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『人口600人の豪雪集落』での『移動販売の可能性』



仮移住して販売員として地域を巡って4ヶ月。地域の人に「移動販売の子」として覚えてもらえ、少しずつ馴染めてきた。



そんな中、最近、移動販売で思ってもいなかった、『予想外の効果』が出てきている。

単なる販売の仕事ではない、販売以上の価値と可能性を強く感じています。そんな移動販売の可能性について、4ヶ月関わって感じたことや学んだことを書いていきます。


きっかけと最初の変化


地域のNPO法人が移動マーケット事業をスタートしたのは、2021年の9月後半。私の仮移住は10月4日で、実際に販売員としては10月14日から関わった。


元々はシンプルに生活費のためだけれど、「地域を知りたい」、「地域の人にも覚えてもらいたい」そんな気持ちもあった。


最初は、何もわからない中でスタートした移動販売業務。
地域の人とは初対面で、道も覚えられないし、方言も聞き取るのも一苦労して結構大変だった。


それ以外にも、冷凍庫放置して『アイス全滅事件』、突然の『販売車パンク事件』も大変だった。。笑


そんな中でも頑張りながら週2回、毎週回っていると少しずつ変化が出て来る。


最初の変化は名前を覚えてもらえたり、ジャガイモや玉ねぎなどの畑の野菜をいただいたり。


「ゴローちゃんこっちきい」と手料理をよばれたり。


※「ご馳走になる」ことを方言で「よばれる」と言うのも覚えた笑


美味しかった大学芋



最初は申し訳なく思っていたけれど、受け取らない方が失礼で、美味しくいただいた方が方がよっぽど喜ばれたりする。


そんな小さなところから始まって、本当に少しずつでも確実に地域の人との関係性が築けている実感があった。


豪雪集落だからこそのやりがい


雪がちらつき始めた頃


販売員を始めて2ヶ月くらい経った。12月に入って、肌寒くなってきた頃。


少しずつ「来てくれるの楽しみにしてる」と言ってもらえたり、雪に向けて「冬の間もよろしくね」と言ってもらえたり。

楽しみに待ってくださる方や、あてにしてくださる方が少しずつ増えて来た。


利用者の中には『言語や聴覚障害を持つ方』や『パーキンソン病』で震えが止まらない方などもいる。少しずつそんな利用者の生活の一部になりつつあることに責任感も増してきた。



さらにここ奥出雲町は島根県の豪雪地域。雪が降るときは本当に一瞬で真っ白に覆われる。それによって、車の免許を返納している一人暮らしの高齢者は買い物の術を失う。


車で入れなくなったら歩いて届けたり。笑


一軒一軒が離れているところは文字通り、「陸の孤島」と化して、身動きが取れなくなる。


冬の時期こそ、必要性が増すのだ。



だからこそ、吹雪の中での移動販売の苦労以上に、感謝の言葉が返って来る。「助かるわ〜」、「だんだん!」そんな言葉を貰えば貰うほど、自分自身もやりがいを感じられた。

※「ありがとう」の出雲弁が「だんだん」


予想外の効果


歩くのも大変笑


3ヶ月経った頃。


100歳近いおばあちゃんの家をいつも通り訪ねたら。

後ろから強いお酒の匂いをムンムン漂わせた、60代〜70代の息子さんが出てこられた。

玄関先にヨレヨレしながらドスッと座る。
酒はねえか?



一発でアルコール中毒
だとわかった。『引きこもり状態』だということも見てわかった。



酒類の販売ができないため、「すみません、お酒は売れないんです。」が最初のコミュニケーション。



その後も、毎週おばあちゃんを訪ねたら、時々出てこられるようになった。


「パンあるか?」や「お茶あるか?」と言われ、販売車から玄関へ持っていくようになった。



それがここ最近。

外へ出て、自分の手でお買い物するようになった。


みかんやどん兵衛、お茶など。ついに最近はノンアルビールに手が伸びる。


コミュニケーションも取りやすくなり、明らかに前よりも元気になっている。



自分の中ではここ数ヶ月の劇的な変化。移動販売によって『引きこもりアル中状態』から『脱アル社会復帰』の可能性が出て来たのだ。


こんな感じ。

他にも、90歳前後のおじいちゃん。
買い物ブランクはかなりの年月。最初は何を買ったら良いのかもわからない困惑状態だった。


そんなおじいちゃんが、最近は毎週の買い物を楽しみに待ってくれている。


到着すると真っ先に『大好物の塩辛』に飛びついて買い物スタート。



家族もたくさんいるから、お爺さんがわざわざ買い物する必要はない。けれど、毎週の買い物を通して見るからに元気になっていっている。



他にも、細かいところを見れば、4ヶ月間の変化は多くある。


だからこそ、ただの販売ではない、販売以上の価値と可能性を感じている。



今後の移動販売



今後は、もっと活用方法を拡大していけると感じた。


地域のスタッフで行なっていた見守り活動も、個人事業主として活動している『見守り看護師』とコラボしたり。

販売車を貸し出して他の地域でシェアすることもできそうだ。


これから高齢化の進む日本において移動販売ニーズは高まっていく。貢献と利益の両立。うまくいけば、様々な地域で活用できると感じた。


元々、高齢化地域の買い物はドローンで運べば良いと思っていた自分。


自分が直接関わることで、販売だけではない福祉の要素や、高齢化や過疎化など日本の現状を知る教育要素も含んでいると感じた。学生の研修にもいいかもしれない。

単なる商品の販売以外の収益化ができれば、より事業継続が近づいていくと感じた。


ここまで関わってきた移動販売事業。4月からは販売員としての関わりは少なくなっていきます。

けれど確実に広まるべきだし、広まって欲しいとも思っています。


販売員としての軸足は抜きながらも、今後は少しでも拡大の部分で関われたら嬉しいです。

以上です。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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