デッキは一つのアート作品。アートの視点からデッキを見る。
はじめに
みなさん、他のプレイヤーが作成したデッキのレシピをどのように見ていますか?
今では、SNSの発展や大会の開催数が増加したこともあり、カードゲーム界隈では非常に多くのデッキレシピを見る機会が増えました。
それに伴い、それなりに強いデッキレシピも簡単に手に入る時代になりました。
しかし、ただ、Twitterなどに流れてきたレシピを呆然と見て、何も考えなしに完コピして回していませんか?
どんなデッキレシピにも、それぞれ、デッキ制作者の思いや考えが反映されているものです。
僕はデッキレシピが出来上がるまでの過程を知ることこそが、カードゲームにおいて強くなるために大変重要であると考えています。
今回は1冊の書籍を通して、デッキというものについて考えていきたいと思います。
1. 1冊の本を簡単にご紹介
今回、参考にするのはこちらの書籍です。
この書籍には、「アート思考」という、最近注目されている考え方について大変わかりやすく書かれています。
この書籍では、アート作品を植物として例えています。
アート思考も、VUCAな時代と呼ばれる現代社会を生きていく上で大変重要な考え方ではあると思うのですが、今回の記事では、この書籍からアート作品を植物として例えている点をお借りしたいと思います。
VUCAという言葉はググったらすぐ出てくるので、調べてみてください。
もし、アート思考についてご興味がある方は、この書籍を読んでみてください。大変わかりやすい上に、内容もかなり面白いので、個人的にはかなりおすすめの1冊です。
美術館に行くのが1つの楽しみになると思います。
さて、話を戻して、アートは植物であるということを、この書籍の内容を少しだけお借りして、していこうと思います。
この書籍に書かれている図をそのまま使うことは気が引けるので、僕が書いたものをここに載せたいと思います。
(参考 『13歳からのアート思考』オリエンテーションより)
この書籍では、アート作品は、「表現の花」「興味の種」「探究の根」で構成されていると説明されています。
それぞれについて、この書籍に即して簡単にまとめてみようと思います。
表現の花→アート作品本体。
興味の種→「興味」や「好奇心」、「疑問」が詰まったもの。アート活動の源になる。
探究の根→アート作品が生み出されるまでの長い探究の過程。
(『13歳からのアート思考』オリエンテーションより)
この書籍には、空間的にも時間的にもこの植物の大部分を占めるのは、目に見える「表現の花」ではなく、地表に顔を出さない「探究の根」の部分です。アートにとって本質的なのは、作品が生み出されるまでの過程の方なのです。(『13歳からのアート思考』オリエンテーションより引用)と書かれています。
つまり、アート作品の大半は、「表現の花」ではなく、「探究の根」が占めているということです。
実際、世界的に価値が認められている作品も、この「探究の根」に価値がついているようです。
(美術館などに行って、なんでこんなものに価値がついているんだと思うことは実際にあると思いますが、実際は作品ができた過程などが重要だったりする。)
2. デッキは1つのアート作品
先ほど、アート作品は「表現の花」「興味の種」、「探究の根」で構成されているという話をしました。
僕はこの話の中に出てくる、「表現の花」はカードゲームにおけるデッキに置き換えることができると考えます。
「興味の種」と「探究の根」もデッキ構築における過程に対して照らし合わせることが可能です。
実際、デッキを作るにあたり、色々なことを考えると思います。
例えば、「環境トップの○○○に勝てるデッキを作りたい」、「○○○と○○○を組み合わせたら強いのではないか。」といった感じです。
僕はこれを「興味の種」であると考えます。
そして、この「興味の種」から、「探究の根」を伸ばしていくことになります。
例えば、「○○○に対して勝てない。どうしよう、○○○を○枚入れよう。」、「○○○デッキのギミックを応用できるんじゃないか。」、「今○○○が環境に多いから、○○○をメタカードとして入れよう。」、「今○○○は環境的にささりが悪いから採用しない。」といった感じです。
これがまさしくデッキ構築における「探究の根」です。
デッキレシピ本体をただ呆然と眺めるだけでは、この「興味の種」と「探究の種」は見えてきません。
ただ、「表現の花」を単体で見ているだけにすぎません。
