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記録を通じて安らかな時間感覚を取り戻す【ユタカジン】

はじめまして、かめりんです。普段は製薬企業の研究職として働く29歳(ほぼ30歳)です。
タスクシュート協会による公式マガジン「ユタカジン」、早速愛読いただいておりますでしょうか。
このマガジンは「自分らしい時間的豊かさを追求する」をテーマとして、タスクシュート協会メンバーが、時間や習慣、タスクシュートなどなどにまつわるお話を連載していきます。

かめりん初回ということで、僕がタスクシュートにハマり、タスクシュートを世に広めたいと思うきっかけとなった原体験をお話ししようと思います。細かい経歴や認定トレーナーとしての活動などはぜひ「かめりん」を見てみてください。

やることだらけで余裕がない博士生活

さて。
僕がタスクシュートを軸に生きるようになったのは、「時間」が、敵対的なものから、自分に寄り添ってくれるようなものに感じられるようになったからです。

タスクシュートを使い始めたのは、大学院博士課程の2年目の秋ごろ。博士号取得に向けた研究もガッツリしつつ、就職活動真っ只中というときでした。
大学院での研究は決して順風満帆とは言えず、なんとか論文投稿までこぎつけてもRejectを食らってまた練り直し、というときでした。
自分自身の研究だけでもやることだらけで、博士号を取得できるかどうかも常に不安の状態でした。
そのほかに、自分の研究とは直接関係がない研究をする必要もあったし、研究室の一番上の学生ということで後輩の指導もする必要があったり、所属する専攻でのお仕事も依頼されたり、、と常にギリギリの状態でした。
仕事を依頼されること自体はありがたいことだと自分に言い聞かせつつも、「どうして自分だけこんなに仕事をしなければいけないんだ」と内心強く反発していました。

そんな中で就職活動も佳境に入ってきて、とにかく頭がパンク寸前でした。「余裕がない」という言葉がとにかくピッタリでした。今思い出しても胸が苦しくなります。

やることはたくさんあるのに、頭の中は混乱状態。どれもこれも早くしなきゃいけないと思ってしまい、全てが重荷に感じて逆に何も手につかない。なんとかギリギリにこなしても、燃え尽きてしまってしばらく動けない。

このままではまずいと思い、これまで何度も失敗してきたタスク管理にもう一度着手しました。
とにかく頭の中を空っぽにしようと、まずは思いつく限りのタスクを書き出して、サブタスクに分割して、期限を決めて。。

最初はうまくいったかのように見えました。しかし、タスクをこなすスピードよりもタスクが増えるスピードが早いので、To Doリストがどんどん膨れ上がっていきました。気づいたら全然管理がままならないほどの量になっていました。

タスクシュートと出会って味わった不思議な感覚

そんな中で、他の方法はないかと模索してしていると「タスクシュート」という独特な方法に出会いました。
やることを順番通りに並べて、見積時間を記入して、タスクを開始したら開始時間を、終了したら終了時間を記入する。
使い方動画を見ながら「とりあえず使っていけそうだ」と思い、使い始めました。

当時(2020年11月26日)の記録。よくわからないまま「使い方動画を見る」記録をつけられててえらい。「使っていけるかも」というちょっとしたコメントもある。

当時の僕にとって、実験がメインのお仕事。まずは実験の記録を取っていくことにしました。
そして、記録を取り始めてまもなく、不思議な感覚を得ることになります。それは、

自分の行動には時間の経過が伴っている

というあまりにも当たり前なこと。
行動の開始時間と終了時間を記録すると、その行動がいつ始まっていつ終わったか、そしてどれくらい時間がかかったかが明確にわかります。
何かをすると(正確にいうと何かをしていてもしていなくても)、時間は過ぎていきます。当たり前です。

しかし当時の僕はやることをたくさん抱えていて、心のどこかで「時間よ過ぎないでくれ」と常に思っていました。一方で時間は無慈悲にどんどん進んでいく。
時間というものが自分を急かすような存在で、決して寄り添ってくれない敵対的なもののような感覚がずっとありました。

