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私にしかできない仕事って何だろう?

ダイヤモンドが水より高価なのはなぜ?

経済学部1年生のときの講義で、教授がこんな問いを投げました。

「ダイヤモンドと水、1gあたりの取引価格が高いのはどちらか。(もちろんダイヤモンドの方が高い)では生きていくために欠かせないのはどちらか。(もちろん水です)なぜ、生きていくために欠かせない水よりも、生きていくために必要のないダイヤモンドの方が、高価なのだろうか?

この問いの答えは希少性にあります。皆がほしいと思っているのに、提供される量が少なく、めずらしく、なかなか手に入らないものは、市場では高い値段が付きます。水は生きていくためには欠かせませんが、一般的にどこでも手に入れることができるため、希少性は低く、価格も低くなります。ダイヤモンドは希少性が高いため価格も高くなります。

もちろん、ただ希少性が高いだけでは足りません。一定以上の人たちがそれを「ほしい」と思っていることが前提となります。また、安全な水が手に入らなくなるような環境になれば、1リットルの安全な水を手に入れるために、ダイヤモンド1粒を差し出す人も出てくるかもしれません。

日本の労働市場にも100倍の報酬差がある

労働市場においても同じことが起きます。他の誰でも代われる仕事には、高値が付くことはありません。その人しかできない、成し遂げられないことがある。そんなとき、その人は労働市場で希少性が高く、高値で取引(=高額な報酬が支払われる)されます。

例えば、ファストフード店で1時間働くとおおよそ1,000円の報酬が支払われます。一方で、ある外資系コンサルティング会社では、1時間で約8万円の報酬を手に入れるコンサルタントがいると言われます。同じ日本国内で働く1人の労働者ですが、報酬に100倍近い差が生まれているのです。他の誰かに代替のきく仕事なのか、その人しか提供できない価値を提供する仕事なのか、はたらくとき、報酬と希少性には密接な関わりがあります。

就職するときに初めて問われる希少性

希少性がカギを握る。これは「あたりまえのこと」なのですが、#はたらくって何だろうを、初めて考えるときには欠かせない発想です。なぜなら「はたらく」の前、学生のころに、希少性が問われることはめったにないからです。

「評価」と言い換えるとわかりやすいかもしれません。学生が評価を得るには、他の人ができることを同じようにできる必要があります。みんなと同じになる、という意識が強く働く環境で何年も育ってきているのです。他の人と異なること、めずらしい特長を磨き上げることが優先されることは極めて稀です。つまり学校教育では希少性を高める方向に進みません。

しかしはたらくを始めようとすると急に、希少性の原則が働きます。

他の人と同じ・みんなと同じ、というこれまでの教育で慣れ親しんだ仕事ぶりでは価値が付かず、他の人には決してできないことができる、他の人が持っていない技能を持っている…そういった、ダイヤモンドのような希少性が求められるのです。

希少性は掛け算で生まれる

世界で最も早く100mを駆け抜けることができる。

これはウサイン・ボルトが持つ希少性です。世界で最もボールを遠くに投げられる、速く投げられる、遠くまでバットで何度も打てる…「世界で最も」というのが理想的な希少性の高め方であると言えます。

しかしその能力に魅力を感じる人がいるという分野で、あなたが世界No.1になる可能性は決して高くありません。だからといって、「世界で最も早く万年筆のインクを交換できる」のような、需要のほとんどない分野で世界No.1になったとしても、残念ながら労働市場で高値が付くことはありません。

そこで希少性を掛け算によって高める、という方法があります。私(夫K)は自分自身の希少性を以下のように考えてきました。

✔ 女性中心の組織で15年のキャリアを積む男性
✔ 外資系企業でサプライチェーン、マーケティング、営業を経験
✔ 7人目の従業員としてベンチャー企業に転職し30人規模まで成長させる
✔ 働き方改革を専門にしたコンサルティングを10年経験
✔ 1万人以上のビジネスパーソンに助言を提供
✔ 東京都目黒区から静岡県三島市に家族で移住
✔ 夫婦共に東京に新幹線通勤(※コロナ禍でフル在宅勤務中)
✔ 2児の父(※本当はプリンセスが2名と書きたい)
✔ 2020年から補聴器ユーザー
✔ 名古屋弁のネイティブスピーカー

これら10個の特徴をかけあわせたときに、日本国内の労働市場に似たような特徴を持つ人がどのくらいいるだろうかと考えます。10個目の名古屋弁のネイティブスピーカーは、需要という側面で価値あるものとは言い難く、ふさわしくない希少性の洗い出し方の例です。(ただ、空前の名古屋弁ブームがやってくると(市場環境の変化が起きると)話は変わってきますw)

現在、私(夫K)の講演料は数十万円です。30代という年齢を考えると、高額な講演料に分類されます。この価格が付くのは、まさに希少性を磨いてきた結果であると感じます。

『古山、前に聞いたよな?得意なものは何かって。
 見つかったんじゃないか。
 人よりほんの少し努力するのがつらくなくて
 ほんの少し簡単にできることを。
 それが見つかればしがみつけ。必ず道は開く。』

出所:NHK連続ドラマ小説「エール」・藤堂先生のセリフ

人よりもほんの少し努力するのが辛くなくて、ほんの少し簡単にできること。そんな強みを見つけ、私にしかできない仕事を見つけ出すことが、あなたの希少性を高め、労働市場での評価を高めていくことにつながります。もちろん、他の人よりも少ない労力で成し遂げられることなので、幸福度の高い毎日を送ることにもつながります。


妻A:「いや、勉強になりました!自分の希少性を考えること、私には不足していたよ。今、定期的な自己分析の途中だけど、希少性を意識しながら、着実に目の前のことを積み上げていこうと思います。先生と呼ばせていただきます。」

夫K:「とんでもない。最後に紹介した藤堂先生のセリフは、小学生の裕一くんにもわかる希少性の重要性を伝えるメッセージ。名言だと思います。」





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