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浦島太郎物語

私は仕事を休みました。葛藤に耐えられず、塞ぎ込み、外に出られなくなったのです。気づけば両親に助けられ、仕事から離れた場所で休んでいました。


まずは、なにも考えずに眠りました。

毎晩ぐっすり眠ります。しばらくすると、

ご飯を美味しく食べられるようになりました。

時間がくればお腹が空き、「美味しいね」と言い合いながら囲む食卓は私の心をほぐします。

その後、新たな出会いがありました。

同じ傷をもつ仲間が集まる世界があったのです。優しく温かい人々の中で、会話を楽しみました。

「自分だけじゃない」それが分かった私は、小さな自信を増やしていきます。


ある時、「休みはじきに終わる。仕事をしていた職場に来るように」と通達が届きます。

私は言われるままに、職場へと向かいました。

そこにはたくさんの人がいました。

元気な子どもの声が聞こえます。子どもを諭す大人の声も聞こえます。なにやら大人たちが相談する声も聞こえてきました。

なんの話をしているのかは分かりません。

すれ違う人が誰なのかは分かりません。

私はぐるぐる目が回ります。

時間が進んでいるのか、戻っているのかさっぱり分かりません。


くらくらしながら安心できる宿へと戻ります。

あの時のように私はひたすら眠りました。

そうしてようやく目を覚ました私は鏡を見ます。

目の前には、ハリのある顔が写っていました。

あの時のようなニキビはありません。

少し顔は丸くなったけど、げっそりしてあの時よりずっと良いと思いました。