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お隣さんに学ぶデザイン論.

こんにちは,お久しぶりの毎度うるさく研究職したい大学院生です.
この度,夏休みを利用して今父が海外赴任をしているソウルに姉と行ってまいりました.国外での家族再会で,初の実家と呼べるのかわからない海外にある両親の家に訪問してきました.

韓国といえばサムスン(三星),LG,ヒュンダイとかプロダクトデザインだけでなく,私たちには身近なLINE(NAVERさん)や日本人はどうかわからないけれどカカオトークとかのSNS事業にも結構お世話になっているものが意外とある.
アジア圏への旅行…まあ,旅行か,あまり行ったこともなく去年あたりに台湾行ったのが初めてで,それまではヨーロッパ周辺にしか行ったことがなかった.灯台下暗し的な.
なんか行こうと思えばいつでも行ける距離,とか思ってなかなか行く機会がなかったのも確かでそのうちそのうち,と先延ばししていたのかもしれない.

・フォント
ソウルは二度目の姉と一緒に降り立った金浦(ギンポ)空港.仁川(インチョン)空港ほど大きくもない地方空港みたいな.到着ロビーで待っていた母に出迎えられて初めての韓国という地に降り立ったわけだが,まあ字が読めない.今まで行ってきた海外というのはアルファベットだったり漢字だったり,英語やフランス語などは勉強してから行った所だし台湾だって漢字だからその文字自体に意味があるし,なんとなく漢字だけの世界でもニュアンスは伝わる.ところがどっこい,ハングルは渡韓前,申し訳程度に予習をしただけで最低限の読み方,定型文くらいしか知らないし全くわからない.ただ法則性はあるから今回の3泊4日でなんとか読めるようにはなってきたし勉強とか帰国した今はアプリも使ってちょっと韓国語頑張ろうと思っている….次回彼氏を韓国の実家に連れてったときに最低限の案内とかできるようになっておきたいと思って.
そして韓国の公用語はハングルだけど漢字もある.滅多に使わないけどね.一応小学校くらいでちょっとだけ習うと韓国人の友人に聞いたこともあるけれど99%と言っていいくらいハングルとのこと.私が普段Adobe製品を使用する時,モリサワかアドビフォントが多いけれど,日本語フォントと欧文フォントに比べると中国や韓国のフォントは圧倒的に登録数が少ない.確かに街中のハングルはゴシック体がほとんどで,ていうかセリフ体とか使われるとますます読めなくなるから困るし寧ろロゴマークと化してしまう.だから遠慮なくハングルの間にアルファベットや数字をぶっこむし,そこがなんだかカオスで面白い.下手に装飾系ハングルフォントがあるよりもいいのかもしれない.そんなこと言ったら店に出ている手書きのハングルの方がよっぽど可愛い

・韓国のキャラクターデザイン
LINEやカカオトークは今や欠かせないものとなっているが,そのキャラクターであるブラウンやコニー,そしてカカオトークではライアンなどなど.その動物キャラクターは個人的には申し訳ないがあまり好きではない.そしてソウルには東京で言う渋谷・原宿と言われる明洞(ミョンドン)だけでなく至るところにラインフレンズショップやロッテマートにはカカオフレンズショップなどキャラクターのグッズ展開をメインとしたアンテナショップがある.母も最初はあまり好きではなかったと言うものの,毎日見ていると可愛く見えてしまうのよ,と言う.見ていると主線はあまりなく,イラレで描いたようなイラストというかキャラクターで,日本の所謂"キャラクター"として作られるようなものよりはずっとシンプルでいて使用色も少ない.ただ子供っぽいとも大人っぽいともつかず,逆に言ってしまえば子供受けもするし大人や若い子受けもするようなキャラクターなのかもしれない.キャラクターのターゲット層を設定しないことが多くの人,韓国人だけでなく外国人にも受け入れられるキーなのかもしれない.

・ソウルのスペースデザイン的地下鉄
スペース的なデザインとして地下鉄が一番衝撃的だった.もちろん今は停戦中だが,一応内戦と呼ぶにはあまりに胸を締め付けられるような朝鮮戦争真っ只中である.地下ホームへと階段を降りて行った先に目に飛び込んできたのは,見慣れない備蓄食のケース.

避難経路,駅の構内図に加えて記載されたガスマスクの着用方法の図.ソウルのメトロのホームは全ての駅にこの備蓄ケースが完備.じゃあこのメトロってなんなんだ,という話だがソウルのメトロというのは割と地下深くにも感じられる.東京の地下鉄で言えば大江戸線くらいの深さ.
はい,お察しでしょうが「地下シェルター」という場所だった.いくら停戦中とはいえ,こんな物が日常生活の中にあって,皆何事もなく過ごし,兵役中の軍人がメトロに乗り込むし弘大(ホンデ)では迷彩服の集団も見た.まず日本では見ない光景だ.地下というスペース空間をメトロという交通機関の機能を持たせながら核シェルターの役割としてのスペースを確保し,各駅にあるのだから確かに"有事の際"には重要な役割を果たすだろう.

