ともだち-2。

「自分なんて探したって見つからないよ。」

わたしは最近女性ホルモンを始めた友人に軽口を叩く。

彼女は一人旅が好き。そして一人遊びが上手。

たまにTwitterにおセンチな短文を呟く。そしてここ数年、毎日きちんとブログを更新している。

その度にわたしは彼女の書き記したものを覗きに行く。

わたしは彼女の不器用で一生懸命なところがとても好きだ。

それ以外にもたくさん好きなところがある。

160cmに満たない小柄な体格。丸顔で笑うと細い目がなだらかな曲線を描くところ。最近までちょっと垢抜けない感じだったけれど、わたしの影響で最近オシャレし始めたところ。

一旦夢中になると結構ハマるところ。最近はわたしよりも全然お洋服にお金をかけてる。雑誌なんかもわたしより全然読んでるみたい。

何だろう。友達なんだけれど、どこか愛しい感情がある。友情とはちょっと違う感情がある。

でも恋愛感情は無い。いつかコレは恋愛感情なのかな?と自分に問いかけてみたことがあるけれど。

共通の知人達にはよく二人はカップルなの?って聞かれるけれど。そんなにお似合いな感じも出ていないと思う。

彼女は性志向は男性のみだし、わたしも彼女とSEX出来るかちょっと想像してみたけれど途中でやめた。笑

でも確実に言える。彼女はわたしにとって特別な人。

いつの間にか仲良くなって、いつの間にか同じ職場に居て。いつの間にか出会って3年くらい経つ。

わたしの一番辛かった時に一番話を聞いてくれた。

わたしはあの子が失恋した時にあの子の側にいた。

わたしの部屋に来た彼女が流した一筋の涙。両手をギュッと膝の上に置いて少し肩をすくめて、声を押し殺しながら片目から流した涙を見た時。

わたしはこんなに綺麗な涙を見たことがない。そう思った。

まだ垢抜けなくて、女性ホルモンすらしていなかった彼女。元々男らしさなんて微塵も感じさせない子だったけれど、わたしの目の前に居た彼女は紛れもなく女性だった。

恋に落ちるかと思った。守ってあげたい。そう思った。


わたししか見たことのないあの涙。あの綺麗な涙。抱きしめてあげることもわたしが新しい彼氏になってあげることも出来ないけれど。

何よりも誰よりもあの時、恋愛が全てだったあなた。恋に破れて声を殺して泣いたあなた。

あなたの幸せを誰よりも祈り、願います。

あの綺麗な涙をもう一度見たいとは思わないから。


あなたの笑顔が好き。

ずっと友達で居たい。


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