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台湾スーパーの覇権争い!カルフールが買収。

台湾でのスーパー利用について

台湾旅行の際に、お土産をスーパーで購入するという方は少なくないのではないでしょうか。空港でももちろん買えるわけですが、スーパーだと安く買うことができます。さらに僕みたいに移住して家族と住めば、スーパーの利用頻度は日常的になります。

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僕は4年前に台北に住み始めたのですが、最初に借りた家の徒歩圏内には台湾のスーパーである全聯(チュエンリエン)、頂好(ウエルカム)、カルフール(家樂福)が、さらには会社の近くには高級スーパーのジェイソンズもありました。

仕事終わりには、妻と散歩がてらに24時間営業している頂好やカルフールに行くことが多かったです。全聯は徒歩1分にあり、コンビニよりも近くで便利でした。今住んでいる場所も全聯、頂好ともにすぐ近くにあります。

だからかわかりませんが、台湾にある各スーパーには想い入れが強くあります。そのため今回カルフールが頂好とジェイソンズを買収するという話は個人的に非常に衝撃的でした。

今回は、台湾に住んでいないとなかなか馴染みのない、だけれども台湾人の日常生活に密接している台湾のスーパーの会社事情について、ご紹介できればと思います。

頂好が失敗した理由

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頂好は24時間営業で、これは強みではありましたが、店内は節電してるのかって思うくらいに暗かったり、店内は音楽がなく活気もなく、大丈夫かなと個人的に感じていました。

台湾での今回の買収劇の報道をみると、頂好の失敗は主に2つ。社員の高い離職率、高い運用コストです。Dairy Farmが頂好を売却したかったのも、主にここでの「出血を止めるため」でした。

頂好は、全聯の創業よりも早い1987年に台湾に進出し、当時は市場のリーダーとして優れたロケーションに多くの店舗を持っていました。

しかし、香港Dairy Farmから台湾に来た経営陣たちは、あくまでもローテーションの一貫で来ており、数年すると台湾を離れるなど、台湾市場に精通した人材が育ちませんでした。

そのため長期的な計画を立てることも困難になり、従業員の経営者に対する帰属意識も低く、優秀な社員の離職率は非常に高く、パートタイムのスタッフでさえ離職しがちだったとのこと。

また頂好は24時間経営により人件費等のコストが高くついていた側面があり、コスト低減のために仕入れ先のメーカーには商品の値下げを要求していました。メーカー側も無理に対応した結果、頂好には期限切れの近い商品が頻繁に卸されるなど、いろんなトラブルが発生したようです。

今回Dairy Farmから売却される頂好とジェイソンズの2019年の売上は464億円で、1店舗当たり約2億円。一方で、後述する業界最大手の全聯1店舗当たりの売上は4.6億円で、半分も満たしません。頂好は遅かれ早かれ、台湾からの撤退をせざるを得なかったようです。

台湾スーパー業界2位を目指すカルフール

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今回頂好とジェイソンズを買収したカルフールを皆さんはご存知でしょうか。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、海外に住んだり、台湾でお土産を買う時にスーパーに行くような方はご存知かもしれません。

カルフールはフランス企業で、世界スーパー市場でも5本の指に入る超大手です。この市場の世界1位はあのウォルマート(日本だとスーパーのSEIYUがグループ会社)。

カルフールは、日本にも10店舗ほど進出していた時期があったのですが、今では日本事業を全てイオングループに売却したようです。また中国大陸にも進出していましたが、2019年に中国家電大手の企業に中国事業を売却しています。

そんなカルフールは、台湾では1989年に1号店を開業と歴史は古いのですが、台湾ではここ最近勢いがあります。台湾の各エリアに大型店として存在感をましており、食品から生活用、さらに場所によっては飲食店やカフェまでがあり、かなりゆったりと買い物ができます。日本のイオンまではいかないですがコストコのような感覚です。今回の買収でもわかるように急激に影響力を高めております。

冒頭でも述べたように、2020年6月2日にカルフールは、香港の小売大手Dairy Farmから頂好株の取得を年末までに完了する契約を締結したことを発表しました。取得金額は約32.3億台湾ドル、日本円にして約116億円。

台湾にある頂好199店舗と25店舗のジェイソンズの合計224店舗が消滅してカルフールに変更されます。カルフールは現在137店舗あり、合計361店舗に。

ただ今回のカルフールによる買収で店舗数が増加しても、台湾でのスーパー店舗数の順位は変わらず3位のままです。全聯と美康社(シンプルマート)の2強が立ちはだかります。カルフールは今後も出店を加速させ、まずは台湾2位の座を目指していくようです。

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カルフールは台湾に現在137店舗ありますが、約半数は大型ショッピングセンターです。日本のイオングループのように、小型のスーパータイプから大型ショッピングセンターもある、と想像いただければわかりやすいと思います。

昨年のカルフールの台湾での売上高は、2372億円で、税引前利益が240億円。今回の買収では、店舗だけでなく物流倉庫等も含まれており、シナジーをうみだしコスト構造の最適化をしていくと強調してます。

香港企業では攻略できなかった台湾市場を、日本と中国で失敗しているフランス企業が攻略できるのか、今後は見ものです!

台湾No.1のスーパー全聯福利中心

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台湾スーパー業界不動の1位、全聯福利中心。1998年に創業し、ライバルスーパーの買収を繰り返し、約20年で店舗数が1000店舗を超えました。台湾では全国に店舗があり、現在では1,003店舗に。

頂好は台湾北部に店舗を大半を展開していたため中南部では知名度が低いですが、全聯は文字通り全国に満遍なく展開しており、台湾人なら誰でも知っているスーパーです。

全聯は消費者目線でスーパー作りをしているように個人的に感じられます。店内で音楽が流れていたり、店舗内も明るく、日本のスーパーにいるような雰囲気で居心地は良いです。

また独自のモバイル決済「PX pay」を2019年5月から開始し、既に台湾の総人口の5分の1にあたる500万人以上が登録。ユーザーの多くは40代以上の女性層とのこと。これだけでもいかに台湾人に影響を与えているスーパーかおわかりいただけるかと思います。

全聯のモバイル決済だけでなく、台湾のキャッシュレス事情についてはカプセルの社員が記事を書いておりますので、よければご参考まで。

どうだったでしょうか。台湾のスーパーは日本の方からすると身近ではないですが台湾ビジネスを少しでもお届けできたなら良いなと思っております。好評であればこのような在住者ならではのリアルな情報を共有していきたいと思います。

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ではまた次回!

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亀貝康明
台湾在住。
CAPSULE Inc.取締役 (https://www.capsuleinc.co/?language=JP)
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