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マクドナルドのクレーム対応と夫婦喧嘩

お散歩ついでに立ち寄ったマクドナルドで、おじさんがクレームを付けていた。何に怒っているのか最後まで正確には理解できなかったけれど、自分の望むタイミングで決済されなかったことに腹を立てているのだけは分かった。

スマホから注文してるくらいだから、まだまだ若いモノには負けないというパワーの持ち主だろう。年齢に相応しくないパワーというのは時に厄介だな、と思う。

眼鏡をかけた若い店長が出てきて対応している。一見ひ弱そうに見えたけれど、おじさんの顔をまっすぐ見据えている。威厳こそないが発声には自信が感じられる。媚びる様子もない。

わたしの中で決めかねていた店長への期待度が少し上昇した。


クドクド、本当にクドクドとしか言いようがないクレームが続く。


店長は、おじさんの話を聞いた上で説明もしっかりしているし落ち度はなさそうだけど、おじさんは理解されていないと怒っている。

「お前、俺の言っていること分かってんのか?!」と凄む。

すると店長は「いえ、分かりません。お客様の仰っていることは全く理解できません。」と言った。正直者なのか?それとも、堂々と”分からない”とか”知らない”と開き直ることで逆マウントをとる、あの作戦?

おじさんもちょっと調子が狂ったようだったが、負けない。

クドクド、本当にクドクド話し続けている。

「あ、ちょっと分かってきました。」と店長。

よかった。ただの正直者だった。

それをきっかけにお互い笑っちゃったりして、そのまま仲良くなってくれたら良かったのに、あろうことかおじさんの怒りはエスカレートしている。

そして今までで一番大きな音量の声が発せられた時に、気が付いた。

わたしの思考と、体の反応が食い違っていることに。

頭では「まぁた暇でケチなおじさんが何か言ってるよ。いるんだよね、ああいう人。観察してやろう。」などと余裕で面白がっているのに、

体はやばいぐらい心拍数が上がっている。しかも胃までチクチクしていた。

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人が言い争う場面にかなり弱い体をしているらしい。

頭ではどっちの言い分も理解しようとして、理解出来過ぎてどっちの肩も持てないくらい回転しているのに、体は恐怖か拒否反応か分からないけど、心拍数は上がり手は冷たくなって明らかに(無理です)という状態になる。

大きな仕事の前などは、分かりやすく心と体の両方の緊張を自覚できるのに。

思考と体がバラバラに稼働するこの感覚を例えるなら、美味しそうなフランス料理の写真を見ながらカップラーメンを食べているようなものだろうか。いや違うか。

おじさんは、わたしが自分の心拍数の高さに気が付いてそわそわしている間に納得に至ったらしく、満足げに帰って行った。心の中で店長に拍手を送った。

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帰り道、やっぱり思い出したのは、いつも解決されないまま終わっていた両親の夫婦喧嘩だった。両方の言い分が分かる。この部分はお母さんが悪くて、この部分はお父さんが悪い。そんな考えを全然口には出せずにいた。その時の感覚に似ていると気が付いた。だから何?と思考が言う。手放す必要は全くないと力強く進む足が言う。

フレンチとカップラーメン以外に、この感覚のもっと適切な例えを考えること。

分からないことは分からない、知らないことは知らない、と逆マウントにならずに言うスキルを身に付けること。

明日からのわたしに課すのは、これくらいにしておこう。

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