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うたまとめ

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これまでnoteに公開してきた詩群をここに紹介しておきます。
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記事一覧

【詩】雨上がりを超えていく時間

梅雨の さらさらとした雨は 去っていった 夏の空は見えず どんよりとした雲 水不足のからだ 僕は呼吸をしているが 水の中にいるようで 生きているのだろうか ぶくぶく ぶくぶく 泡を吐く 水のなかの退屈な現実 一回転してみる 二回転してみる あの空に幽体離脱して また現実に戻ってくる そして無限大のあくび 生きようと 思わなくても 自動的に 生かされる 日本という国 生きるとは 結局は生かされている としか言えないだろう 僕は自力以上に 他力の壮大さに圧倒され

【詩】言葉が届く世界

言葉が届く世界 詩人たちの希望 言葉が届く それは 人々に 愛がとどく ということ 夕空に 相手がいない キャッチボールのように うたえがき 虹の放物線 言葉よ とどけ 言葉よとどいて 詩人たちの声は 空に 反響する 愛のある言葉は 夕凪のように やさしく きらめきながら 愛のない言葉は 枯葉のように しずかに ゆらめきながら 言葉はうつくしい しかし 言葉よりも あの夕空に どうしたら勝てる というのか 言葉には重力がある 自然には重力がない 言葉は自然か

自由律俳句「幼い頃の記憶が金魚のように揺れている」

水槽を 見つめ続ける こぽこぽと 空気の音が 響き続ける たぶんこの 金魚とはもう お別れだ いつか未来で 会えたらいいな あれは、どこかの店だったか。 たくさんの魚が、色々な水槽に入れられ、柔軟な動きをし、泳いでいた。 周りに、近づいてくる人はなくて、僕は、水槽の魚の寿命を想像しつつ、彼らとの未来の在り方を、誰にも理解されないとかすかに思いつつ、模索していた。

自由律俳句52選~こだわりの味~

勝手に、ということになるかもしれませんが、自由律俳句作ってみました。 52句あります。 この記事に関しては、僕が勝手にキャッキャッと楽しんでいる部分が大きいかもしれず、今回は、ほぼ自分のために書き記します(目的としては、エックスに活用したり、ストレス解消に利用したり、お題をもとに自由律俳句、という新しい詩の記事を検討したりし、この記事の形式が、今までより少し古くなる可能性もあるため)。 読みたい方は、ぜひ、読んでみてくださいね。 クオリティは高めを意識していますので、

【詩】日常に侵入してくるユーモア

とある休日の よく晴れた日 車の扉を閉める 「バンッ!」 という音が 遠くに聞こえた 唐突に 「ババンババンバンバンッ♪」 という音が鳴ってもよさそうだな という妄想がふくらむ 映像も音と連動して動いていたら 何かのMVができるかもしれない というさらなる追及的妄想 反すうの鎮静化を試みて詩

自由律俳句「広い野原の向こうから人が歩いてくる」

遠くから 誰か歩いて 来て見たら 知り合いだった のほほんとして 緊張が 一気にほぐれ ニヤニヤと 笑みがこぼれる なぜそこにいる 広い野原には、何が似合うだろう。 太宰治は、「富士には月見草がよく似合う」という名言を残しているが、これも同じ風景なのだろうか。 言語化が、いつもよりむずかしい。本人は、おそらく、なんとも言えない感情で、気まぐれにそこに、立っていたから。

自由律俳句「遠くから聞こえてくる小田和正」

高い声 透きとおる声 ああこれは 小田和正の 『今日もどこかで』 いつもなら 出てくる短歌 出てこない この人のあの 名曲みたいに 小田和正の『今日もどこかで』。そして、言葉にできない、あの名曲……。 この曲、いや、小田さんの数々の名曲に救われたことは、数知れず。 ちなみに、この間NHKで放送されていた『こんどこそ、君と!! 〜小田和正ライブ&ドキュメント2022-2023〜』という番組は、何度も繰り返し、小田さんが歌っているところ、お客さんの表情、希望に向かって歩き

