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ドイツ少年サッカー、再び始まるバイエルン州東地区代表選抜。果たして今年も生き残れるか。

 

散々な結果で始まったセレクション


今シーズンも、ドイツサッカー協会による各年代の選抜活動が始まりました。選抜は毎年トレセンに子供たちの中から選ばれ、シーズンを通してトレーニング、キャンプ、試合など様々なイベントが企画されます。去年選ばれたからといって今年も居場所が保障されるものではありません。控えめに言っても昨年の内容は満足いくものではありませんでしたし、練習には呼ばれるものの肝心な対抗戦では選抜対象に入らないことが幾度もありました。今年はその反省も踏まえ、対抗戦に選ばれる存在になることが当面の目標です。


厳しい状況が続く

まず5月に開催された地区トレセン対抗戦です。東バイエルン州全域から各トレセンが集まって半日かけて総当たり戦を開催します。

トレセンでは、先日2008年生が卒業し、元々2009年生たちと一緒にトレーニングを続けていた次男は実質最上級生になりました。次男は他の子たちよりも一年早くトレセンに参加させてもらっているというのは間違いなく彼の成長に大きく影響を与えているのですが、反面このトレセン対抗戦というものになると普段一緒にプレーしている仲間とは違う、普段慣れていない選手たちとプレーすることになるというデメリットもあります。

やはりプレーのスピードやスタイルが若干変わってきますので、次男のチームの中での役割も変わってきます。それでも冬のインドア大会では狭いコートでキーパーを含めて5人でプレーしますので、なんとか個の力でカバーできましたが今回は外のフィールドです。9人制ですのでそこまで大きいフィールドではありませんが、インドアとは何もかもが変わってよりチームとしてのプレーや判断が求められます。

さらに加えると、次男のトレセンはなかなか新しく選手を入れないトレセンとして有名で、次男と同じ歳のプレーヤーで9人制を戦うにはプレーヤー数が足りず、大会前の練習に急遽5から6人のプレーヤーを増やすという異変が起きてしまいました。

当然チームワークなぞありません。皆が皆一人でなんとかしようとしてボールを失う展開の連続となりました。そして普段正キーパーとしてプレーしている子が病気で来れないというアクシデント…。代わりに女子選抜でプレーをしている子がゴールマウスを守ってくれることになりました。

失点が続く

大会の結果は残念なものになりました。結果だけ言うと20分ゲームを8試合やって、勝てたのは2試合か3試合か…途中で勝ち負けをカウントするのを諦めました。

女子キーパーちゃんも頑張りましたが、彼女は特に足元に不安がありキーパーからのビルドアップを狙われて奪われた点数も多く見られました。次男たちフィールドプレーヤーもなんとか状況を変えようと試合中や試合後に話をしますが、やはり急拵えのチーム、そう簡単には結果に結びつきません。

次男のトレセンコーチはこういう大会では口出しをしない方針で、終始子供達にコミュニケーションは任せている様子でした。時折負けた試合の後に円陣になって子供達に語りかけていましたが、この日子供たちのプレーが上手く噛み合うことは最後までありませんでした。

大会では4面コートで同時に試合が行われ、地区選抜のコーチが見回っている他にそれぞれのチームに各コーチがプレーヤーの採点を兼ねて監督役で目を光らせています。次男には自分のパフォーマンスに集中するよう常々言っていますので、彼なりに戦う姿勢を見せ続けてチームメイトを鼓舞し続けていましたが、さすがにフラストレーションが溜まってイラついていたようで、他のポジションの子たちがポジションを入れ替えながら試合を進める中、終始ボランチのポジションを譲ることなく8試合プラス人数の足りない別地区トレセンのヘルプ1試合を戦い抜きました。(ヘルプに入ったトレセンには東バイエルン州地代表で去年一緒にプレーした子が何人かいて、そっちの方がプレーしやすかったと帰ってきました。)


東バイエルン州U13選抜チームとしての活動が始まる


大会が終わり、約80人の中からコーチの採点をもとにバイエルン州東地区代表の選抜チームとしてのトレーニングがいよいよ始まります。次男は幸いにもまた招集してもらえました。まずは一安心、そこには去年からの顔馴染みが大勢いて次々に次男に声をかけてくれる姿を見てほっこりします。


リフティングゲームでアップ

このトレーニングで発表されたのは、この春にブンデス下部組織に移籍が決まった選手は今後選抜には呼ばれなくなるということでした。次男の仲の良かった子も何人かそれぞれの地域で下部組織に移籍することになり次男も少し寂しげですが、それよりも主力が抜けることに気がいくようで、

「あいつとあいつが抜けたら守備ラインがスカスカになる!対抗戦で負けてしまう!今年はFとの試合もあるのに、負けたら友達になんて言われるか…!」

と帰りの車で頭の中でしきりに彼らのいなくなった後のフォーメーションを考えていました。

今後はもっとこのような状況が続いていくことと思います。コーチからも、事あるごとに子供達にも親にも、今の選抜がこのままうまく行くことは一握りであり、逆に言うと今選ばれていない子にもチャンスやポテンシャルはまだまだある、と言うことを繰り返し説明されています。次男はおかげさまで去年以来コンスタントに呼んでいただいているので、選抜にも下部組織にも同じ夢を追いかける友達が大勢でき、彼らと情報交換をする中で彼自身も自分の次のステップが明確に見えてきているのはとてもいい状況だと思います。

やっと移籍先を決める


次シーズンからどのチームでプレーするか、いろいろなチームから声をかけていただきましたが、結局下部組織からは最終的にはまだ様子を見たいと言われ、残ったのは比較的近所の育成チームQか車で1時間かかるBか、ということになりました。

次男のチームのコーディネーターは次男の将来を考えるならBに行く方が良いと思う、とはっきり言っていましたし、正直私もBが良いと思ったのですが何せ決めるのは本人です。ずっと次男の結論を待っていましたが、最終的にBに行くことを本人が決めました。

決定的だったのは、東バイエルン選抜でずっと同じボランチのポジションを競っているD君が所属していて間近で競い合えること。そして、D君本人から聞いた過去のチームの活動に次男が強く興味をそそられたことが挙げられると思います。D君はレアル・マドリードがドイツの地方で開催するサマーキャンプで最優秀賞を取ってスペインのトレーニングに参加したこともある、いわゆる"将来有望"な選手です。体格も似たようなサイズで次男とは以前から仲が良く、選抜でも気が合っていたのですが今回の練習参加で改めて彼のうまさを感じたらしく、次男にも良い刺激が入った様子でした。

来季から所属することになるBは、地区リーグではプロ下部組織以外では最高位に位置するリーグでトップを張るチームです。練習試合でも頻繁にプロ下部組織チームと対戦しており、去年はバイエルンやイギリスに遠征に行ってトッテナムとも試合をしたということでした。この夏から彼らの学年はフルコートになり、リーグもより広い地域の中で勝ち残ったチームの集まったリーグになり、競争も激しくなります。次男以外にも選抜の常連さん4−5人が加入することが決定しており、次男としても楽しみが不安を上回る新シーズンになりました。

正式に移籍して練習が始まるのは7月の頭ですが、すでに6月の末に開かれるトーナメントにゲストプレーヤーとして参加することが決定しており、のんびりしてもいられません。先月は東バイエルンサッカー協会主催のサッカーキャンプに参加し、一週間サッカー(と友達とのバカ騒ぎ)漬けの時間を過ごし、文字通りひと回り大きくなって帰ってきたのですが、その辺りはまた後ほど…


今回も読んでいただきありがとうございました。



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