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知人は多いが友達は少ない私

 家庭塾で教えるということをしている。
今はやっていないが、お菓子作りを教えることもしていた。
できなかった相手ができるようになる瞬間が好き

普段の時間の使い方は、主婦として家事、家庭塾、個人事業の夫の仕事の手伝いである。狭いエリアで生きている。

 そういうわけで(どういうわけ?)、実は友達は少ない。
下重曉子さんがおっしゃられていたと思う。
友達は要らない的なこと。
彼女のような立派な方と、私が同じ意見だからどうということもないが、その言葉を見たとき、思わず膝を打った。
これだよこれ。

 大学時代に、同級生が言っていた「私の親友がね~」という表現。
親友の定義がそもそもわからなかったので、私の親友って誰だっけ?と思った。
そもそも友人でさえ、何なのかわからない。

 ※知っている同級生
 ※しゃべったことのある同級生
 ※誰かのつながりで一度ボーリングに行った同級生
 ※サークル仲間

 彼らは友人なのか。

 小学生までは「クラス全員友達」・・・みたいに使っていた「友達」という定義。

 中学生になり、女子特有のグループに分かれがちになり、所属先が不安定だった私は、友達がいたのかいなかったのか。

 ※一緒にお弁当を食べる
 ※一緒に通学する
 ※休みの日も遊ぶ

 それらが友達の定義だとすれば、いてたかな?

 高校は、そう、高校辺りから友達がわからなかった。なので、大学の時はもっとそうだった。
 なので、先の同級生の「親友」発言が、こそばかった。
「友達じゃなくて親友なんだよね?相手もあなたのことそう思ってるか確認した?」
まぁ良いけど・・・と、ちょっと意地悪な質問を、心の中でしながら話を聞いていた。

 その後、職場、家庭教師、留学中に出会った人、勉強会、お菓子作り、趣味関係、手伝っている夫の仕事関係・・・で知り合って親しい人はいる。
 高3のクラスメイト、お菓子作りで知り合った人は、しょっちゅう会わないが、何かあればいつでも相談したりできる。しばらく疎遠にしてたからって、「あんたみたいな、たまにしか連絡してこない不義理な奴とは付き合わない」と言われていない。思われてもいない・・・はず。
 2年に1度位の、激ゆるな頻度で会うのは、留学中に知り合った人。急に「リモートで話そう」とか3人で超盛り上がる。
 趣味でご一緒している人は、比較的頻度が高く会うが、よく考えたら、彼女は私が勉強を教えていることは知っているが、夫の仕事の都合で東京に行ったり、たまに海外も行くが、そういうことは全く知らない。
 相手によって区別しているわけではなかったが、彼女がよくしゃべる人なので、私は聞く割合が多くなりがちだ。

 誰とでもすぐ打ち解けられる私だが、数年前嫌な思いをして、人との距離感に注意している。
人生も折り返し地点を過ぎ、後半の人生は、はなるべく穏やかな人間関係を形成するためだ。

 自分の姉の次に、心の中まで話しているなと思うのが、実は元教え子である。
教え子と言っても、今では中高生男子の母となっている。
結婚式も参列した。
一回り年下の妹みたいなものである。
彼女はかなり前から私に「ですます調」でしゃべっていない。
 2,3か月に一回、彼女の家でランチをする。
ケーキやクッキーを作って持っていく。
若い人の作るランチはこ洒落ていて、作り方を教えてもらう。目新しいもの見つけたと、気の置けない値段のレベルで、野菜やら食材を買って、くれたりもする。私の情報源でもある。
 しょっちゅうLINEでやりとりもしてるのに、なんでさらに会うかというと、なんか波長が合うからと思う。思いっきり笑えるのだ。

 一回り下と言えば、派遣先で一緒だった子は、私の考え方に影響を与えた一人である。引っ越して遠くへ行ってしまったので、なかなか会えなくなってしまったが、いつでも心はつないでいる、そんな気分である。
 私とは性格も似ていないし、好みも違う。
彼女は物静かだ。目立つこともないが、かわいいので、会社の部署の独身男子から告白されても、常にさらっとかわしていた。
 その、さらっとということが、彼女の尊敬すべきところである。
会社(仕事)で、嫌なことがあると、私はお昼休みなどボヤいていた。彼女はそれを、絶妙な合いの手で受け止めてくれる。
でも彼女自身は、ほとんどボヤかない。
 当時、彼女の直属の上司(係長)は最悪だった。仕事は本当にできなかった。成果を上げないだけならともかく、ミスも多かった。係長の6000万決済ミスが定時前に発覚した。にもかかわらず、彼はその尻拭いを彼女に押し付けて、趣味のオタクイベントで定時退社した。彼女は12時過ぎまで残業して修正した。
 翌日、その係長は「無事間に合いました」と喜々として部長に報告していた。彼女には気持ちの悪いウインクを送っていた。私も目撃していて、激怒していた。
 しかし、当の彼女はさらっとしてた。
「もうね、〇〇(あだ名呼び捨て)のことを、頭に浮かべないことにしてるんです。考えてなんか良いことあれば考えますけどね。ほら、〇〇って名前をこうやって発したり、脳内のすきまに置くだけで脳が損するから。すべて流しますよ。えぇ、私・・一切合切流します」
と、とても穏やかに言っていた。
目は遠くを見て、まばたきひとつしていなかった。

 その日の夕方、市内でお祭りがあり、一緒に行った。
楽しそうにりんご飴を食べていた彼女を、私は心底尊敬した。

 そこから、私も、誰かのせいで嫌なことがあったりしても、今まではごちゃごちゃ言っていたが、流すように心がけた。
「私も流すよ」と言ったら、
「ええっ、そうそう。ねこにゃんさんもどんどん流してください。ジャブジャブ流しちゃって下さい」と。
今でも「流せ、流せ、ジャブジャブ流せー」とつぶやきながら、家事をしていることはある。

 最近、ちょっとしたことで知り合った人がいる。
動物的勘のようなもので、彼女とは気が合いそうな予感がしている。
大した話はしていないが、彼女のワードに、電流回路の豆電球が点灯するのだ。今のところ、距離感を詰めてはいない。
しかし、なんと、彼女も、妹もどきの元教え子と、ジャブジャブ流す元同僚と同じ年であった。

 友達なんて、軽いカテゴリーのものは要らない。
メンター
私に影響を与えてくれる、居心地よい面白キャラの人
というのがふさわしい。





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