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「どんな人になりたいですか?」

これは、私がゼミの新入生との最初の面談の時に、初めに聞く質問だ。すべての新入生に対して、同じ質問をしてきた。

「どんな人」というのは、あえてアバウトにしている。具体的な仕事を言う学生も言えば、自分の内面について語る学生もいる。自分なりに「どんな人」を解釈する答えから、学生がどんな人間かの一端がわかるからだ。

ここ数年、気になることがある。この質問に対する学生の答えが「自分の内面」に関することばかりだからだ。

「どんなことにも動じない人になりたい」「優しい人になりたい」「みんなに慕われる人になりたい」

などだ。もちろん、そういう答えで構わないのだけれど、ほぼ全員だと気になる。「自分は政治家になる」「官僚になる」「学者になる」「起業する」など、具体的な目標を学生がいないのはどうなのか。

「どんな人」と聞かれたとき、自分の内面的なことを聞かれたと解釈し、目標はあるのだが、それは答えなかっただけということと思うかもしれない。しかし、私は次の質問をする。

「もうそろそろ、就職活動が始まるが(ゼミの新入生は3回生なので)、どんな仕事をするか、どんな会社に行きたいか、考えてるか?」

だが、この質問に対して、具体的な答えが返ってこない。

これは、うちの学校に入る学生の多くの特徴なのかもしれない。うちに絶対入りたいという学生よりも、高校時代、模試を受けて自分の偏差値をみて受験する学校を決めて、受かったから入ったという学生が多い。

つまりは、努力を積み上げて、いけるところにいくということだ。これは、高卒まで、そういう指導を受けているからだろう。

これは、ボトムアップで堅実に一歩一歩進んでいくやり方で、日本では好まれるやり方だろう。だが、目標を明確に決める人と競争すると弱い。

政治家になる、学者になる、一番人気の大企業に入る、などと明確に目標を立てる。それを実現するために、何をすればいいかを考える。実現するために、強い気持ちをもって、ありとあらゆることをする。

こういう人を相手にして、コツコツ積み上げて、もしかしたらなれたらいいなあっていうのでは勝てるわけがない。そもそも、勝負の土俵にすら乗れないだろう。

だから、私はゼミの新入生にいった。「つたなくてもいいから、変えてもいいから、まずとにかく目標を決めろ」と言った。そして、その目標をかなえるために、なにをするかを徹底的に考えてみよと。

これは、根性論や精神論じゃない。人生の勝利者になるための「メソドロジー(方法論)」だ。

前回書いたように、うちの学校でなりたいものになれる上位層の学生は、入学後早めに目標を明確に決めて、周囲に流されることなく、目標達成のために行動する。

うちのゼミ生も、そうならなければ成功は難しいし、先輩方の多くはそうだった。今のゼミ生の傾向は心配だ。

今年は、ゼミ生に対して、自分の目標を決めて、その実現に必死に考えるということを、徹底して求めたいと思う。




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