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東京大学経済学部出身、社会人一年目です。 社会人になり、読書をする機会が増えたので、本…

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東京大学経済学部出身、社会人一年目です。 社会人になり、読書をする機会が増えたので、本の要約を投稿していきます!

マガジン

  • 要約「行動経済学の逆襲」

最近の記事

行動経済学の逆襲 要約⑮

 今回は、これまでも登場した「保有効果」に関する具体的な実験のお話です。第16章「マグカップのインスタント保有効果」の要約になります。 【全体の要約】  保有効果に関する実験結果は経済学者から例のように批判を受けたが、その批判をもとにした再実験でも、保有効果は認められた。  保有効果は、変化をきらう「現状維持バイアス」と「損失回避」の2つの側面から説明できる。 1. 保有効果に関する実験と批判  著者は次のような実験を行いました。 被験者を2グループにわける。 Aグルー

    • 行動経済学の逆襲 要約⑭

       私たちは、利己的な判断をすれば自分が得をできる場面でも、他の人との協力関係を維持することを選ぶことがしばしばあります。  今回は、第15章「不公正な人は罰したい」の要約になります。 【全体の要約】  エコンはならば利己的な判断をする場面で、実際の人間は「自分が損をする」判断をすることがある。  その背景には、「不公正な人を罰したい」という思いがあり、周りの人が協力関係を維持してくれるなら自分も維持する、という判断が見て取れる。 1.最後通牒ゲーム 次のようなゲームを考え

      • 行動経済学の逆襲 要約⑬

         コロナ禍で、マスクの転売が問題視されていましたが、市場原理にのっとれば、需要の高いものの価格上昇は当たり前のことだといえます。  果たして、どこまでが許容されてどこからが不当だと感じるのでしょうか? 今回は第14章「何を公正と感じるか」の要約です。 【全体の要約】  経済理論では、需要の増加が価格の上昇を招くのは当然の結果だと捉えられるが、一般消費者は「不公正だ」と感じる。  この「不公正感」は、普段の取引条件が悪化したときに感じるものであり、企業への不信感にもつながりか

        • 行動経済学の逆襲 要約⑫

           第2部~第3部で、メンタルアカウンティングとセルフコントロール問題について、話してきました。この章では、そうした行動経済学の見地が、実際にビジネスに結びついた例を2つ紹介しています。  今回は、第13章「行動経済学とビジネス戦略」の要約です。 【全体の要約】  これまで取り扱った、「取引効用」や「サンクコスト」などの考え方を用いることで、実際のビジネス戦略を立てたり、説明したりすることができる。 1. スキー場の黒字化作戦 舞台は、グリークピークというスキー場。このスキ

        行動経済学の逆襲 要約⑮

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        • 要約「行動経済学の逆襲」
          17本

        記事

          行動経済学の逆襲 要約⑪

           私は、おやつが大好きなので、おやつを食べ始めるとついつい食べ過ぎてしまいます。そんな自分とどう戦うかは、「セルフコントロール」の問題と呼ばれています。  今回は、第12章「自分の中にいる計画者と実行者」の要約です。 【全体の要約】  2つの自己モデル、を用いることでセルフコントロール問題は説明でき、「計画者」が「実行者」の行動をどう管理するかという問題になる。  セルフコントロール問題に対処するには、「コミットメント」と「誘惑に負けた時のコストをあげる」の2つの方法がある

          行動経済学の逆襲 要約⑪

          行動経済学の逆襲 要約⑩

           毎月給料日前になるとお金がなくて困ってしまうのに、給料日になるとすぐお金を使ってしまう、なんていうことはよくある話です。何となくお分かりかとは思いますが、エコンならばそのようなことにはなりません。  今回は、第11章「いま消費するか、あとで消費するか」の要約です。 【全体の要約】  人は、将来の消費の価値を割り引いて考える傾向がある。また、その割引率も一定ではなく、遠い未来の話ほど割引率は小さくなる。そのため、消費を判断する時点によって、判断が変わることがしばしばおこる。

          行動経済学の逆襲 要約⑩

          行動経済学部の逆襲 第2部まとめ

           第2部の要約が終わりました。  短いですが、整理する意味も込めて、まとめます。 第7章「お得感とぼったくり感」  私たちは、取引から効用を獲得しているから、お買い物をしても「損した」とはならない。効用には2種類あり、商品自体から得られる「獲得効用」と取引についての「取引効用」がある。  「取引効用」とは、要するに、お得かぼったくりか、と考えるとわかりやすい。 第8章「サンクコストは無視できない」  すでに支払ってしまったものから、何とか効用を回収しようとしてしまう人間心

          行動経済学部の逆襲 第2部まとめ

          行動経済学の逆襲 要約⑨

           ギャンブル中の人間心理は面白い、負ければ負けるほど損を取り返そうという気持ちになり、勝っているとそれはそれで大勝負に出たりもする。  こういった心理は、どのように記述すればよいのでしょうか。第10章「勝っているときの心理、負けているときの心理」の要約です。 【全体の要約】  ギャンブルをしているとき、人はプロスペクト理論の予想とは逆の行動をとることがある。勝っているときは「ハウスマネー効果」によりリスク追求的に、負けているときは「ブレークイーブン効果」によりリスク回避的に

