3万字の記事を届けるために、ライターのわたしが実践した8つのこと
文章を誰かに届けるのって、とても難しい。
どんなに一生懸命に書いたとしても、相手が「もういいや」とブラウザを閉じてしまったら、それで終了。
その先にものすごくいいことが書かれていて、その人の人生を変えうるような文章だったとしても、残念ながら一生届かなくなってしまいます。
こんにちは、カミムラナナといいます。
わたしは『素敵なギフト』というWebメディアで編集・ライターをしています。
『素敵なギフト』ではギフトにまつわるさまざまな記事を制作していて、6月には「出産祝い」の記事を公開しました。
なぜ、この記事を制作することになったかというと、わたし自身が出産祝い選びで悩んだから。
実は友人がもうすぐ出産予定で、「そろそろ出産祝いを決めようかな」とギフトを探し始めたものの・・・。
ベビー用品のあまりの多さに「何が喜ばれるのか全然わからない!!」と困ってしまったんです。
そこで、「自分のように悩む人を少しでも減らしたい」という思いで、出産祝いの記事を書きました。
そうして、やっと出来あがった記事は、文字数にしてなんと約3万字・・・!
伝えたいことがたくさんあって夢中で書いていたら、気づけば「ナイル川かい!」とツッコミたくなるほど長い記事になっていました。
「そんなに長い記事、読む人いるの・・・?」と思われるかもしれません。
でも、この記事を読んでほしい方、つまり、わたしのように出産祝い選びで悩んでいる方に読んでもらえるように、わたしなりにたくさん試行錯誤をしたつもりです。
そして、本当に有り難いことに「読んだよ」「参考になったよ」といったうれしい声もいただけたんです😭(飛び上がるほど感激してしまう!)
今回は、出産祝いの記事を読んでもらうために、わたしが実践した8つのことを書いてみます。
「冒頭文で『自分のための文章だ』と感じていただく」「画像や表など、文章以外の表現方法も取り入れる」など、いろいろありますが、共通して言えるのは「大勢に向けて書く」のではなく「1対1で会話するつもりで書く」ことだと思っています。
それでは、お付き合いいただけるとうれしいです!
1.冒頭文で「自分のための文章だ」と感じていただく
どんなに頑張って書いたとしても、最初に「これは自分にとって必要な文章だ!」と読者の方に感じていただけなければ、読み進めてもらえないと思います。
なぜなら、自分に必要のない文章を読むのは、時間がもったいないからです。
だから、出産祝いの記事を書くときは、読んでほしい人がどんな悩みをもっていて、どんなことが書かれていたら読みたくなるのかを徹底的に調べることから始めました。
具体的には、身近な人にインタビューしたり、SNSの投稿を見たり、Yahoo!知恵袋などの悩み投稿サイトで出産祝いに関する悩みを調査したりしました。
そして、読んでほしい人の悩みに寄り添い、1対1でお話をするつもりで冒頭の文章を書きました。
「悩みに寄り添う」というのは、人の「痛み」や「憂い」を自分事のように考えられることだと思います。
だから、冒頭の文章では、わたし自身も同じ悩みを持っていることを打ち明け、「あなたと一緒に悩みを解決していきたい」という思いもお伝えしました。
読者の方々を「大勢」ではなく、画面の向こうにいるたった1人の「あなた」ととらえて、まるで語りかけるように書く。
そうすることで、「この文章は自分のために書かれている」と思ってもらえて、読み進めてもらえる可能性が高まるのではないでしょうか。
(誰だって、自分のために向けられた言葉はつい気になりますもんね)
冒頭の文章は、記事を読んでほしい人と1対1の関係を築くための大切なスタートライン。
記事の「命」と言っても大げさではないと思っています。
だから、わたしが冒頭の文章を書くときは何度も何度も練り直します。
出産祝いの記事の冒頭文も、気づいたら8時間以上書いていました・・・!
ところで、文章を読んでもらうときは、「この筆者とは話が合うな」と共感してもらうだけでなく、「この筆者の話なら聞いてもいいな」と信頼してもらうことも大切だと思っています。
次は、読者の方の信頼を得るために実践したことを書いてみます。
2.当事者や専門家に意見をうかがう
出産祝いの記事のゴールは、記事を読んでくれた人に素敵な出産祝いを見つけてもらうこと。
そして、その出産祝いを贈った相手に喜んでもらうことです。
でも、わたし自身は出産祝いをもらったことがないので、どんなギフトが喜んでいただけるのか、想像することしかできません。
(なんせ、ベビー用品の多さにビックリしていたくらいですから・・・!)
