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信号は青く続く。(超短編小説#9)


明るい時間に走るより、夜走る方が好きだ。
それもできるだけ遅めの方がいい。



冷え切った空気と、暗くてキレイな空に包まれながら、自分の足音と口から出る荒い呼吸が、さらに孤独を深めていく。



今日は青信号が多く、差し掛かった横断歩道で
止まることがない。



LINEがなかなか既読にならなかったり、
映画や食事に誘っても断られたり、
誘われてもその日仕事が入っていたり、
お気に入りの下着を身につけていってもホテルに誘われなかったり、




こんなに青信号が続いているのとは裏腹に、
日常ではいつも足踏みをしながら、
信号の色が青に変わるのを待っている気がする。


青く冷たくこちらを見つめる、
次の信号が見えてきた。

かめがや ひろしです。いつも読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、インプットのための小説やうどん、noteを書くときのコーヒーと甘いものにたいせつに使わせていただきます。