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【元KARAハラさんの訃報】 俺は自殺する勇気もなかった

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191126-00000019-spnannex-ent

7年間芸能活動をしていた。

顔が少し整っていることを大阪の田舎でチヤホヤされ舞い上がって上京し、何も技術もなかったド素人時代を経て、7年間で少し毛が生え、ドラマやCMに出ることができるようになった。

小さい事務所に入り、身長もスタイルも面白さもない自分は唯一希望が持てるかもしれない俳優志望として、多少整った顔でCMのサブキャストオーディションを受け始め、特殊な人力車夫のアルバイトでキャラクターができ、職業人力車夫の素人としてテレビに出る機会も多くなった。

わかりやすいテレビ、CMに出演すると、身内友人に自慢しやすく、「これからもっと大物なるぞ」との野心も高まって希望に満ち溢れた前半戦。

後半戦に入ると、今までやってきた、数秒間に自分が映るか映らないかのCM、あくまで素人としてのテレビ出演が続く人力車夫に対して、狭い箱に入れられて表現する雁字搦めのような状態に思えて、キャラクター商売からの脱出に向けて、ようやく俳優とは何か、ろくに映画も観てこなかった状態から勉強を始めた。

俳優というものを勉強すればするほど、職人の業、人間とはなにか、人生を通しての勉強と知り、ここなら自由に表現できると確信したと同時に、自分自身がやってきた活動が薄っぺらく思えて自信がなくなってきた。

でも明日明後日で職人の映画界で花を咲かすとなると、無理難題なのは承知で、これまで通り前半戦での戦い方でお金を稼ぎながら勉強に励むしかない。

身銭を稼ぐべく大衆芸能に身体を売り、職人芸を磨くべく芸術に精神を買う。

このバランスを崩し、日に日に自分を助けてくれたキャラクター芸を否定しては、勉強のため、勉強のため、と安請け合いでプロの現場にエキストラでも、と行脚する。

気付けば借金は100万円を超え、前半戦で全国ポスターに自分の顔が掲載され、意気揚々で歩いた街も、下積みとはいえ、CM見たで、俺も頑張るわ、と周りに影響を与えていたはずの自分が何もかもなくなっていくような孤独に陥いり、誰かに会うと、最近なんか出たん、と聞かれるのが怖くて、伏し目がちに街を歩いた。

目に見えない誰かの視線を気にした自分像が勝手にひとり歩きしては、自分と離れていく距離を必死に埋めようと誰に言われたわけでもなく焦り走っていた。

大きい仕事をした過去をどれだけ積んでいっても、更にそれ以上と周りや自分が求めているような気がして、気持ちを満たされることは一瞬でまた不安が駆け巡ってきた。

後半の数年間は、こんな感じで、焦っては引きこもり、焦っては引きこもりを繰り返した。

最後は先を走る自分像を消すため、自分像として連絡していた知り合い友人の連絡先を消し、ライングループから退会し、SNSのアカウントも全て消去し、他人の目線が怖くなり、外に出歩くこともなく、風呂にも入らず、深夜にカップラーメンをすすり、昼夜逆転の生活をすることによって、自殺する勇気のない自分は身体を蝕み続けることしかできなかった。

今回のク・ハラさんのような超有名人が自殺する背景にも、少なからず自分と同じような自傷行為の先にあったものではないかと思う。

国、性別は違えど、同世代の彼女が抱えていた苦悩はスーパースターが故に誇張されることになるだろうが、誰にでも起こりうることが発端となり導かれた結果なのではないだろうかと思う。

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