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クリティカル・アナリティクス【競争力養成プログラム】

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日々のゼミで行なっているクリティカル・アナリティクス(略称:CA)をまとめて、発信しています。
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#大学教育

上久保ゼミ・オリジナルのディベートトレーニング法:クリティカルアナリティクス(CA)

上久保ゼミ・競争力養成プログラムでは、「1人対全員」という独特の形式で行うディベート・トレーニング法を導入し、「批判的分析力を磨く場」を自ら創っています。  このトレーニング法では、まず1人が「立論者」となります。立論者は、事前に社会問題の1つを取り上げて、それに対する自らの主張をA4・1枚程度の文章にまとめ、他のメンバーに提示します。その他の「討論者」は、立論者と反対の立場で、自らの意見をまとめてトレーニングに臨みます。  立論者は、できるならば自らの本来の主張と逆の立

クリティカルアナリティクスのルール:持説と逆の立場で討論する。

上久保ゼミで行っている「クリティカル・アナリティクス」という独特のディベート・トレーニング。それは、すでに紹介した通り、1対全員で討論することです。1は立論者、その他全員とは討論者です。 ルールは1つだけ。絶対にお互いに同意せず、反論し続けることです。 それ以外にも、レベルが上がってくると、いくつかの決め事を追加します。その代表的なものが、「持説と逆の立場で討論する」ことでしょう。 端的な例を挙げると、立論者が中国からの留学生で、「ウイグル弾圧は人権侵害である」という、

「知的体力」を鍛えること

今学期のゼミの最終回、3,4回生に共通していったのは「知的体力」を鍛えなさいということです。まだまだ弱いのでね。 「知的体力」とはあまり馴染みのない言葉ではないかと思います。要は、スポーツであれば、テクニックの習得と同時に、時にはそれ以上に「鍛える」ということが重視される。パワーをつければ、それだけ強くなれるというのは当たり前の話です。 ところが、頭脳に関しては、案外に「鍛える」といわれることはない。頭脳は、生まれつきもらったもので、それはそれとして、世の中をうまくわたっ

学部生の「政策科学」の研究とは?

政策科学とは、学際的な学問であるので、「研究とは?」という問いへの答えは、分野によってぜんぜん違うものになるのだと思います。これから書くことは、先日のゼミで私が学生に話したことです。現在の私の考えであり、これまでも結構あれこれと考えてきたことで、これからも変わるのだと思いますが、書き残しておきたいと思います。 また、「学部生の研究」であり、そのゴールは卒業論文を書くことです。それは、大学院以上のプロフェッショナルな学術研究とは異なることも、お断りしておきます。 学生がよく

なぜ、これをするのか

上久保ゼミは、The Guardian書評(英字新聞書評)、研究書評、ディベートトレーニング「クリティカル・アナリティクス(CA)」と、サブゼミ(1時間半)、ゼミ(1時間半)の間に、多くのメニューに取り組みます。 それぞれ、ゼミで12年間、自分がコンセプトを出して、学生が実践しながら問題点を修正しながら練り上げてきたものです。 これらメニューの決め事は、基本的にシンプルです。例えば、The Guardian書評では、英字新聞を毎日読んで、要約をまとめ、そのうちの1つを教室

「どんな人になりたいですか?」

これは、私がゼミの新入生との最初の面談の時に、初めに聞く質問だ。すべての新入生に対して、同じ質問をしてきた。 「どんな人」というのは、あえてアバウトにしている。具体的な仕事を言う学生も言えば、自分の内面について語る学生もいる。自分なりに「どんな人」を解釈する答えから、学生がどんな人間かの一端がわかるからだ。 ここ数年、気になることがある。この質問に対する学生の答えが「自分の内面」に関することばかりだからだ。 「どんなことにも動じない人になりたい」「優しい人になりたい」「