見出し画像

みんなに知ってほしい、補聴器のこと

私(夫K)は、現在39歳です。20代で原因不明の軽度の難聴であることがわかり、コロナ禍で人との距離が生まれ、マスクが声を遮り、シールドでさらに音が遮り…と聞こえづらさが深刻になりました。耳鼻咽喉科の先生に相談して補聴器を試してみたところ、人生に2度目の「彩り」が訪れたように感じています。

聴力障害は見た目ではわかりづらいもの。聞き取りづらさがきっかけで誤解が生まれたり、人間関係がぎくしゃくしたりして、悩みます。「自分には関係ない」と思っている方も、周りには困っている方がいる可能性があります。ぜひ難聴のこと、補聴器のことを知ってもらいたいと思い、noteにまとめます。

ちなみに1度目の「彩り」は妻と出会ったとき。それまで白黒だった人生が、妻と出会い、フルカラーの人生になりました。これが一度目。
…いや、本当にそうだったんです!

引用:「夫(K)が語る、妻との出会い」(非公開note)


補聴器をつけるってちょっとだけ勇気がいります

視力が低下したらメガネをかけますよね。だから聴力が落ちてきたら補聴器を付けたらいいと思うんです。でも、メガネと補聴器はハードルの高さが違うなと感じます。補聴器の方がハードルが高い。難聴であることや補聴器を付けていることを、からかわれるんじゃないか or 恥ずかしいという気持ちの面でのハードルがあります。

「補聴器所有者の75%は補聴器を使用していることをからかわれたり、仲間はずれにされたことが無い。また、補聴器非所有者の難聴者は65%が難聴であることをからかわれたり、仲間外れにされたことが無い。」(一般社団法人日本補聴器工業会「Japan Track 2018 調査報告」)

⇒ つまり25~35%は、からかわれたり仲間外れにされた経験を持つ

また、この気持ちから派生する考え方で、私もそうだったのですが「補聴器を付けるほどの難聴ではない」という考えを持ち、補聴器を試してみるハードルを自ら上げていることがあります。ちょっとでも聞こえづらいなともったら、耳鼻科医に相談して補聴器を試してほしい。そう思って、このnoteを書いています。


ごく自然な音がきれいに聞こえる

補聴器では、もっと人工的な音が聞こえるのかと思っていました。「会話こそ成り立つようになるけれど、雑音も気になってうるさいのかな?」そんな風に思っていました。

全然違います。ものすごく自然です。寝室で子どもが泣いている声も、森に響く鳥のさえずりも、大きな会議室で遠く離れた役員の声も、ごく自然に、聞きたい音が「よく聞こえる」ようになります。

画像1

小さな機械に詰め込まれた最新のテクノロジー

いま聞きたい声にフォーカスしてくれる

テクノロジーが進化することで、補聴器も進化しています。眼鏡のつるほどの小さな補聴器は、ただ音を大きくしているだけではありません。聞きたいと思っている音を大きくし、聞きたくないと思っている雑音を小さくしてくれます。しかも瞬時に、補聴器が、自分で判断して、音を調整してくれます。

左右の補聴器は常に連携していて、どの方向から聞こえている音なのかもわかるように音を立体的に変換して、耳に届けてくれます。これも瞬時に、です。イヤホンやヘッドフォンで音楽を聴いているとき、ドラムの音がどの方角から聞こえているかはわからないですよね。それが補聴器では、方角もおおよその距離もわかるんです。

いま、私が付けている補聴器(フォナック社 パラダイス)は、街の中を人と歩いているとき、その人の声を追いかけ続けてくれる機能が付いています。一緒に並んで歩いているとき、相手が真横のときもあれば、少し前に行ったり、後ろに行ったりします。私も頭をあちらこちらへと向けます。そんな中でも、補聴器が相手の声をずっと追いかけてくれるんです。街の喧騒を弱め、声をしっかりと拾ってくれます。

私が使っていて最も驚いたのは、FNS歌謡祭を見ていて、隣に座る長女(4歳)が話しかけてきたときです。テレビのボリュームは変えていないのに、音楽のボリュームがすーっと小さくなり、娘の声に補聴器がフォーカスしました。もちろん、何の操作も必要ありません。補聴器が「人の話す声」を自動的に判断し、その声がしっかり聞き取れるよう、調整してくれたのです。