それが、行動の記録をとることでフッと軽くなりました。時間が経過していたことがありありと示されているのに「時間がなくなる」という感覚とは真逆で、心地よさすら感じました。
とても不思議でしたが、その感覚は安心感をもたらすものでした。

これまでは、頭の中にあれもこれもとやらなきゃいけないことが浮かんできましたが、開始ボタンをポチッと押して開始時刻を記録するだけで「今はこのことだけをやっていればいいんだ」と思えるようになりました。
停止ボタンを押して終了時刻が記録されると「この仕事をしっかりやり終えた」という達成感も味わえました。

当時の実験の記録。スムーズに実験が済んで満足感がありそうなコメントが残っている。


僕は、BUMP OF CHICKENというアーティストが大好きです。
彼らの楽曲『beautiful glider』の中に、次の一節があります。その時の感覚はこの表現がしっくりくる気がします。

諦めたものやなくしたものが 鳥になってついてくる
やかましく泣き喚いたりもせず 必死に寄り添ってる

BUMP OF CHICKEN『beautiful glider』

これまでは、時計の針の進みが、デジタルの数字の変化が、早く成果を上げろ、仕事を一つでも終わらせろと急かしてくる感覚がずっとありました。
タスクの開始時刻と終了時刻の記録によって、時間の経過が、何も音を立てず、急かしたりもせず、自分のそばに寄り添って行動をともにしているような感覚に変わりました。

タスクシュートでいろんなことがうまくいくように

それからというもの、タスクシュートという手法を日々の管理の主軸に据えて生きていくことにしました。最初は研究室での生活をメインで記録していましたが、少し時間が経って、起きてから寝るまでの24時間を記録するよう、記録の幅を広げていきました。

いろんなことが少しずつできるようになっていきました。

ちょっとずつ、研究に自信が持てるようになっていきました。タスクシュートはとことん今にフォーカスするので、うまくいっていてもいかなくても「次の一手は何か」を考えます。これをベースに据えることで、少しずつ成果が積み上がっていきました。無事論文もAcceptされました。

辛かったときは「研究室に行きたくない」と思ってなかなかベッドから出られない時もありましたが、安定して朝早く起きられるようになりました。

朝早く起きて、散歩をしてから研究室に行くようになりました。近くに川があったので、川まで歩いてから家に戻り研究室に行く支度をする、という流れができました。大好きなBUMP OF CHICKENの音楽を聴きながら、川から見える綺麗な朝日に癒されるとても大好きな時間でした。

日記をつけるようになりました。もちろん気持ちのいい日々ばかりではありませんでしたが、そんな日でも自分自身を受け入れられるようになりました。

不思議なことにいろんなことが好転していき、就職活動も無事終わり、博士号も取得できました。好転という言葉はなんとなく好きじゃないのですが、まさに当時の状態を表すのにぴったりな言葉です。

もちろん今もタスクシュートを相棒に日々生活しています。
タスクシュートに出会えて良かった、と心から思います。

タスクシュートで安らかな時間感覚を手に入れよう

いまこれを読んでくださっているあなたは、なにかをしているとき、その行動は実感を伴っていますか?行動とともに時間の経過を心地よく感じますか?

  • 1日の終わりに差し掛かっているのに、忙しかったことばかり覚えていて自分が何をやっていたかあまり覚えていない。

  • やるべきことだらけなのに、それが重荷に感じて何も手につかない。

「時間がない」という言葉が口癖のようになっていたり、「時間に追われる」という言葉をそこかしこで見聞きするのが当たり前の今。
そんな生活が当たり前になっていて、今に満足できない日々が続いているとしたら、タスクシュートという手法を生活に取り入れてみるいい機会かもしれません。

もしもしかめよ かめりんでした。


ここまで読んでいただきありがとうございました。
明日以降も続々と「ユタカジン」に記事がアップされていきます。
ぜひ本マガジンをフォローして日々のささやかな楽しみにしてくださると嬉しいです!


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