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【読書日記+α】10/4 連なる面白さ。「言葉の園のお菓子番~復活祭の卵/ほしおさなえ」

言葉の園のお菓子番 ~ 復活祭の卵
ほしおさなえ 著 大和書房

今年のお正月に読んでいた「言葉の園のお菓子番」の最新刊が出ました。

元書店員の一葉は、亡くなった祖母が通っていた連句会「ひとつばたご」と出会い、仲間と連句を巻く楽しさに目覚めます。
連句会のご縁から、ポップ作成の仕事をしながらブックカフェ「あずきブックス」で働くようになりました。

連句、という五七五と七七を複数の仲間で交互に詠みあいながらひとつの世界を作り上げていく魅力に、一葉だけでなく私も夢中になってしまい、4作目となる本書も楽しく読みました。
勤めていた書店が閉店となり心ならずも実家に戻り閉じていた心が亡き祖母に導かれて新たなご縁を得て、さらにその世界を一歩一歩広げていく様は親戚の娘さんを見守るように応援したくなります。

本作で重要な位置づけとなるとある作家さんの「おもいで糸巻き堂」という作品が登場します。不思議な刺繡店を営む女性が主人公です。
悩めるお客が糸を選びアルファベットの一文字を刺繍すると自分のかつて見ることのできなかった過去を見つめなおし自分の心の向き合うことができるのです。

おお、こんなところに「刺繍小説」!
「刺繍小説」とは、神尾茉莉さんが定義する「刺繍の登場する小説」のことです。つい先日その定義を知って面白いな、と思っていたところだったので偶然にうれしくなりました。

連句はその場に集った人たちで句を詠みあうので、その時々の座の文芸、ご縁の文芸です。

昨年末に思い立って一念発起、今年の始めからnoteで主に読書記録をつけはじめました。
そのうちに素敵な記事を書いていらっしゃる方々とのご縁が生まれました。
記事を読むのも読んでいただくのも、メッセージを送るのも送っていただくのも楽しくありがたいことだと思っております。

その中のご縁のひとつ。

本の虫読書録さまの記事からひろうすさまが描いたイラスト。

連作シリーズでいつも素敵なのですが、その中の「花本」の模様が大好きで、刺繍用図案に使わせてください、と図々しくお願いしてお許しをいただきました。
最初は、本の魔女花魁の帯の模様だったのですが、イラストのままだと上手く図案に起こせないな~と悩んでいたらタイミングよく花本単独模様も描いてくださいました。

と、いうわけでありがたく楽しませていただいています。
典型的な下手の横好きなので申し訳ないのですが、現在、糸の太さやステッチを変えながら色々試作兼練習中です。

上手にできるようになったらブックカバーや栞にしたいと思っています。
これもまた不思議な連句のようなものかもしれない、そう思うのです。
感謝を込めて。


試作中。

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