↑ 私が使っている補聴器 ↑


耳が疲れない、傷めない

イヤホンやヘッドフォンとの最も大きな違いは、耳が疲れない、傷めない、ということ。WHOによるとイヤホンやヘッドフォンの使用は1日1時間以内にすべきとのこと。耳を傷める恐れがあるためです。

軽度の難聴であることがわかった私(夫K)は、30歳くらいからほとんどイヤホンを付けなくなりました。聴力がこれ以上低下してしまうことを心配したからです。移動中の会議参加もできなくて、カフェでイヤホンで会議室に入ることもできなくて、仕事仲間に対して心苦しく思うときが何度もありました。その点、補聴器は終日付けていても、耳を傷める心配がありません。

理由は、その人の聴こえに合わせて調整されているからです。ごく簡単に説明すると、低い音から高い音まで(=音域)どのくらいの音が聞こえているのか(=音量)が、人によって違います。音域ごとのわずかな違いにあわせて、音域ごとに細かーく、聞こえやすい音量に調整できるのです。何でもかんでも大きな音にする、という機械ではない。スゴイですよね…


誰にも気がつかれずに音楽を聞ける

少しだけ+αの話を。補聴器はBluetoothでデバイスと接続できます。私の補聴器は同時に2台の端末と接続することができるため、オンライン会議に参加しながら、ケータイの着信に出ることが可能です。

着信には片耳の後ろをダブルタップするだけで出られます。私の声は、耳の後ろにある補聴器が、私の口のまわりの音だけを集中的に拾って、相手に届けてくれます。相手には私が電話を手に持っているときと同じような声が届きます。Bluetooth接続なので、スマホをカバンに入れたまま、通話ができます。

また、Amazon Musicでお気に入りの音楽を、誰にも気が付かれずに聴くこともできます。高機能のイヤホンのように、周囲の音を拾いながら音楽を流してくれるため、音楽を聴きながら誰かと話をすることもできます。パワーミュージックで24時間、モチベーションを上げ放題です(笑)


聞こえにくいなと思ったら耳鼻科に相談しよう

これは20代の自分に伝えたいメッセージでもありますが、聴力が衰えたからといって、絶望する必要はありません。

私(夫K)は、コンサルタントの仕事をしています。人の話を聞いて(インプット)、頭でよく考えて、価値あるメッセージを話す(アウトプット)ことが求められる仕事です。でもコロナ禍でみんながマスクをして、距離を取るから、よく聞こえないことが増えました。インプットが不鮮明なので、心から最高のアウトプットを出したいと望んでいるのに(お客様もそれを待っているのに)霞んだアウトプットしか出せないことが続き、悩みました。(正確には「霞んだアウトプットだったんじゃないか」とセルフトークで苦しみました)

コンサルタントとして致命的だと思ったんです。

しかし、この問題には解決策があります。耳鼻科医に相談をすれば、補聴器を無料で試すことができます。どんなシーンで使うのか、どんなライフスタイルなのかと話をしながら、認定補聴器技能者の資格を持つ専門家が、最適な補聴器を何度も調整して試着させてくれます。

さらに、補聴器自体が、どんなシーンでどんな音を聞き、どんな機能を使ったのか、履歴をデータで残してくれるため、本当に必要とする機能と不要な機能(=過度なスペックは何か)を洗い出してくれます。

私は、もっと早くに、いつも定期的な聴力検査をしてくれている耳鼻科の先生に、心の内を明かして、相談すればよかったと思っています。もう少し悩みは小さく済んだのになと。だから、いつか誰かが私の体験を読んでくださり、補聴器を試すことのハードルをもっと低く感じてくださったらいいなと、心から願っています。


夫K:「ずいぶん前のことだけれど、"いつか聞こえなくなっても、私が代わりに聞いてあげるから大丈夫だよ"と言ってくれたことがあったね。」

妻A:「え、そんなこと言ったっけ!?(笑)さておき、補聴器に出会ってKはかなりイキイキさてるよね。良かったね!」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?