アメリカに行こうと思った【Tokyo, Japan】
アメリカに行こうと、思った。
社会人になってからがむしゃらに働いてきた。15年、ずっと同じ会社で仕事をしてきた。希望していた広報課に異動になり、やりがいを感じていた。
広報の仕事をして5年、上司に呼び出された。私の後任について話だった。同じポジションに、同じ人がずっといることは私も反対。私も「後任ならこの人にお願いしたい」と思っていた人の名前を上司があげた。だから、大歓迎だった。私には、他の、でもとても魅力的なポジションを提示してくれた。
嬉しかった。でも、ちょっと休みたいと思った。15年、走ってきたから。仕事でアウトプットをしていたが、インプットが足りていない。すべて出し切ってしまった感があった。
2016年、フリーになった。
ある日、サンドイッチをほおばりながら、ネットサーフィンをしながらランチをしていると、知り合いのFacebookの書き込みが目に飛び込んできた。脳ドックを受けたら脳腫瘍が見つかり緊急手術をしたことを知った。
そうだ、健康診断は受けていたけど、脳ドックは受けたことがない。「念には念を」と思い脳ドックを受けた。
1週間後、結果を聞きに行くと「動脈瘤の疑い」。再検査になった。結果を言ってしまうと、再検査を受けて問題なしだった。
「動脈瘤の疑い」といわれてから再検査の結果を知るまで1カ月あった。この1カ月間は、とにかく動きたくなくて、引きこもっていた。動脈瘤だったら破裂するかもしれないと、私を臆病にさせていた。狭い部屋にいると、いやでも自分の存在を感じる。それも、動けない自分を。
そこから、今、私は解放された。ほっとした。でも、人生何があるかわからない、と同時に思った。今できることは、今やらないといけないことを知った。
アメリカ、行こうかな。
無意識だったけど、私はそうつぶやいていた。確かにつぶやいていた。
引きこもっていた分、外で太陽を浴びたい。顔をあげて歩きたい。できれば、大きな世界に身を投げ出したい。
私は、アメリカに行きます。
そして日本に戻ってきたら、また、もう一度、飛べるかな?
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