自由律俳句「たぶん触った時に指がジュッと火傷した」

火傷した 人差し指を 冷やそうと 急いで水の ある場所に行く かわいそう そうだ自分は かわいそう なんて思って みて笑いたい 人生で、火傷をしたことは、あったような、なかったような、実は少ない。 だが、周りで火傷した人を見たことは、何回かある。 火傷とは、不思議な傷であり(物理的な傷とはまた違うかもしれない)、これからも、そのようなケガをする機会は、なるべく減らしたい。

自由律俳句「コンクリートに落ちた箱の中にお菓子」

ついやって しまった時は すでにもう 箱の中身は イメージできる すこしだけ 時を待っても 変わらない 現状を知り 箱を開けます お菓子を喜んで手に入れたものの、そのお菓子が台無しになる瞬間は、日常の中にさりげなく登場する。 ソフトクリームが、うっかり、夏の日差しに溶けてしまったようなものだ(アリにとっては、おそらくよいこと)。 コンクリートに落ちた時の箱の「バン!」という音が、せつなすぎる……。

自由律俳句「畳の上を裸足で歩く」

靴下を 履かないままで 畳上 フェタフェタ歩く 少しすずしい なつかしい 足の感触 思い出す 季節が夏に 向かい出すから 畳の手触り、いや、足触りを経験したことがある人は、どれくらいいるだろうか。 足と地面、もしくは畳と、自分が一体になっている感覚。 そして、自然の、やさしいふるさとのような、足触り……。

かめれもんの新作・自由律俳句33選

新作の自由律俳句を、33句まとめました。 すでに作成している自由律俳句から厳選し、前回の107句よりも、少し質の高い句を選定することを心がけました。 前回よりも、短時間で、気軽に読みやすくなったと思うので、時間がある時に、よかったらご賞味ください。 それでは、どうぞ。 議論していることに満足している つまようじの使い道に困る 警官に手を挙げるように犬の前を進む 晴天の下持ち運ぶバケツの水 よくわからないスポーツの練習をしている 跳び箱を跳べたからなんだという

新作・自由律俳句107句(ズラッと並べておる)

エックスで、自作の自由律俳句をたくさん紹介したい気持ちがあったのですが、どうやら投稿頻度を上げづらそうなので、こちらのnoteから投稿させていただきます。 質は微妙かもしれません。新作(初出し)107句がウリとなっています。 それでは、どうぞ。 もしかしたら霊能力あるかもしれません 慕われているように見えている 水族館の暗闇に光るスマホ たばこの煙を避けて通る 死にかけの虫の命を救えた 対処できるが対処し続けたくはない たまには筋トレをしてみる かろうじて

【詩】ロケットパンチを受けても大丈夫

パンチ パンチ パンチ はあっ はあっ うう へっ てめえのパンチなんか ニセモノのロケットパンチだ 痛くはないが 少しかゆいぜ どうしてくれんだよ ははっ それに比べて あのロケットを見てごらんよ 宇宙規模の蒼天に カウントダウンまでされてよ 深紅の炎を垂直に バーニングしまくっているぜ おまけにテレビでは 中継もされ ドラマにもなり 社会的反響は大きいみたいよ お前のロケットパンチなんか 湿ってらあ 料亭に出てくるおしぼりみたいなもの

【詩】ダイナミックそれ僕恐竜

ダイナミックそれ僕恐竜 影に隠れて 地球に今も 住んでいる お母さんはね 月に住んでる お父さんはね 星に住んでる 月がきらきらしている時 星々は遠くでまたたいて 僕はゆっくり 街の影を歩いていくよ ぴかぴか ひゅおー ゴーゴー ガタンゴトン ザーザー ザザザ さびしくない のっしのっし きらきらきら ほら僕ダイナミック恐竜 おわり。