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詩集『小さな幸せ×1000=大きな幸せ』(かめれもん★による書評)

はじめに

この度、世間にあまり知られていないであろう若手詩人による詩集を広く知っていただくため、かめれもん★は書評を書かせていただこうと思い立ちました。書評と言っても、著者(白鳥鈴奈さん)が感じたことを論ずる力は、私にはおそらくありません。ですので、これは書評というよりも個人的感想と思っていただけた方がよいかと思われます。著者を、この個人的感想で全力で肯定させていただこうと思います。どうぞよろしくお願い致します。そして、これを機にこの詩集に手を伸ばし、現代詩(つまり現代の詩ですが)も捨てたもんじゃないなあ、と思ってもらえると、私としてはこれほど嬉しいことはありません。

1、表紙のタイトルについて

まず、表紙に書かれたタイトルを見てもらうと、『小さな幸せ×1000=大きな幸せ』とあります。この小さな幸せとは、一編一編の詩だと思われます。そしてページをめくるごとに小さな幸せが、1ポイント、2ポイント、とたまっていき、やがて詩集を読み終わるとき、読み手は大きな幸せに包まれるということだと思います。これはおそらく著者の願いですが、それをこの本の表紙をめくるときに感じてもらえれば、それだけでまず、小さな幸せが1ポイント、あなたの胸にチャリンとたまると思います。

2、目次および気になる詩

目次は、まずささやかな日々の中の幸せを歌っており、季節の移ろい、それから小さくて愛しいものたち、最後に童話のような物語詩が収録され、著者のファンである坂本真美さんからのメッセージ、そして著者あとがきが添えられています。

その中でやはり目を引いたのは、最後に数編登場する物語詩と言えるでしょう。一編(一部省略して)ご紹介します。


「雪物語」

はかなくも美しく

冷たくも透き通る 雪の結晶

それにはこんなわけがあるのです

(中略)

そんな哀しくも 美しい愛があるからこそ

雪を見ていると

なんだか静かな気持ちになるのです


いかがだったでしょうか。詳細はカットしたので、中身はあなたが想像力を膨らまして楽しく自由に解釈してください。それが詩の醍醐味でもあるのです。

3、著者あとがきで気になる文

最後に、私が共感した著者あとがきによる文を一つ、紹介させていただきましょう。

「私はおとなしい性格で、思ったことをなかなか目の前にいる人に伝えることができませんでした。しかし声に出して話をするには勇気がいることも、照れくさいことも、詩は気軽に書けてしまうのです」

この文は、静かに私の胸底に届いた一文でもあります。私自身も、声に出すと人前ではどもってしまうことも少なくありません。しかし、書くという行為、詩を書く行為なら、私が思っていることをストレートに読み手に届けられる、そんな気がするのです。

おわりに

今回のこの書評を、少ないけども、大切な方々に届けば、私としてはやはり嬉しいことなのです。この機会、現在、コロナさんが流行っておりますが、自宅待機で皆負けずに、魂の奥深くに届く詩を読みましょう。きっとこれからの生きる糧として、さりげなく側にいてくれる親友のように、この詩集も私達の傍らに存在してくれることだと思います。

ありがとうございました。

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