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子育てから学ぶ「分かりやすく伝える」極意

伝えたこと≠伝わったこと。相手に何かを伝えるのは本当に難しいですよね。誰にでも分かるように話すことは、私たちの仕事や日常生活の中でたびたび求められるスキルです。夫(K)はコンサルタントとして様々な業種業界に合った言葉選びをし、妻(A)は長年人事の仕事を通じて多種多様な人たちとの対話を経験してきました。それでもやっぱり難しい…。

先日5歳になった娘は、4歳頃から「それってどういうこと?」「なんで?」の質問が止まりません。しかし彼女との会話によって、分かりやすく伝える技術を日々磨くことができています。今日は「わかりやすく伝える技術」をどうやって磨くのかについて、体験を交えながらお伝えしていきます。

1 カタカナ語が通用しない!限られた語彙で勝負

大人同士の会話では、難解なカタカナ語を使いがちです。仕事では企業風土も重なって、みんなでカタカナ語を多用していることもあります。でも、それは本当に相手に伝わっているでしょうか?

”プロジェクトにアサインされた方は、今日のディスカッションをふまえて、次のアクションのアイデアを考えてきてください”

”今日のアジェンダは例のサプライチェーンの問題です。当課がイニシアチブを持ちますのでプライオリティを高めていただき…”

むむむ。カタカナ語がダメとは言いませんが、使いすぎるのも誤解を招くため危険です。その点、子どもたちは、プリンセスやレンジャーの名前以外にカタカナ語をほとんど知りません。彼らの持っている語彙の中だけで話す必要があります。実はこの作業、どんな言葉なら相手(受け手)に伝わるだろう?という、相手への思い遣りに他なりません。大人同士の会話では見落としがちなポイントであると感じます。

相手が受け取れる「球」を考えて投げる。子どもを相手にして対話をすると、こういったコミュニケーションの基本を改めて学ぶことになります。相手の能力を無視して剛速球で投げたりしませんもんね。子どもとの初めてのキャッチボールをイメージしてみましょう。

また、「あ、アサイン?」「え、イニシアチブって何ですか?」のようなことって今さら聞けなくて文脈で推測していたり、使う側もよく意味を知らずに使ってしまっていることもありますよね。(かっこいいと思っているのかもしれません・毒)

2 言葉の意味を改めて考える

アサイン、イニシアチブのようなカタカナ語はもちろんですが、日本語にも説明の難しい言葉がたくさんあります。子どもたちはニュースを見ながら、あるいは大人たちの会話を聞きながら、言葉の定義を確認していきます。

ある日、私たちの娘が4歳になったばかりの頃「お母さん、えいきょう(影響)ってなに?」と聞いてきました。「影響」という言葉の意味を噛み砕いたことがなかったので、この答えにはかなり苦戦したことを覚えています。

わかりやすく

端的に説明するだけでは足りません。例えば「影響」を、「あるものが持つ作用が他のものに変化や反応を起こさせる」と説明すると、「さようって?」「へんかって?」「はんのうって?」となり、何を説明していたのかさえ分からなくなる、無限ループに陥ります。5歳児が知っている、簡単な言葉であることが欠かせません。

さらに、説明を聞く娘の立場になってみると、わくわくしたり、ユーモアがあったりして説明が楽しい→次もまた分からない言葉があったら聞こう、と思える体験にしてあげたいものです。

その代表例が「ハーモニー」です。私(夫)は、「アンパンを食べます。飲み物は何が合いますか?」と聞きました。すると娘は「牛乳です」と答えます。「じゃあ、お団子にします。」すると彼女は「お茶がいいです」と言いました。「そう、それがハーモニー。お口の中がおいしくなる。1つ1つもおいしいけれど、組み合わせるともっと良くなるのが、ハーモニー」と伝えました。以後、何かを食べるたびに「これはハーモニーだね」とニヤニヤしながら彼女は言います(笑)

3 子どもからのフィードバックは辛辣だけど本物

子どもに分かりやすく伝える努力をしても、残念ながら伝わらないこともたくさんあります。「おかあさん、何を言ってるのかよくわからないよ」と。「こんなに頑張って説明したのに、何だとー!?」と思いつつも、「今の説明じゃ分かりにくかったか~」と反省します。

娘のフィードバックで私(妻A)は、箸を持てるようになり、説明力が磨かれているのです(笑)

子どもからのフィードバックは辛辣だけど、正直で嘘がありません。大人によくある、相手に気を遣って本当のことを言わない…なんてことを子どもはしません。歯に青のりがついていたら、「青のりがついているよ」と教えてくれるのです。相手のためになるのは、やっぱり正直で率直なフィードバック。長女には感謝です。「Yのおかげで、お母さん、お話をする力が、ぐんぐんついて上手になっているよ!ありがとう!」と伝えたい。


ここまで、子どもを通じて分かりやすく伝えることについて書きました。お子さんがいる方もそうでない方も、「小学生に伝わる言葉で」話すことを心がけてみると違うと思います。

子どもとのこれら一連のやり取り、時間がかかるからと言って遠ざけてしまうか、分かりやすく伝える力を鍛える絶好の機会と捉えるかは、あなた次第です。もちろん、聞く側の子どもにとっては、大好きな人が自分の質問にちゃんと向き合ってくれることほど嬉しいことはないですよね!


夫(K):「”わかりやすく伝える”って永遠の課題であるし、普遍的だよね。仕事でもプライベートでも、子育てでも、夫婦関係でも。」

妻(A):「伝えると伝わるは違うって、その通りだよね。この前、Kに買い物頼んだら、いつもと違うヨーグルト買ってきたよね(笑)」

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