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書店員の親父の、本屋らしいところを書いてみよう

元教習所の先生・三上です。
たまーーーーに親父(本屋)のことを記事に書きますと、予想外に反応をいただきます。

▲親父人気の裏付けが取れた文章

昨日、こちらの記事でも親父のことをちょっと記述しました。

余談です。
昔から書店員の父に言われているんですが、
「お前の絵って、少女系でもないし、ティーンズ向けでもないし、BLが一番路線に合っているんだよなぁ
とのことで、多分、この絵もそっちの系統なんだろうなぁと思っています。

学生の時から父親に言われていたことで、二ヶ月前にも同じことを言われています(笑)。
すると、猫野サラさんのアンテナにこの言葉が引っかかったようで、

書店員のお父さまのイラスト路線分析に激しく惹かれております。

とのコメントをいただきました。
さらに、猫野さんの夢にまで影響を与えたようで、

とのツイートまで!
プロのイラストレーターでらっしゃる猫野さんの反応から、「親父の見立てって正しいんだな、すげぇ!」と実感した次第でした(伊達に商業誌を見続けてきたわけじゃなかった)。

そんな、結構的を射ているらしい書店員の親父の、ちゃんと本屋の店員をしている話を書いてみようと思います。

     *

先日、kaze先生のこちらの記事を拝読しました。

世界の名作のアニメ絵本の挿絵を担当なさっていたそうで……実は私もこれで育ったので、驚いたんです。

勝手ながら、父にスクリーンショットを送りました(kaze先生すみません💦)。
児童書は本の中でも特殊なジャンルで、売れたものは息が長いのが特徴です。
版が変わっても、旧版がもしかしたら出版社のストックにあるかもしれません。

本屋01

本屋02

本屋03

まぁ、こんなやりとりをしたんですね。
気づきましたか?
私は「取り寄せてくれ、探してくれ」とは言っていません。

が、釣り糸を垂らしてみたら、案の定釣れました。
これが書店員のうちの親父の習性です。

     *

うちの父親は、基本的に絶版の本でも、取り寄せ不可能の本でも、まず「関係各所を当たってみる」人です。
取次も含めると40年近く本に関わる仕事をしているので、経験上、「ダメもとでも本は意外と手に入る」ことを知っているからです。

以前、こちらの本が絶版になり、Amazonで高値がついてしまった時期があります。

この本、ロングスパンで売っていたので、油断していました。
ある時期からどの本屋の棚からも消えてしまったことに気づいた私は、
「これ、親父の店にデッドストック残ってない?」
と父親に尋ねました。

父は「うちにはないけど、版元を当たってみる」と答え、即座に電話。
版元にストックが残っていて、流してもえることになり、父のおかげで私は当時プレミア価格だった本を定価で入手しました。

それから、販路が特殊で、一般の書店では取り寄せができない本というものも、世の中には存在します。

こちらの本、某書店で見かけて欲しくなり、題名、著者名、出版社を添えて父親に報告しました。
すると、父は出版社を見るなり「これ、うちの取次(書店に書籍を卸す業者)の販路にはない本だなー」と答えました。

「無理そう?」
ならいいや、と諦めモードになる私に反して、父親は眉間に皺を寄せつつ断言しました。
「いや、やりようはある。
ちょっと時間がかかるが、取り寄せる」
そして、どういう裏技かはわからないのですが、実際に取り寄せてくれたのでした。

このほかにも、父の勤務先の取次では卸してもらえない出版社の本も流してもらったりと、謎のルートを駆使します(私が好きな作家さんがそこで出版することが多く、父は渋い顔をしながら毎回私のために取り寄せた結果、実績がついてその作家さんの新刊は必ず入荷するようになりました)。
「やりようはいくらでもある」
それが、こういう時決まって父親が口にすることでした。

     *

さて、kaze先生の絵本です。
父からは、「残念ながら、注文不可能」「もちろん、店の在庫もなしです」と無念そうな返事が来ました。
私も予想はしていたのですが、調べてくれた父親には本当に感謝です。

そういえば、中学生の時に私が好きだった作家の本の化粧ケース付きが出たときも、伝手を使って買えるようにしてくれました。

先日、「『鬼滅の刃』の23巻がどの本屋さんにもない」とおっしゃっているフォロワーさんを見かけたので、父に「まだ買うかわからない段階だけど」といいつつ相談した時も、その方のところに届けることを前提に動こうとしていました。

本に関してはよく面倒を見てくれた父親だなと、今回の件で強く実感しました。

おそらく、父にも「手に入らなくて悲しい」本が、人生でたくさんあったのでしょう。
それが極力ないようにと、心を砕いて仕事をしていたんだな、と気付かされました。

kaze先生、先生の絵本で育った私が、先生の本を通して父親の仕事ぶりを再認識することとなりました。
絵本って、子供の時に読んで楽しく、大人になってから新たに気づくことがたくさんあるんですが……kaze先生の絵本がきっかけで、物語以外にも気づきを与えていただいて、ありがたく思っています。

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