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ファッションごと愛せ

先日京都の河原町を買い物がてら散歩していました。
京都出身の私にとっては府内随一の繁華街であるこの場所ではたくさんの甘かったり苦かったり青かったりする記憶がちらりと脳裏を過ります。
現在は資本主義を象徴するような大阪市内の繁華街近くに住んでいてそちらで全て事足りるので、わざわざ河原町で買い物をする機会はめっきり無くなりました。
実家近くや石清水八幡宮から嵐山までの河川敷のサイクリング、寺院仏閣を見に京都にはそれなりの頻度で訪れていますが此処を訪れるのはいつぶりだろう、と寺町通りから新京極へ入りかつては何度も訪れたMOVIXの前を通りました。

新しい店舗がいくつか出来ていて昔よりインバウンド勢が増えている等多少の変化はありますが、そもそも古い店が多いこの街はいつまでも私の知る空気が残っていました。

街を歩いていてふと気付いたことがあります。大阪より神戸より、個性を突き詰めたような店が多い気がするのです。

大阪の繁華街といえば梅田周辺を指すキタ、心斎橋や難波周辺を指すミナミの二台巨頭です。(天王寺が入っていないとどこかからお叱りを受けそうです)
私の個人的感覚として小綺麗な服や雑貨をお金をかけてでも買いたい時は梅田か堀江、所謂“高見せプチプラ”で何かを買いたい時は難波が適していると思っています。個性的なファッションやアクセサリーを求めるならアメ村や中崎町などでしょうか。
日本で2番目に面積が小さい大阪にその全てが詰まっていると思いました。
ですがその“個性的”ですら個性的さを量産したように私には思えてしまうのです。

久しぶりに歩く河原町で私はメンズ向けの靴屋に目が止まって思わず入りました。
複雑な切り口のたくさんの布をパッチワークのように合わせた靴は、それぞれの布に細かな柄が入っていますが決して煩すぎず全体がまとまるよう上手く配色されています。お値段も諭吉さんが複数人飛んでゆく価格ですが値段以上の価値があるように思えました。
メンズものなので冷やかしだけになってはしまいましたが良いものが見れたと思いながらもまた歩きます。

東南アジアや中東の雰囲気の服や雑貨が所狭しと並んだお店もいくつかありました。
そういえば私はこういったファッションが昔から大好きだったことを思い出しました。フェミニンな服が並ぶお店から少し甘辛系なスカートを探すことも好きでした。黒を基調としたカッコよくてタイトめでセクシーな服も好きでした。

女が4人もいる私の実家はなかなかルッキズムが強いことにわりと最近気付きました。
「顔薄いねんから髪色はこっちの色の方が似合う」
「あんたは足太いねんからこっちの服にしとき」
「今日眉毛揃ってないで」
「こっちは顎の長さに合ってない」
「これあんたぐらい細かったらいけるやろ」
そんな会話が飛び交っては互いに自分には合わなかった服や化粧品を交換したりするので皆に都合が良いのですが。自分の好みに走った服装やメイクをすると「あんたなんやなそれ」と批評も飛び交う我が家です。
所謂イエベ顔でありつつブルベとされるカラーが好きな私は実家に帰る時にはイエベカラーのアイシャドウで流行り廃りの無さそうな無難な服装を徹底します。あまり小煩いことを言われるのは好まないからです。
まだ18歳の妹もそういえば先日「私は骨格ストレートだからこういう服が…」と話していたことを思い出しました。

美容が科学や計算され続けること、そしてその情報が昔より遥かに安易に手に入る時代そのものは悪ではないと思います。私も自分の輪郭に合ったメイク法の動画を見ることもあります。
生まれ持った特徴を活かしたりコンプレックスを消す為の方法を簡単に知ることができます。迷った時の参考にもなります。
そしてそれに左右されやすい時代にもなりました。私もアラサーなのでこれはちょっと避けておこうと思うファッションやメイクが増えました。

だからこそ好きなファッションを貫く人というのはどんなジャンルであれ少しかっこよく見えるのでしょう。


今年の夏はエスニックな柄の膝下ぐらいの丈のワンピースを1着買おうと決めました。どうせ私の住む大阪市内は突飛な見た目の人が多いのです。
私は私の好きなものを好きだと言えるように、それに身を包んだ自分が好きだといつか言えるように。どんな自分にもなれるように。
もし実家でいじられでもしたら「そやねん、拗らせたSuperflyみたいやろ」とでも言うことにしましょう。

そう決めた蛸薬師を闊歩する私の足取りは軽やかでした。

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