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ビビッとこないだけ。(超短編小説#17)

先週の合コンで連絡先を聞かれた。
爽やかでなんとなく好みな感じだったから
にこやかに連絡先を教えたけど

あれから連絡は来ていない。


友達に予定を聞かれた。
ランチと聞いて問題なさそうな
日取りを送ったけど

自分のお気に入りのスタンプを最後に
『既読』という二文字が
無機質にこちらに顔を向けている。


こういうときは
上司にねちねち嫌味を言われ
仕事のメールの返事を忘れ
18時までにATMに立ち寄れない


自分なんて世の中にいらないと
思われてるのだ。

と全力で思うくらい
向かい風な日だったりする。


最近周りがどんどん結婚していく。


なぜ結婚できるのだろう


とまだ自分にはその感覚が
訪れていないことを知る。


そして身近な人たちの合言葉は

『いい人いないの?』

という
辞書で『い』のページの最初に
でてきそうなくらい

もう聞き飽きている。



ちょこちょこよさそうな人とは
出逢っている。

でもただ



ビビッとこないだけだ。



たまたま通りがかったお店が
とっても素敵な雰囲気の
ビストロであるように


同僚からもらった送別の品が
とっても好みの香りのする
ボディソープであるように


いつかビビッとくる相手が
きっと表れるはずだ。



いつ訪れるか分からない
いつかに想いを馳せて


今日も同じ景色を眺めている。

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