「興味の種」と「探究の根」について考えることが、デッキレシピを考察し、それを理解する上で1番重要な要素なのです。
デッキ解説記事に需要があるのは、この「興味の種」と「探究の種」について詳しく記載されているからです。
また、「興味の種」と「探究の根」について考えることを怠ると、もとのデッキレシピをより弱いものにしてしまうことにも繋がってしまうので、注意が必要です。
なぜなら、本当はデッキから抜いてはいけないカードを抜いてしまったり、余計なカードをデッキに採用したりすることが起こるからです。
このような事案が発生することを防ぐためにも、「興味の種」と「探究の根」について考えるようにしましょう。
3. 実践編
では、ここまで説明してきた内容をもとにして、先日の大会で使用したゲオルグ天門を題材に、ゲオルグ天門のレシピについて検討してみようと思います。
レシピはこちらになります。
これは、先日使用したゲオルグ天門の『探究の根』を可視化したものです。
大体のイメージを把握していただくことが目的なので、大半の部分を省略しています。
こちらは「MindNode」というアプリを用いて作成しました。
「MindNode」については、以前、僕のYouTubeのチャンネルにおいて解説しています。興味がある方は覗いてみてください。
このように、1つのデッキレシピから「探究の根」はかなり伸びます。
(本当はもっと伸びるとは思うのですが。)
デッキはまさしく、多くの「探究の根」が伸びた1つのアート作品なのです。
1つのデッキに対して、様々な思いがあるものですが、そのデッキレシピの裏について深く理解することが重要です。
4. もう一つの大切なこと
話はかなり逸れますが、最近、強くなるために、チームや調整グループといったグループが作られているのをよく耳にします。
確かに、一人でデッキについて考えるよりも、複数人でデッキについて考える方が基本的には効率が良いことは明らかでしょう。
しかし、グループにおいて、どのような情報を互いに共有し合うかということは大変重要なことであると僕自身は考えます。
いわゆる「表現の花」の部分の共有で終わっていませんか。
花の部分だけではなく、「探究の根」の部分についてしっかりと共有を行えていますか?
「興味の種」と「探究の根」についてグループのメンバーで考察を深めることこそ、グループの活動として大切なことではないでしょうか。
そして、「興味の種」と「探究の根」を言語化、そして、視覚化をすることこそがグループ全体の情報の共有とレベルの向上に繋がるのではないでしょうか。
さらに、新しいデッキは、この「興味の種」と「探究の根」を明確にすることで生まれてくるものだと思います。
これを明確にすることは、例えば、「既存のデッキタイプに対して、○○○という弱点があるから、○○○をいれよう」、「○○○を入れることによって○○○デッキ対面の○○○という状況を打開できそう。」といった感じで、新たなデッキを生み出す時のヒントに繋がります。
「興味の種」と「探究の種」を明確化、そして、視覚化することはグループとして活動する上で、是非実践してほしい内容であると思っています。
(これに関しては、自分自身、そして、所属しているグループにおいても課題であると思っています。)
5. おわりに
今回は、『13歳からのアート思考』を読んで、これとデッキ考察を絡めて記事を書いてみたいなという思いから、実際に執筆するに至りました。
実際に書いてみると、結構基本的な内容ではあるなとは思いつつ、個人的にも、自身のデッキ調整方法や考察について、原点に立ち返って考えることができる機会になりました。
本記事で紹介した『13歳からのアート思考』につきましては、かなり読みやすい上、内容も美術に興味がない方でも楽しんで読めるようなものになっていると個人的には思っているので、興味がある方は是非読んでみてください。
本記事では、投げ銭を設定していますが、投げ銭による追加文章はありません。
もし、この記事が良いと思われた方は、投げ銭していただけると嬉しい限りです。
この記事を通して、皆さんが良いカードゲームライフをおくることができますように。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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