そんなわたしからギフトをオススメされても、記事を読んでくれる人は「この筆者が言うことは本当に信頼できるのかな?」と不安になってしまいますよね。
だから、出産祝いの記事では、ママ・パパ100名にアンケートをとったり、ママを募ってオンライン座談会を開いたりして、出産祝いをもらったことがある「当事者」の率直な意見を集めました。
一方、今回はオススメのギフトだけでなく、出産祝いを贈るタイミングや予算といったマナーも紹介したいと考えていました。
そこで、マナーについて解説する文章は、マナーの「専門家」である諏内えみ先生に監修をお願いしました。
「わたし自身が経験していないことや、専門外のことは書く資格がない・・・」
そんな心配をしていましたが、当事者や専門家の方にうかがった意見をお伝えすることなら、わたしにもできる。
そして、そうした意見こそ、出産祝いに悩んでいる人が本当に知りたい情報なのだと思います。
ちなみに、読者の方に「この記事は信頼できそう」とすぐに思ってもらえるよう、冒頭の文章でも「記事制作のプロセス」や「記事制作に協力していただいた方」をしっかりと紹介するようにしました。
続いて、記事をスラスラと読んでもらえるように、全文を通して心がけていることを書いていきます。
キーワードは「ツッコミ」です。
3.読み手の「心の声」に答えながら書く
人が文章を読むときは、文字を機械的に目で追っているわけではないと思います。
文章を読みながら、心の中で「それってどういうこと?」「ああ、なるほどね」など、さまざまなツッコミを文章に対して入れていると思うんです。
なので、記事を制作するときは、一文書くごとに「これを書いたら、読者の方はどう感じるかな?」「どんなツッコミが入るかな?」と考えるようにしています。
そして、行間にある「ツッコミ」や「疑問」にどんどん答えていくようなイメージで、文章を展開していきます。
たとえば、出産祝いの記事には以下のような文章があります。
出産祝いは、ママと赤ちゃんが退院する生後1週間から、お宮参りをする生後1ヶ月のあいだに贈るのが一般的。
この文章を読んだときに、「えっ、お宮参りって何?」と疑問に思う方がいるかもしれません。
そこで、次の文章でお宮参りについて軽く解説しようと考えました。
ただ、お宮参りの話は、出産祝いの記事の本題ではありません。
なので、わたしからの補足コメントのようなイメージで、吹き出しスタイルの文章にしました。
行間にある「心の声」に耳を傾けながら書いていくと、読者の方と一緒にひとつのゴールに向かっていくような、論理的な文章になるのではないでしょうか。
また、一方的な語りではなく、会話のキャッチボールをしていることになるので、「文章が長い」と感じにくくなるのではないかと思っています。
さて、先ほど吹き出しスタイルの文章をお見せしましたが、出産祝いの記事では画像や表など、文章以外の方法もたくさん使いました!
ここからは、文章以外の表現方法についてお話していきます。
4.画像や表など、文章以外の表現方法も取り入れる
文章で長々と説明されるよりも、画像や表を見たほうが分かりやすい!
そんな経験、ありますよね。
だから、出産祝いの記事でも、ただ文章を書き連ねるのではなく、画像や表なども積極的に記事内に入れるようにしています。
たとえば、出産祝いについてのアンケート結果を1枚の画像にして、冒頭の文章やオススメギフトの紹介コーナーに掲載したり。
「熨斗(のし)の書き方」のように、文章だけだとイメージしにくい内容は、画像で解説を補ったり。
通常の文章だけでなく、画像や表、箇条書きなど、さまざまな表現方法を適切に取り入れることで、記事全体が立体的になり、内容の「分かりやすさ」が格段にアップすると思います。
読者の方にいろいろな角度から記事を読んでもらい、「なるほど、そういうことね」と思ってもらえるよう、「文章」と「文章以外のもの」のバランスにはとても気を配りました。
また、画像や表は記事の内容への理解を深めてくれるだけでなく、「文章を読むのにちょっと疲れたな・・・」というときの休憩スポットにもなると思います。
常に会話のキャッチボールを意識して書いているとはいえ、文章がずっと続くと、どうしても飽きて息切れしてしまうもの。
なので、息切れになる前にひと休みや気分転換してもらえるよう、画像や表、ときには4コママンガも取り入れました。
さて、次はライターのわたしが捨てた、ある「こだわり」について書いてみようと思います。
5.「全文読んでほしい」と思わない
わたしは文章を書くのがとても好きです。
そして、自分が書いた文章を誰かに読んでもらえることにやりがいを感じます。
でも、今回の出産祝いの記事は、読者の方全員に全文を読んでもらう必要はないとわたしは思っています。
なぜなら、出産祝いのマナーはすでに知っていて「とにかくすぐに出産祝いを選びたい!」と思っている方もいらっしゃるはずだからです。
そもそも、この記事のゴールは読者の方に素敵な出産祝いを見つけてもらい、贈った相手に喜んでもらうこと。
最初から最後まで文章をくまなく読んでもらうことがゴールではありません。
もちろん、わたしはライターなので、全文読んでもらえたらうれしいです。
でも、それを読者の方に押し付けるのは「読み手目線」ではないと思うんです。
