1番の成功者は俺かもしれない|『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』
土曜日ですね、今日の映画は『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』です。
最近こんな感想が続いている気もしますが、超良かったです!ヒット!!スリーベースぐらい打ってます!!!あまりにも良かったので既に5人くらいに説明したんですが、どんなストーリーかというと
あらすじ
マクドナルドのファウンダーが誕生するまでの話です。1954年の史実をもとにした映画ですね。主人公のレイ・クロックは、もともとはマルチミキサーのセールスマンをしていました。
その商品がいつもは全然売れていないんですけど、気づけば6台の注文を受けました。そこで「1台の間違いだろう」と思って先方に電話したところ、本当は8台の注文だったことが分かります。このことが気になったレイは、実際にお店へ行ってみることにしました。
それが、マクドナルド1号店だったんです。
到着したレイは責任者に会いたいがために、お客さんの並ぶ長蛇の列に加わります。そこで既に並んでいた女性から「すぐに進むから大丈夫よ」と声をかけられるんです。すると本当に列はするすると進み、あっという間に順番がきました。
そこで戸惑いながらハンバーガーとポテトとコーラをオーダーするんですが、次の瞬間には目の前に袋が並べられていたんです。
ここで「なにこれ?」とレイが尋ねると、スタッフは「ハンバーガーです」と答えます。「なんでこんなに早くできるの?」「作ってますから」とやりとりが続くんですが、レイはどうしても理由が気になります。
そして、ついに責任者のマック&ディック兄弟を食事に誘うことに成功するんです。この席でレイは兄弟の生い立ちを詳しく聞き出します。
2人は夢だった映画館をハリウッドで経営していたと話始めました。しかし、その事業は失敗に終わっていたんです。
このときに同じ街で偉そうにしていたのが「ホットドッグを売っているおじさんだった」と。そこから「自分たちもホットドッグを売ろうと考えた」と言います。
こうして新しい事業を展開していくなかで、店舗では売り上げの87%はハンバーガー・ポテト・ソフトドリンクが占めていたことに気がつきます。
そこから、この3つに特化すると決めるんですが
PDCAの繰り返し
まず、テニスコートに白いチョークで厨房の図面を書いたんです。
そこで、スタッフにずーっとオペレーションをさせます。少しでも動線が噛み合わないときは「これが違う!」と書き直していき、その結果6時間ぐらいをかけて究極のオペレーションが生まれました。
そこから、特注の厨房を作り...
というところから「マクドナルド」は誕生したんです。
この話を聞いたレイは家に帰ってからも興奮して寝付けなくて、次の日になったら「フランチャイズ化だ!」と兄弟にめっちゃ提案したんですけど「もうやってるし」「やってんのかい!」って感じでした。
それでもクオリティーコントロールへのこだわりから、兄弟は全国展開まではできていなかったんです。そこでレイが「俺にやらせてくれ!」と提案します。当然、兄弟は相談します。
「無理でしょ?」「いや、全部契約書で縛る」と。こうしてレイがフランチャイズを展開することになります。最終的には金持ちの人に「道楽として出資してくれ」と頼み営業を開始することはできましたが、クオリティはいまいちでした。
フランチャイズ成功の理由
そんなときにレイのオフィスに現れたのが、聖書のセールスマンです。
どこか気になったレイは彼に話しかけると、ユダヤ人であることが分かりました。そんなところから「なんでお前らはユダヤ人なのに聖書を売るんだ?」と聞くと、宗教観は異なるけれど「生活のため」にしている仕事いうことが分かります。
そこから「なるほどね」とレイは考え始めました。
ここから、全然お金はないけどやる気はある人をみつけては、どんどん店長にしていくんです。そうしたらフランチャイズがめっちゃ成功していったんです。
ここで、のぼせあがったレイはピアニストのジョアンに惚れます。ワンチャン「グレイテスト・ショーマン」的な展開で浮気するのかなって思ったら、そこはちょっと違いましたね(笑)。
でも、結局悪いやつと出会うわけですよ。
コンサルタントから「もっと利益率をあげた方がいいんじゃないか?」って言われたレイは「なに言ってんの?」と。すると「てか、なに業界で働いてると思ってんの?」「どういうこと?」
「フランチャイズで土地を貸すっていう権利ビジネスをやりなさい」「その瞬間に絶対収入が入ってくるっていう意味では、絶対的に黒字のビジネスモデルになるんだよ?」「なるほど」と。
ただ、契約上はできないわけですよ。兄弟を裏切ることになってしまいます。なのに、ここまで人って追い詰められたら変わっていくんだなって。
レイはフランチャイズを成功させたことで、ある土地に降り立ったときにいろんな人から絶賛されていました。拍手喝采で人ってやっぱ気持ちよくなるんです。
ぼくは冒頭から物語の結末をこう予測していました。
マック&ディック兄弟という「クオリティが高いものを生み出すけど商いが上手ではない人たち」が、レイ・クロックという「すごいコンサルができる商人」を雇って幸せになっていったんだと思っていたんです。
これがハッピーエンドじゃないですか。
