カメヤマ 「あの人との、ひとり言」コンクール名作選

カメヤマは三重県亀山市の地でに創業してもうすぐ100周年。初代が伊勢の宮大工だったこと…

カメヤマ 「あの人との、ひとり言」コンクール名作選

カメヤマは三重県亀山市の地でに創業してもうすぐ100周年。初代が伊勢の宮大工だったことから、神に捧げるローソク製造を始めました。このnoteは、毎年開催している「あの人との、ひとり言」コンクールの応募作品の中から、心に残った作品を皆さまにご紹介するブログです。

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コンクール、締め切り迫る!

第8回「あの人との、ひとり言」コンクールの締め切り(2023年9月30日(土))まであともう少しとなりました。 今は亡き大切な方を想って手を合わせたときに「浮かんでくる言葉」を紡ぐこのコンクール。80文字以内という制限がある中で、言葉をどのように組み合わせればよいのか、悩むところです。 ここ近年の入賞者の方々の作品を見ていると、上手い下手ではなく、あまり奇をてらわずに素直な言葉で表現している作品が選ばれているという印象を受けます。 2022年の大賞作品をご紹介します。

    • 名作選14「みえない絆」

      人にやさしい心があるように、犬にも人間に近い感情がある。これは、犬が人間とともに生きてきた歴史の中で、他の動物には見られない認知能力の進化を遂げたという研究結果からも明らか。 しかし、犬を飼ったことがある人にはそんな研究結果など聞かずとも、意思疎通が普通にできていると思っている人のほうが多いのではないだろうか。 従順でお茶目でやさしい。昔飼っていた犬も、今現在一緒に暮らしている犬も。それぞれが違った個性で、人間とともにコミュニケーションを取って暮らしている。なんと愛おしい

      • 名作選13「あの日の風景」

        記憶の中にある風景がフラッシュバックするときがある。切り取られた風景が浮かび、そこに会いたい人が笑っている。懐かしくて切なくて、そして強烈な多幸感に包まれる瞬間。 季節の香りとそのときにしていた会話と笑い合っている空気感。もう二度と会えない人、風景がリアルに蘇る。 ときどき無性に帰りたくなる、あのときに。 ということが、あなたにもあるかもしれない。きっと誰にでもそういう瞬間はあるのだと思う。 セミの声を聴きながら小高い山の上にある神社まで散歩。そこからは夏の日差しに照

        • 名作選12「親ゴコロ」

          「ママこれあげる」 見ると小さな紙に何やら書いてある。難解な文字らしきものと赤い丸がふたつ蝶々のように描かれている。 「ありがとう!」 と喜んでみせると、娘の顔がみるみる笑顔になってちょっと得意げな表情をする。ママが喜ぶことがとにかく嬉しいのだ。 ある日、保育園から帰って来た娘を夕飯前にお風呂に入れようと準備をしていた。準備できたよ、と呼んでも一向に来ない。さらに大きな声で呼ぶ。それでも来ない。 「なにやってるの!早く来なさい!」 思わず叫んだ。 すると、ズボン

          名作選11「おばあちゃんの愛」

          自分は愛されて育ったんだ―—。 それに気づいたときに沸き起こる感情は、一瞬にして幸福感をもって全身をかけめぐる。まるで目に見えぬ何かが身体を包み込むような不思議な温かさを感じる。 例えば、高校の卒業と同時に地方から上京し、大学生活を経て晴れて社会人となる。楽しいばかりの学生時代とは違い、社会人ともなるとたくさんの理不尽とも付き合っていかなければならない。モヤモヤの中で息をして、その日のうちにモヤモヤをクリアに出来ぬまま、また次の日の朝には満員電車にゆられ心が疲弊する毎日。

          名作選10「再会したら」

          「定年したら何しようかな…」 「腹を割って話せる友達なんて、もうこの歳になるといないよな…」 アラフィフ、アラカンの男性がよく口にするこのセリフ。当てはまる方は結構多いと聞く。 家族のために一生懸命に働き続け、いつの間にか定年間近。これといった趣味もなく、飲みに行くプライベートの友達もいない、ということにあらためて気づく。さてどうしたものか。 新たな趣味を見つけ、その趣味を通して仲間ができたり。バイクの免許を取ってバイク旅をするなどひとりで完結する趣味もまたよし。 歳

          名作選9「ばあちゃんの玉手箱」

          粋な人に憧れる。 人の気持ちを思いやることができるため共感力が高くて、場の空気をさっと読んで気の利いたことをサラリと言ってのける。ときには、何も言わずにみんなが喜ぶことをやってのける。それでいて、見返りは求めない。 男女問わず、こんな粋な人がいたら惚れてしまう。 ユーモアのある人にも憧れる。 どんな変化球も受け止めて、笑いに変換して投げ返す。重苦しい空気の中でも、ここぞという隙を見逃さず笑いを挟み込んでくる。誰も傷つけない笑いで。 こんな人がいたら、人生が楽しくなる。

          名作選8「宴会のスター」

          近ごろは大勢が参加する飲み会を敬遠する人も多いと聞く。特に若い年代でその傾向はよくみられるのかもしれない……。大宴会で思い浮かぶのは「THE 昭和」の風景。サラリーマンが頭にネクタイを巻き、踊り狂う阿鼻叫喚の世界。平成生まれのZ世代には到底受け入れられない光景かもしれない。 しかし、だ。参加している人々の趣味嗜好の最大公約数を求めて幹事が奮起したとて、みんなが「面白い」と感じてもらえる飲み会が、どうすれば実現できるのだろうか。 まず、幹事になる人がいない。今の世の中、幹事

