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市立ビーバップ中学校

卒業した学校の校歌を覚えていない。
学校がサッパリが面白くなかったので、記憶から校歌が抹消されてしまったらしい、笑。

小学生の時に、神奈川県内の某市へ引っ越した。
歴史ある学校で、校歌は開校した頃に作られたままの、低音で重みのあるメロディー。
転校生だった私は古い歌詞の意味が分からず、歌うと暗い気持ちになった。明るくなれなかったのは、学校に馴染めなかったせいかもしれない。

中学校は、良くいえば文武両道。
小学校の時から多くが塾に通っている環境なので、周囲の学校より学力の高い生徒が多かった。
部活動も文化部はコンクール入賞、運動部は県大会優勝が“普通”で、廊下にはショウケースがありトロフィーが複数飾ってある。
このレベルの高さは、市外にも伝わっていた。

以上が表の顔なら、裏の、いや【本当の姿】は、マンガ『ビーバップハイスクール』の登場人物みたいな生徒が目立っていた。
男子はチリチリにかけたパーマが顔の倍の高さまであり、ダボダボのズボン。女子は茶色の髪にパーマをかけ、スカートは長い。

ねんねぇで何も知らない12歳の私が、入学間もない頃に廊下で目撃したのは、上級生のキスの場面だった。女の先輩は硬直して立ち尽くす私に気づき、見せつけるようにチラチラ視線を向けキスを続けた。

別の日には、部活道具を洗うため廊下へ出たらシンナー臭かった。最初は臭いの強いペンキかと思っていたのだが、同級生からこの鼻にツンとする刺激がシンナーなんだよと教わった。

こんな環境は学校だけで充分なのだが、先輩や同級生のビーバップたちは、海岸から学区の住宅地を夜中にバイクでブイブイいわせていた。
もちろん無免許で。
リアル『湘南爆走族』である。

家の前の道路を30台ほどの「族」たちが走り、後ろをパトカーが追う。
カーテンの外がまぶしく煩くなるので、起こされ迷惑なのだが、子供ゆえ好奇心もあり、窓からこっそり外を見てバイクを数えた。

部活動に熱心な学校で、入部は必須。非常に厳しい活動だった。(入賞するはず~)
いま思えば中坊の部活程度で、やたら上下関係が厳しく、上級生は教師より怖かった。
無駄に怖い上級生のおかげで、中学生で世の中の理不尽を体験した。

学生時代、父は仕事がうまくいかず家族に八つ当たりするので、両親はしょっちゅう喧嘩をし、家の雰囲気は悪かった。
その影響で私はふさぎ込み、部活では暗いと言われ仲間はずれにされイジメられたが、部活の変更は規則で許されなかった。
受験勉強のため、部活の引退がどんなに嬉しかったことか!

年月が経ち、私は社会人になった。
未成年の頃の出来事を知る人はいない。大切なのは組織に協力的でまじめに仕事をすることで、両方を満たしていれば問題なく受け入れられる。
私は環境が変わり、生きるのが楽になった。
仕事をするのが、働き始めた頃も今も楽しい。

同級生たちの近況も耳にはいってきた。学生時代にイジメの中心だった人物は、公私共に苦労したという。
やり逃げはない。やったことは別の形で返るのだなと、静かに思った。

陰陽、苦楽は交互にやってきて、初めの頃に「あちゃー」な体験をしてしまうと、後が楽だと思う。

もし若い頃の私に声を掛けることが出来るならば「大丈夫だよ」キツイ学校生活だけど、期間限定の3年間しかない。
3年経てば環境が変わるから、大丈夫。

学生の頃のイジメなど、子供の判断だから、それが絶対ではない。
イジメられた側がダメなのではなく、むしろ他人が気になり(悪口や仲間外れなど)制裁してやろうと思うほうに問題があるのは、大人になってから分かった。

だから、なんとか踏んばって、生きていきな! その後の人生のほうが長く、楽しいことも待っているよ! と励ましたい。

今日は、本当はダークでナーバスな話を書く予定ではなかったけれど、一度自分のなかでまとめておきたい出来事だったので書いておくことにした。

因みに、ビーバップだった中学校は今も存在していて、この記事を書くにあたり検索したところ「非常に雰囲気が良い、優良校」だと高評価の口コミが複数でてきた。
そんなわけで、学校の名誉のために市も校名も伏せておく。笑

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