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行動経済学の逆襲 要約⑦

 年会費を支払ったものに対して、「いっぱい利用しないと損した気持ちになる」というのは、エコンにとってあり得ないことだそうです。
 これは一体どういうことなのでしょうか?
 第8章「サンクコストは無視できない」の要約になります。

【全体の要約】
 既に支払ったサンクコストは、そのあとの行動に影響を及ぼさない、というのが従来の経済理論の前提である。なぜなら、その後の行動は支出に何も関係がないからである。
 しかし、ヒューマンは「損をした」という感情を避けるため、サンクコストが無視できず、「効用」を得ようとしてしまう。

1.サンクコスト

 「サンクコスト」とは、すでに使ってしまい、もう取り戻せないお金のことを指します。
 従来の経済理論では、サンクコストは無視しろと言われます。なぜなら、すでに支払い終えているため、そのあとどのように行動しようと支払った事実は変わらないからです。

2.サンクコストを無視できない事例

 世の中には、サンクコストを無視できない事例がたくさんあります。
 例えば、「ジムの年会費を支払ってしまったから、体を痛めても通ってしまう」・「靴が足になじまなかったけど、もったいないから履いてしまう」のようなものです。
 ジムの年会費を払っていなかったら、靴がもらいものだったら(セール品だったら)、違う判断になっていることでしょう。

 また、一般に支払から時間がたつにつれて、サンクコストは忘れられていく傾向にあります。ジムの例でいうと、年会費を支払った月は頑張れるけど、だんだん行かなくなってしまう、ということです。

3.なぜサンクコストを無視できないのか?

 では、なぜヒューマンはサンクコストを無視できないのでしょうか?
 第7章で、人は「獲得効用」と「取引効用」の2つの効用を感じることにより、商品にお金を支払っても「損をした」とは感じないことを説明しました。
 サンクコストの場合、支払った後のサービスを受けることによって「獲得効用」が得られます。そのため、サービスを受けられないと「損をした」という気持ちになってしまうのです。
 人は損したと思いたくないので、必死で「効用」を獲得しにいってしまう、ということになります。

以上が第8章の要約になります。

次回予告
次回は、第9章「お金にラベルはつけられない?」です。


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