・韓国のファッションとかメイクとか
一方韓国は伝統服のチマチョゴリは彩度の高いイメージがある.それは社会の教科書とかで見た記憶なんだろうけれど,以前姉が着たチマチョゴリは白や薄い色のものでかなり意外だった.しかし明洞など夜のアジアの街や屋台街,というのは独特なネオン街だったり明るさ,派手さがある.だからこそレインボーケーキがあったり所謂インスタ映えになりそうな食べ物が生まれて日本にやってくるのかもしれないが,派手さよりも個人的にカオスさが好きである.化粧品ブランドや服飾を扱うStylenandaのピンクホテルもこのピンクっぷり.この中で日本人と韓国の若い子,観光客が奪い合うように化粧品を物色していた.

階数ごとにコンセプトも違って建物の内装としても非常に面白いコンセプトビルディングである.

眩しいくらいのオーロラにピンク.私には縁がないと思いつつも一貫したコンセプトには感服である.なかなかに面白い.日本人女子がインスタ映えを狙いに行ける海外でもあるのでは…とか思っちゃったりして斜に構えてる自分にちょっと自分で呆れたけど.

・韓国の食デザイン
ここまで書いてきて思ったのは,韓国は韓国で独自のファッションやデザインがあるわけで,海を挟んでお隣の国での現状を知ってふむふむと思ったほどだ.私もやっとティントリップで今更ながらオルチャンメイクに手を出してみたり(普段どすっぴん族なので)して割と楽しんだ.
日本には最近食文化としてアジアのものが流行だけれど,台湾スイーツであったりタピオカとかね,ゴンチャとか凄いし.韓国のピンス(かき氷)とか.それってインスタ映えとかそういうのもあるのかもしれないけど,その国の人たちが普通だと思ってた食品を現代風にしたものであって必ずしも盛れる写真を撮るための食品ではない.その国の食デザインは現代風じゃなくたって全然盛れる.

伝統スイーツだって全然イイじゃん…!これだってピンスだし伝統の漢方茶だし.めっちゃイイじゃん〜とか思ってやはり食文化にみるデザインて面白いなあと改めて感じた.

・韓国の屋台文化
あ,余談ですがめっちゃ面白かったのは,屋台の商売上手な兄ちゃん達は日本人がNOということが苦手というのを知っているので道案内とかしてあげるから何か買ってってよとか,明洞では顔パックとかを無料で渡してきて店寄ってってよとかキャッチがすごい.アニヨ(NOの意)祭りで屋台前を通ってたけれど,どこの国にも存在するようにソウルも貧富の差がやはり激しいというか.
パチモンだって本物だってなんでもいいからとりあえず売る.そういうことを平気でする.そして観光客相手,特に日本人が多いことを知っているから商売のための日本語を知っている.商売のために勉強したんだろう.それは自分が生きていくための手段だからだ.
「お姉さん,本物も偽物も欲しくない?」なんて卸の屋台ではしょっちゅう言われた.偽物とわかっていながら売らなければならない彼らの経済状況というものもソウルの真ん中にある.

・デザインの力ってどれくらい?
さて,お隣の国の現状を知った今,私はデザインの知識を持ってして何かできるだろうか?
デザインは使い方次第だ.武器にもなるし杖にもなる.言葉にもなる.
最近話題になった歴史的背景によって日本のアニメグッズに対する韓国人の反応がヤバいみたいな記事もあったけれど,反日教育を受けているのだから仕方ない.特に私が専門としたい大正時代なんて,韓国は当時日本の植民地だったためとても敏感で,そういった意味でももっと歴史を知らないといけない.
ソウルのメトロのテレビ画面にはドクト(竹島)の映像が流れている.無意識に目に入る位置にある.こんな公共交通機関ですら無意識に反日教育を刷り込まれている.社会的なことも知らなければいけない.
例えば何かのデザインをして,日本では問題なさそうなコンセプトでプレゼンをしたとして,仮にそれがクライアントが海外の企業だったとして,反感を買うようなものであったり歴史的背景まで考えられていなかったり,タブーに触れてしまったとしたら,それは「知りませんでした」じゃ済まされないことだってある.

歴史を変えることはできなくても,それをもって新しいことを生み出すことはいくらでもできるのではないか.
それをデザインで読み解いて提案していくことはできないのだろうか.
近代日本デザイン史ばかりに目を向けていたけれど,デザインは色々な国の影響を受け合っているからこそ世界にも目を向けなければいけないのではないかと感じた.
デザインはどこまでも奥深く,どの分野にもつながるトンネルのようなものであり,学部4年次に教授からゼミ全体に問われた「貴方にとって(グラフィック)デザインとはなんですか?」質問の私の答えは今でも変わらない.

「目に見えない世界共通言語である」

皆様にとって,デザインとはなんでしょうか?
決してカワイイ,カッコイイだけじゃない,本質的なものを掘り下げていきたいと改めて考えさせられる韓国訪問でした.

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