          名作選7「おばあちゃんの梅干し」

          真夏の炎天下のもと、汗も気にせず走り回っていた子ども時代。渇いた喉を潤すのはがぶ飲み麦茶と縁側に座って食べたスイカ。夜になると、蚊取り線香の香りの中花火をして、風鈴が聞こえる畳の部屋で寝た。そんな子ども時代の夏の思い出は、誰しも記憶のどこかにあるもの。 夏の思い出の中に出てくる食べ物もある。 おばあちゃんの家で食べた昼の定番と言えば、ぬか漬け、そうめん、梅干しのおにぎり。味噌小屋と呼ばれる離れがあって、そこで自家製の味噌を熟成させるのだと聞いた。大きな壺に入った梅干しもそ

          名作選6「妹へ」

          子どもの頃に毎月買っていた少女マンガ雑誌。付録が楽しみだったのもあるけれど、胸キュンの恋愛青春マンガにはまっていた。まだ恋とはなんぞやのその時期に、マンガの中の男の子に恋をしていた。 少女マンガに出てくる男の子はとにかくかっこいい。そして、スマートなやさしさで読者を魅了する。 あるとき、同級生の家に遊びに行ったときのこと。小学校のクラスの女子数人が集まり、マンガ談義をしていた。どのマンガのどの男の子がかっこいい、あのヒロインみたいになりたいなど、その頃の歳ならではの他愛も

          名作選5「おじいちゃんの軽トラ」

          大人になってみると他愛のないことも、当時はなぜか受け入れられなかったということが往々にしてある。きっと誰にでも。 例えば、母親の作る弁当はいつも茶色だったという弁当にまつわるよくあるエピソード。母親の作るお惣菜はたいていどれも美味しい。わらびと厚揚げの煮つけ、糸こんにゃくとたらこの炒め、肉じゃが、にしんと大根の煮つけ…。作りなれているからか味のぶれもなく、安定したいつもの旨さ。メニューは多少違えど、どの家庭にもある母の味。 しかし、それらを弁当箱に入れたとたんに見た目が茶

          名作選4「永遠の親友」

          年を重ねるにつれ、友人を作る機会は少なくなっていく。知り合いはできても、友人となるとその壁は結構高い。ましてや、親友となるとさらに。 会ったばかりの人に「今日から親友ね」と言われても困るし、長年付き合いがある人から「よく考えたらあなたは私の親友だわ」と一方的に言われても目を泳がせてしまう。 親友はつまり、一方通行では成り立たない友情。お互いがお互いのことを「なんでも話せて唯一心を許せる友」と認め合っている仲、とでも言おうか。 親友がいるということは、人生を歩む心強さが増

          名作選3「父と母の愛」

          まだ携帯電話もなく、ポケベルもPHSもなかった時代。待ち合わせで誰かが遅刻すれば会えないことなど日常茶飯事で、駅の伝言板にチョークでメッセージを残していた時代。駅員さんがカチカチカチと切符をリズミカルに切っていたあの頃は、相手に何かを伝えるための手段がすべてアナログだった。 時を経て、まさかここまで文字を書かなくなる時代がくるとは思っていなかった。今や片手で文字を打ち込み送信すれば相手に届くのだから、本当に驚く。 アナログな時代を知っている人間ならば一度は言いたくなるのは

          名作選2「お母さんのおかえり」

          母親は家族の中心的な存在であり、いわばみんなの心の支柱。なんだか良く分からないが、とにかく安心感がある。 たとえて言うならば、長年家事をこなしてきた手でにぎったおにぎりの味は格別で、ちょっとした不安や悩みなどすぐに吹き飛ぶパワーが入っていたり。 運動会で縫い付けてくれたゼッケンは、徒競走のお守り代わりだったり。 そしてなにより安心するのは、その声だったりする。 赤ん坊はお腹にいる頃から母親の声を振動として聞いている。母親の香りに包まれて背中をトントンされながら子守唄を

          名作選1「あとでゆっくり話聞くよ」

          母と娘。 母として小さな赤子の娘をこの手に抱いてから、娘として母の大きな懐に抱かれてから、母と娘の特別な関係は始まっている。 言葉を交わさなくても気持ちが伝わったり、考えていることが同じだったり。まるで分身のように以心伝心する。 ずっと読み返せずにいたメールには、お母さんとの何気ない日常のやりとりがたくさん詰まっているのでしょう。その日常がもうこの先には待っていないという現実から逃れたくて、ずっと読み返せずにいたのでしょう。 目を背けて一時的には忘れることができても、お

          「あの人との、ひとり言」コンクールの名作選ブログはじめます

          亡くなられた大切な方に向けて 手を合わせたとき、あなたの心には どんな言葉が浮かびますか? 手を合わせると出てくる言葉を募集します。 このようなキャッチフレーズで毎年作品を募集している「あの人との、ひとり言」コンクールは、2023年で8年目を迎えました。毎年多くの素晴らしい作品が集まり、その中から大賞、審査員特別賞などが決まります。どれも心を打つ作品ばかりで、審査が難航するのも毎年恒例のこと。 そして、惜しくも大賞・審査員特別賞、ペット賞、カメヤマ賞を逃してしまった入賞作

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