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ようこそ笑顔神社へ(114)就労継続支援②

就労継続支援B型作業所で訓練をしていくうちに、いつの間にか〈物足りなさ〉というのを感じるようになりました。

これは、次の世界に移動する合図です。
亀さんは、就労継続支援A型作業所に通うことにしたのです。

就労継続支援A型作業所というのは、雇用契約を結んだ上で働くので、訓練ではなくて仕事の場所になります。

亀さんが通った作業所はとにかく毎日が楽しくて、
〈勉強・発見・葛藤・喜び・感謝・笑い〉
の連続でした。

その中の〈葛藤〉に苦しんだのを覚えています。
それはどんな苦しみかというと、お給料をもらい過ぎているという苦しみです。
社会経験のある亀さんにはこの仕事は、世間ではどのくらいの時給なのかが分かります。
※今、思い返すと、それは完全な思い上がりであったと同時に、もっと働けるのでは、という手応えでもありました。

葛藤のことを、ある人に相談したところ、こんな答えが返ってきました。
「それなら、もらい過ぎている分のお金は貯金していたらいいんです。
そして今後、そのお金をその作業所や福祉の世界にお返ししたらいいのではないですか?」

腑に落ちました。

※後に、貯金していたお金で、介護職員初任者研修や、ガイドヘルパーの資格をいくつか取得します。

亀さんが通った作業所はとても環境がよくて、〈自分は今、幸運の道を歩いてる〉といつも実感していました。

けれどもそこを8ヶ月くらいで辞めることにしたのです。
理由は、一般就労で福祉の世界で働きたいと心から思ったからです。

後は、
〈就労B→就労A→一般就労〉
という自分の経験を生かすことができると思ったのです。
つまり、同じ利用者としての目線から、どうやったらステップアップできるのかを、一緒になって考えることができるのでは、と思ったのです。

就労Bの利用者の中には、この部分を練習すれば就労Aに行けるのに、と思う人がいました。
就労Aに行くということは、お給料が上がるということです。
そして、自立した生活に近づくということです。

亀さんの理想は、
〈利用者の両親が安心してあの世に行ける〉
ということです。
そして、両親の不安は子供の自立によって解消されると思っています。
※亀さん自身も障がい者なので、この考えが極論だと思っています。

いろんなケースがあるので、さまざまな道順がありますが、まずは生活していけるだけの収入を得ること。
逆に考えると、それができているということは、助けを借りながらでも、ひとりで生活できるくらいの能力が身についている状態なのです。
※これは、就労B・就労Aの利用者を対象にした考えです。

最後に、これは一行だけ書きますが、一般就労での福祉の仕事はとても大変でした。

そしてもうひとつ。
あのとき一般就労に挑戦した自分のことを誇らしく思います。

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