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言葉遣いひとつで印象って変わるよね

誰かに伝えたいことがあるとき

そんなとき、人間は言葉を使います。

言葉って何だろうか

言葉は、人間が扱うコミュニケーションのための道具のひとつです。
人間以外にも決まった鳴き方でコミュニケーションを取る生物は多くいます。ですが状況や感情を明確にはっきりと、多数の音声を用いて表現することがもっとも得意なのはおそらく人間でしょう。

じゃあコミュニケーションって何?

コミュニケーションの定義は、学問の分野によっていろいろありそうです。
ここではいったん進化生物学の定義を例にとります。
以下は岡ノ谷一夫先生の著書『「つながり」の進化生物学』からの引用です。

コミュニケーションは学問の分野によって、いろんな定義がなされていますが、進化生物学という学問の中では、次のように少し冷徹に定義されています。「送り手から受け手への信号の伝達がなされ、受け手の反応によって、長期的には送り手が利益を得るような相互作用」(ハリディ、スレーター編「動物コミュニケーション」西村書店)。

「つながり」の進化生物学
岡ノ谷一夫著

「送り手に利益がある」というとちょっと大袈裟な印象も受けますね。
ですが、自分が誰かに話しかけるときは大抵「自分(送り手)が相手(受け手)に伝えたいことがあるとき」です。
ですから、コミュニケーションの性質を考えると「送り手に利益がある」という部分は他の学問でもそれほど大きく変わらないんじゃないかと思っているんですがどうでしょう(この辺りは詳しい人のご意見聞きたいです)

ただ上記のような定義とするには、人間同士のコミュニケーションはあまりにも複雑です。
たとえばハンカチを落とした人に「ハンカチ落としましたよ」と声をかけるときは、受け手の利益の方が大きい気と感じます。しかし、落とされたハンカチに見て見ぬ振りをし黙って通り過ぎるのもなかなか難しいでしょう。ですからこのような行為は送り手にもしっかり利益があるかもしれません。

伝達のコスト

送り手は受け手に対し、伝えたいことがあるのでコストをかけて伝えます。
一方、受け手は時間や気力体力を使って、送り手の言葉を読んだり聞いたりします。
その上で「賛同するか」「自分や周囲にとって有益かどうか」を判断するわけですね。

送り手にとって伝達という行為は常に利益の可能性があるのに対し、受け手側はそうとは限らないのです。

だとするとどうでしょうか。
受け手にかかるコストは小さければ小さいほどよいように思えます。
送り手は自分の言葉を受け入れてもらうために、受け手よりコストをかける必要がありそうです。

お互いのできること

送り手ができること

実はさっき、あなたの書いたプログラムに不具合がありました。
誰かが指摘してくれます。
以下のどちらの言い方で伝えてもらいたいと思いますか。

  • 「このプログラムにはこれこれこういう不具合があるので、修正お願いできますか?」

  • 「このプログラムは ks なので書き直してください」

ちょっと極端すぎると思うかもしれません。
しかしどちらの言い方も実際にあり得ます。

どちらでも気にしない人もいるでしょう。
このできごとの本質は「不具合のあるプログラムを直すこと」であるからです。伝え方は本質ではないと言えます。

でも、すべての人がそんなにきれいに割り切れるでしょうか?
あなたの言葉を受け取った相手はどんな風に感じるでしょうか。
もちろん相手の気持ちすべてを想像することは不可能です。
婉曲した表現を使えばよいというものでもありません。

でも、送り手が少し気遣うことで物事がスムーズにいくなら、お互いお得な気がしませんか。

受け手ができること

上の方で「送り手が利益を得る行為である」と書きましたが、実際はそれほどシンプルでもありません。
落としたハンカチもその一例です。

誰かの発言に悪意を見出すとキリがないし、疲れますよね。
ならば「相手は周りにとってよいと考えていることを言っている」と素直に受け取るのがよさそうに思います。

言葉は道具である、だからこそ

上記で開発を例にとってしまったので、エンジニアの方々は「またこの話題か」と思うかもしれません。
他にパッと思いつかなかった、ごめんなさい。
伝達の一例だとご理解いただけると嬉しいです。

伝えるときにはできるだけ丁寧な言葉を使いたいな、と私は思っています。
人間が使える貴重なコミュニケーションツールだからです。
思いはありつつ、できていないときだらけですが。

友人が昔言った言葉で、今でも印象に残っているものがあります。
「言葉は気持ちを伝える道具」
「道具は丁寧にお手入れしていきたい」

せっかくなら丁寧にお手入れされた優しい言葉で、相手に伝えませんか。
お互いを気遣いながら、気持ちや考えを交換できたら素敵だなーと思います。

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