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元カノが結婚する話。(恋愛エッセイ#33)

年末、毎年恒例の地元の忘年会に参加した。


いつも集まる地元のメンバーはとても仲がいい。
たとえ集まりに参加できなかったとしても、周りはいやな顔をせず、
久しぶりに会っても、昨日まで一緒にいたみたいに和気あいあいとできる。


そんな地元のコミュニティにぼくが1番長く付き合った人がいる。
いわゆる元カノ。(以下「亜紀」(仮))

先日の忘年会の終盤、亜紀が一言。

『婚約しました!』


まるで申し訳なさそうに最後のデザートを頼むかのように、遠慮深く、
かといってみんなが耳でキャッチしたその一言は、ぼくの耳というグローブにもすっぽり入ってきた。


ぼくと亜紀はもう別れて5年以上が経過する。
振ったのはぼくだ。
振ったにも関わらず、別れた当初は言い表せない気まずさと、距離感があり、なんとなく地元の飲み会や、地元メンバーの結婚式に、
参加しにくさを感じていた。
もちろんそれはぼくだけかもしれない。


時間が経つにつれて、自分が感じていた気まずさはなくなり、
彼女とも自然に接することができていった。
そして、自然と亜紀に彼氏ができたということも知った。



昨年の夏、地元の先輩の結婚式の帰りに、
友だちから亜紀が結婚するような話を聞いた。


『そうなんだ。』


そのときそう口にしたあと、どこか無音で空っぽの部屋に入った気分になった。


つくづく、男は、自分は、身勝手だ。


よく恋愛について、
『男は別々のフォルダに整理』
『女は上書き保存』
と比喩表現を使われるけど、
年末にどっぷりその表現の雨に打たれた。

寂しいとも違う、
うまい表現があればぜひ教えて欲しい気持ちに包まれた。


ただちょっとした虚構であって欲しいと思う、
浅はかな自分がいたのは否定できなかった。



きっと男は変化に弱いのだ。
自分も変わっているはずなのに。



解散したあと、
ぼくは1度入った改札を出て、
スターバックスで閉店までソイラテと向かいあっていた。



こんにちは、こんばんは。
kamehiroshiでした。

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