だから、全文を読まなくても読者さんの目的が果たせるよう、記事ではいろいろな工夫をしました。
目次を設定して、気になる見出しにすぐに飛べるようにしたのはもちろんのこと、記事の冒頭など要所要所に、オススメギフトの紹介コーナーに移動できるリンクを張りました。
さらに、オススメギフトの紹介コーナーは「ベビー服・スタイ」「おもちゃ・絵本」などジャンルごとに分け、気になるジャンルからギフトを探せるようにしました。
「全文読んでほしい」という自分のこだわりを捨てたとき、「読者の方が本当に求めているのは何か?」を考える心の余裕ができた気がします。
そうすると、「どこにでも書いていることをどれだけ工夫して書いていても、やはり読者の方は読み進めるのをやめてしまう」ということにも気がつきました。
というわけで、次は、記事にオリジナリティを出すために実践したことをお話します。
6.人となりが伝わるエピソードを入れる
ある文章を読みたいと思うのは、その文章に何かしらの感情が生まれたときです。
そして、その感情には「筆者の言うこと、わかるなぁ」という「共感」も含まれるのではないでしょうか。
読者の方の共感を生むには、わたし自身の背景をしっかりと語り、人となりが伝わるようにするのが近道だと思います。
だから、「冒頭文で『自分のための文章だ』と感じていただく」でもお伝えしたとおり、記事の冒頭文では出産祝いに関するわたし自身の悩みを打ち明け、親近感を覚えてもらえるようにしました。
また、記事の最後には出産する友人への自分なりの思いも文章にしました。
こうした筆者のエピソードは、必ずしも必要な情報ではないでしょう。
でも、あえて語ることで、読者の方との心の距離が縮むのではないかと思います。
ノウハウ系の記事は、どうしても無味乾燥になりやすいので、少しでも温かみのある雰囲気を出していきたいです。
・・・と、ここまであたかも自分ひとりの力で3万字の記事を書いたかのように語りましたが、実はそうではありません。
編集部のメンバー全員からたくさんのフィードバックを受けて、ようやく完成できたんです。
7.必ずフィードバックを受ける
原稿を書いたら、必ず編集部のメンバー全員のフィードバックを受けます。
これは、『素敵なギフト』を運営する株式会社ウェブライダーが全社で大切にしているルールです。
なぜ「全員フィードバック」をするかというと、一人で文章を書いていると、どうしても視野が狭くなってしまうから。
たくさんの視点から「こんな内容もあると、読者の方に喜ばれるんじゃないかな?」とアイデアを出してもらったり、表現が分かりにくい箇所を指摘してもらったりします。
全員フィードバックを受けることで記事のクオリティが格段に上がり、より多くの人に響く記事になると思っています。
ちなみに、わたしが出産祝いの記事でメンバーにもらったフィードバックは、なんと200個以上・・・!
ウェブライダーに入社した当初は、フィードバックのあまりの多さに「ライター失格かも」と落ち込むこともありましたが、今はむしろ大歓迎になりました。
なぜなら、メンバーのフィードバックひと言ひと言から「この記事をもっとよくしたい」という熱い気持ちが伝わってくるから。
いい記事をみんなでつくりあげているんだなぁと、じんわり感動してしまいます。
ここまで、とても長くなってしまいました・・・!
いよいよラストです。
8.マイクロコンテンツをつくる
最初から最後までこだわり抜いて、出産祝いの記事はようやく完成しました。
ただ、どんなに一生懸命つくった記事であっても、読んでほしい人(出産祝い選びに悩む人)に存在を知ってもらい、読んでもらえなければ意味がありません。
そこで、記事の内容に関する小さなコンテンツ(ウェブライダーではこれを「マイクロコンテンツ」と呼びます)を制作し、Twitterで発信しました。
たとえば、以下のようなツイートです。
こうしたマイクロコンテンツが、出産祝いで悩んでいる人に記事を読んでもらうきっかけになればいいな・・・。
そんな思いで発信しました。
すると、本当にありがたいことに、実際にツイートを見てくださった方から「出産祝いを探している友人がいたから、記事をシェアしておいたよ」などなど、うれしいお言葉をいただけたんです・・・!
読んでほしい人に記事を届けるには、編集部の力だけでは足りないんだなと実感しました。
Twitterのフォロワーさんなど、たくさんの方がこうして応援してくださり、記事を広めてくださるからこそ、ギフトに悩む方々に読んでいただけるのだと、あらためて思いました。
Twitterなどでいつも交流してくださっている皆さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです!!
ちなみに、マイクロコンテンツについては、以下のnoteでもくわしくお話しています😊
最後に
とても長くなってしまいました・・・!
出産祝いの記事は個人的にもとても思い入れがあるので、ついつい熱が入ってしまうようです。
またいつか、制作の裏話をお話できればと思います!
もしよかったら『素敵なギフト』編集部の力作も見に来てくださいね😊
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