          行動経済学の逆襲 要約⑨

          行動経済学の逆襲 要約⑧

           今回は、お金のラベル「予算」に関するお話です。  第9章「お金にラベルはつけられない?」の要約になります。 【全体の要約】 経済学には、「お金は代替可能である」という大原則がある。 しかし、私たちは、「予算」を決めることでお金の使い道を決めてしまうことが多い。それは決して間違いではないが、時に「予算」に縛られておかしな判断をしているケースも見受けられる。 1.予算という考え方 私たちは、よく予算を設定します。家計では、「食費用のお金」・「家賃用のお金」・「娯楽用のお金」

          行動経済学の逆襲 要約⑧

          行動経済学の逆襲 要約⑦

           年会費を支払ったものに対して、「いっぱい利用しないと損した気持ちになる」というのは、エコンにとってあり得ないことだそうです。  これは一体どういうことなのでしょうか?  第8章「サンクコストは無視できない」の要約になります。 【全体の要約】  既に支払ったサンクコストは、そのあとの行動に影響を及ぼさない、というのが従来の経済理論の前提である。なぜなら、その後の行動は支出に何も関係がないからである。  しかし、ヒューマンは「損をした」という感情を避けるため、サンクコストが無

          行動経済学の逆襲 要約⑦

          行動経済学の逆襲 要約⑥

           同じものでも、場面によって支払う値段は変わってきます。  居酒屋でビール一杯700円で売っていたら、「ぼったくりだ!」と思うのではないでしょうか? 一方、野球場でビール一杯700円で売っていたら「まあ妥当だな」となりますよね。(ちなみに私はなりません。)  今回はこうした違いに関するお話です。第7章「お得感とぼったくり感」の要約です。 【全体の要約】  消費者は、消費から2種類の効用を獲得している。「獲得効用」と「取引効用」だ。「取引効用」は参照価格と実際の価格との差で

          行動経済学の逆襲 要約⑥

          行動経済学の逆襲 第1部まとめ

          ようやく、第一部の要約が終わりました。 自己満足も含め、その記事をまとめて掲載したいと思います! 第1章 「経済学にとって無関係なこと」従来の経済理論の前提である「エコン」と、私たち「ヒューマン」のふるまいの違いについてのお話。 第2章「観戦チケットと保有効果」 すでに手に入れたものは、手放しづらいというお話。 「機会費用」と「保有効果」がポイント。 第3章「黒板のおかしな行動リスト」  人間の誤った行動・判断はランダムに生じるものではないというお話。 「ヒューリスティ

          行動経済学の逆襲 第1部まとめ

          行動経済学の逆襲 要約⑤

           第5章「神を追いかけて西海岸へ」では、著者がカーネマンとトヴェルスキーのもとを訪ねた際のエピソードが書かれています。行動経済学に関する学びはないので、省略します。  さて、著者が「行動経済学」の研究に関する講演を行うと、従来の経済学者から批判がおおく寄せられていました。  この批判は現在でも続いているものであるため、行動経済学への批判とそれへの反論をまとめていきましょう。  今回は、第6章「大御所たちから受けた棒打ち刑」、の要約です。 【全体の要約】  行動経済学への代

          行動経済学の逆襲 要約⑤

          行動経済学の逆襲 要約④

           子供のころ、1000円のお年玉にあんなに喜んでいたのに、社会人になったら1000円に喜べなくなってしまった。なんていうことは誰しもが経験として感じている事かと思います。同じ1000円に関する価値の差をどのように説明するのでしょうか?  今回は、第4章 「カーネマンの「価値理論」という衝撃」の要約です。 【全体の要約】  価値関数のグラフより、①感応度逓減性②損失回避性③利得と損失に対するリスク態度、の3点が読み取ることができる。 1. 富の限界効用逓減  下のグラフは、

          行動経済学の逆襲 要約④

          行動経済学の逆襲 要約③

           著者であるリチャードセイラーは、従来の経済理論では説明できない人間の行動について、黒板に書き連ねていました。こうした行動はどのようにして説明できるのでしょうか?  今回は、その導入となる部分、第3章「黒板のおかしな行動リスト」の要約です。 【全体の要約】  人間は、従来の経済理論と矛盾する行動をとる。こうした、「誤った行動・判断」は、誤差項として無視できるものではなく、系統的に生じるものだといえる。  人間は、「限られた合理性」のもと、「ヒューリスティクス」に基づいた行動

          行動経済学の逆襲 要約③

          行動経済学の逆襲 要約②

           あなたはライブのチケットを定価で買った。このチケットがいま、定価の3倍の価格で転売できることを知った(ここでは、違法ではないことにしましょう笑)。さて、あなたはライブに行きますか?転売しますか?  あなたが、エコンならば、「転売をする」という回答になります。しかし、実際は「ライブに行く」と答える人も多いでしょう。  今回はそんなお話に関する、第2章「観戦チケットと保有効果」の要約になります。 【全体の要約】 人間は、同じ価値のものを、異なる価値を持つものと考えてしまう。

          行動経済学の逆襲 要約②