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人間万事ブルシット・ジョブ(上)

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仕事を振り返って

4月は入社式や人事異動など人の出入りの激しい時期だ。入社式という奇妙な儀式は、本邦独特の企業文化の象徴と言ってもいい。着慣れないスーツに身を包んだフレッシュな若人が時に期待に笑みを浮かべ、時に不安げな表情を見せる光景を見るたび、もう働くようになってから久しいというのに、複雑な思いが心中を去来する。

思えばそれはわたしが大学の就職活動でしくじり、公務員試験にも受からず、大多数の同年代からあぶれたことに端を発する。結局わたしはこのことを契機として精神を病み、そこに家庭の事情も重なり、休学と留年を経験することになった。大学は卒業したものの、卒業式には出席しないまま。高望みして運よく受かり、奨学金を借りてなんとか卒業した、一応世間一般では名門と言われている大学なのに。

大学を卒業したはいいものの、卒業から3年半、フリーター生活を送った。フリーターとしてアルバイト生活を送るというと、社員の責任から解放された気楽なライフスタイルに見えるが、精神的には針の筵の日々だった。時にはパワハラめいた仕打ちも受けたが、今回の記事の本題ではないため、ここではこれ以上触れない。

それはともかく、アウトサイダーとなったわたしは、入社式というものに忸怩たる思いを抱かずにはいられないのかもしれない。

職場もいろいろ

一方でわたしは入社から半年を迎えた。その間にいろいろあったが、職場では知識もスキルも半人前なのにもかかわらず、丁重な扱いを受けていてありがたく思っている。いや、それどころか足を引っ張って申し訳なく思うくらいに恐縮している。

どれくらい丁重かというと、たとえば今のわたしは現場のリーダーの下で働いているが、リーダーの指示や依頼を受けてその内容を勘違いして作業を進めたときに「こちらの伝え方が良くなかったかもしれない」と相手の方から反省してくるくらいだ。これではきちんと相違なく意図を汲んで作業しないと本当に申し訳ない。

昔の職場で同じようにしくじったら「何やってんだ!」と怒号が飛んできてもおかしくないだろうし、せいぜい「次からは気を付けてね」とどこか他人事のように言われるくらいが関の山だっただろう。

今の会社に就職したことで年収が100万円ほども増えた(増える見込みだ)が、仕事の大変さは変わらないし職場の雰囲気や人間関係も良好だし、新しい業務経験やスキル、知識も身につけられる。はっきり言って転職してからいいことしかない。9年前に入社した前の会社は未経験のわたしを雇ってくれたことには感謝しているが、長居するようなところではなかった、と悔やんでいる。

前の会社での4つの現場のうち2つは、反りが合わない人がいて早期に現場を離れることになった。一人は「ここで通用しないなら他ではやっていけないぞ」「エンジニア35歳定年説って知ってるか」みたいなお説教が好きなロートルに、何をするにもマニュアルや手順書を杓子定規に守ったりリーダーの許可を得ないと動けないマニュアル人間。

特に後者の現場ではミスがミスを呼ぶ悪循環が続き、精神的に不安定になり、精神科で適応障害を患っていたことが発覚。1つは長く続いたが、悪い意味で男子校的な職場で、まともな現場は4つめの現場の1つだけだった。

そういう環境から今の職場は環境がかなり恵まれているように思う。人生いろいろ、職場もいろいろである。





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