同じで、ダイエットを成功して、将来的に理想的な体を獲得したいと望むのなら、急いで体重を減らさない方が得策なのだ。

脳に気づかれないようにそーっと、でも着実にダイエットに取り組むのが何よりの最重要ポイントである。

今回の記事では、そんなお話をしてきた。

さて、この記事の後編では、ダイエットについてもう一つの不思議な疑問にお答えする。

すなわち、あの人が痩せたと豪語しているのと同じダイエット法を実践しているのに、なぜ私はなかなか成果が得られないのだろう?

何で私ばかりリバウンドするのだろうか?

この記事を書いた神尾健太という人物➤https://wp.me/P9oEaZ-41

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