女子からもらった手紙を捨てられない男の話。(恋愛エッセイ#34)
先日パスポートを血眼になって探していたら、
だいぶ前に付き合っていた彼女からの手紙が出てきた。
中身は見ていないけど、
もらった封筒のデザインと、
「ひろしくんへ」という字体で、
送り主がすぐに頭のなかに出てきた。
自分はきっと男のなかでも指折りの、
『手紙を捨てられない男』
だと思う。
「全国手紙を捨てられない男協会」
関係者の方、
こちらを読まれたらぜひご連絡ください。
お待ちしております。
ふと、
中学のときに好きな女の子からもらった手紙を、いつも筆箱に入れていたのを思い出した。
器用にシャツの形に折られていた手紙。
ふと、
別れた彼女からもらった手紙を、別れたあとにめちゃめちゃ読み返したことがあったのを思い出した。
とってもキレイな字でただ美しい手紙。
男は過去の恋愛をフォルダごとに保存と
いわれるけど、
その保存方法は、
だいたいが冷凍保存だ。
鮮度そのままに保存しておくのだ。
もちろん、レンジで1分解凍して元どおり。
なんて思ったりするタイプではない。
ただ、
楽しかったあのとき、
嬉しかったあの言葉、
愛しかったあの体温、
その鮮度を失いたくない
腐らせたくない
そう思って手紙をとっておく。
そしてなんとなく後ろめたくなる。
それが男なのかもしれないと思った。
なんて勝手なのだろう。
かめがや ひろしです。いつも読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、インプットのための小説やうどん、noteを書くときのコーヒーと甘いものにたいせつに使わせていただきます。