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想い出コンピレーション。(超短編小説#11)
洋画を観るとふいに洋楽が聴きたくなる。
いろんなアーティストの曲が入っている
コンピレーションアルバムを聴く。
3曲目にはテレビ番組の主題歌に使われた曲が入っていて
そういえば二人でよく聴いていたことを記憶のプレーヤーが勝手に自動再生してくる。
『絶対によりなんて戻さない。』
曲調の割に強いメッセージが印象的で
当時別れた事実が漂う二人の間を曲は自由に泳いでいた。
数年前のことが
数分前のように感じられる。
こんな普段思い出さないことを思い出して
もしかしたら向こうも今そう思ってたりするのかもしれない。
そう思って携帯を見てみると
いつもの画面がこちらへ顔を向けていた。
数年前はどんどんその大きさを増して
数分前に姿を変えていく。
サビが終わったところでiPodをコートのポケットから取り出す。
次の曲も、その次の曲も
気づくと数年前を数分前に変えてしまうものが続いていた。
数年前がまるで、数分前になる。
そして通過する貨物列車のように
それは目の前を無機質に通りすぎていく。
そうやってまた
思い出して
思い出して
忘れられなくなっていく。
かめがや ひろしです。いつも読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、インプットのための小説やうどん、noteを書くときのコーヒーと甘いものにたいせつに使わせていただきます。