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過疎地でお店をオープンした26歳そば職人

過疎発祥と言われる島根県。そして島根の中でも、高齢化が先行している中山間に位置する奥出雲町。

そんな土地に来て1年半。20代の繋がりが少しずつ増えてきた。その繋がりの中に先日お店をオープンしたそば職人がいる。

今回はせっかくの機会なので、そんな彼との出会いやお店のことについて書いてみようと思う。

そば屋での出会いは去年の5月

彼がそば屋

2022年5月のある日。とある方の案内で、山県そばを訪れた。
その時に初めて出会った20代のそば職人と彼の打つそば。

その時は忙しそうだったこともあり、その場では挨拶程度で終わった。それでも、私のいる古民家オフィスに来てくれたりと、すぐに意気投合し休みの日は一緒に遊ぶことが増えていった。


近くのカフェに行ったり、山に登ったり。


互いに自前のカメラを持っていたため、景色の良いところに行っては写真を撮りまくった。


特に良かったところは、島根県と広島県を跨ぐ吾妻山。かなり高いところまで車で登っていける上に、山の上とは思えないほど整備された草原が広がっていた。

あと、お互いに好きなロックバンドのライブにも一緒に行った。東京に行くこともほとんどないということで、1泊2日で東京を少し案内した。(めっちゃ歩いた笑)

彼がかけるお店への思い

そんな彼は、奥出雲町の中でも特段に標高の高い三井野原という高原地帯の出身だ。

一度出雲に出たものの、Uターンして町内の蕎麦職人として6年間も修行していた。地道にコツコツそばと向き合う彼の夢は自分のお店を開くこと


かつてスキー客で賑わった三井野原。駅から降りてすぐ滑れるスキー場ということでかなり賑わっていたそう。それが今となってはスキー需要の低下、地域の過疎化が深刻化している。26歳の彼の次に住む若い子は小学生という現状。

そんな彼の内側には大きな思いが湧き上がっていた。

「トロッコ列車が廃線になったり、スキー場が閉鎖されたり、人も亡くなっていく。暗いニュースが多い中に少しでも明るいニュースが作れたら嬉しい。」

彼の話を聞いていると、「そば屋を開きたい」という夢の裏側には「地元を盛り上げたい」という熱い思いを感じた。


4月24日プレ、25日正式オープン

そんな彼が、4/25に高原そば『壱心』を正式にオープンされた。
早速、4/24のプレの日に食べに行かせてもらった。

お母さんやその他スタッフの方と厨房に入りながら、お父さんが接客をやられていた。

慣れない様子がありながらも、家族総出で一生懸命お店を回していく姿にあたたかさを感じた。

そしてなんといっても、彼の打つそばは間違いない。コシがあってつゆも美味しい。関東で食べていたそばとは異なるが、歯応えのあるこっちのお蕎麦がすっかり好きになった。

割子そば

オープンして間もないにも関わらず、開店祝いが続々と届いていた。
この写真に載せきれないほど並んでいたが、きっとこれも彼やご家族の人柄あってのもの。今後も応援されるそば屋になっていくんだろうなと感じた。

過疎地でお店をオープンした26歳そば職人

過疎地でお店をオープンすること。それは決して簡単なことではない。今後について考えると不安やプレッシャーは常にあるのだろう。

それでも彼はオープンまで持っていった。

お店を開いたことでその地区に生まれる経済的な影響はもちろん、それ以上に精神的な影響が大きいと感じた。

「若い子が頑張っているから私も頑張ろうと思えた」
「明るいニュースが聞けて嬉しい」

そんな声が、本人にもたくさん届いているとのこと。
私は今後も変わらず、彼と彼のお店を応援している。

島根に来られる機会があればぜひ美味しいお蕎麦を食べに行ってみてください!

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