ぼくは性善説を信じていてそもそもハッピーエンドで終わってほしいんです、全員がそうであってほしい。なのにレイはマクドナルドコーポレーションみたいな会社を作ってしまうんです。最終的にはレイが兄弟に対して権利を譲るように迫ります。
こうして弁護士同士の戦いになってしまいました。
そこで「270万ドルで全部を売りますよ」「あとは、利益の1%を払ってください」というのが兄弟としては譲れない点として提示するんですけど、当日になってレイが「1%は契約書上結べない」「えっ?!」「紳士協定のなかでやりましょう」って。
紳士協定ということは、実行されなかったとしても法律上はなんともないわけです。
そしてエンドロールでは「フランチャイズではなく不動産ビジネスだよ」と言った人が初代CEOになって、1番最初にバーガーを作っていた人は〇〇のポジションになって...といろいろあったんですけどその中の1つで
兄弟を裏切って、1%を払うことはなかった。
とあったので、ぼくからすると相当な物語だなと思いました。ただ、この物語から学んだことは2つあります。
社長になること
1つは「人っていうのは普通は気分によって判断をしちゃう」ということです。これはUUUMで子会社を作らない理由とも関連しています。
子会社を作ると社長を立てないといけないですよね。社長ってやっぱり、いい気持ちになるんです。誰だって「〇〇社長」って言われたら悪い気はしないですよね。花も届きますし。
本当に自分の苦労とか身銭を切っていたらぼくはそれで社長になるべきだと思うんですけど、子会社社長というのは親会社のお金でできた会社だったりするから、すごい微妙なポジションだなと思うんですよね。
――それは鎌田さんのご経験を踏まえてのことでしょうか(聞き手:Erina)
そうですね。前職のときは子会社の社長で、ぼく自身は「社長」という認識はなかったけど人は「社長」って言ってくるので考えちゃいますよね。
「オレ社長かな?」「あれれ?」って(笑)。
今思うことは、社長って成功したら美味しいこともあると思うんですけど、本当に辛いこともめちゃめちゃあるし。ぼくは「社長ってそう簡単になるべきものでもないし、ならせるべきものでもない」って思っちゃうんですよね。
それにレイはどこまでもいっても自分にノウハウがないんです。だって、ハンバーガーを作り上げたのは兄弟ですもん。
でも逆を言えば、ハンバーガーしか作れなかったのも兄弟ですよね。
経営とクリエイティブ
これは2つめの話になるんですけど「二兎を追う者は一兎をも得ず」って本当にその通りだなと思うんです。
ぼくは「経営」ってものを突き詰めていきたいと思っています。
でもHIKAKINさんとかクリエイターさんには、マネジメントや経営ではなくて、クリエイティブなものを突き詰めて欲しいと思っています。
結局のところ、いいものを作りたいってことを考えていくと「1本の動画に1億円を使っていいですか?」ってことにもなりかねませんよね。仮にそうしたとして、歴史に名を残すようなすごいものができるとは思います。
ただ毎日1億円を使うわけじゃないじゃないですかって考えたら、ぼくは「クリエイティブやクオリティを望むこと」と「経営」は相反していると思うんですよね。
宣伝費として1億円を使って動画を作ることは、可能性がゼロではないかもしれないけど、結局はどう売り上げをあげて利益を叩き出すかしかないと思っているので、その手法とクリエイティブを突き詰めることは相反するとぼくは思っています。
この兄弟が、こういうハンバーガーを生み出したこと、そのクオリティコントロールはまさにクリエイティブだと思います。そしてレイが、いかにしてフランチャイズ化を成功させたかってことも、経営でありマネジメントだと思います。
だから、ぼくはその2つがしっかり噛み合っていれば、誰にとっても幸せな結果になったんだろうなってことを再度確認しましたね。
マクドナルドは不動産業界
もう1つあるのが、(2つじゃないじゃんって感じですが)「バーガー業界でなく不動産業界だろ」って言ったことはすごい画期的だったと思うんです。
フランチャイズ契約の中身を無視したことではあるのは間違いないですが、結果的にはそれでマクドナルドというものが今に残っているわけじゃないですか。
これは、やっぱりすごいことです。
例えばコロナ禍においては、ユニクロもそうですし、SHARPもそうですけど、マスクを作っています。さらにハンコではなくクラウドサインで大丈夫ですってなったじゃないですか。今まで散々ダメだって言っていたのに、手のひらを返したように世の中はこうも変わるのかと。
そういうことを考えると、今のぼくにとっては「新しいことを発明しろ」と言われているとしか思えないんですよ。
すごい映画を観させてもらった、それもこのタイミングで、だから「俺やっぱ持ってんな」と思いますよね。
――主人公の脳ですね。
え、そうですか?
――きっとみなさん、鎌田さんのそういうところが好きなんだと思います。先日noteのサークルで開催されたオンライン飲み会にお邪魔させていただいた際にそう感じました。
そうなんでしょうか(笑)。
あ!最後にどうしても言いたかったことが!
この映画は ”The Power of the POSITIVE” ”ポジティブの力” の話が出てくるんですよね。これはなんかすごい考えさせられました。最初と最後にあるんですけど、感じ方が変わりましたね。
いやー、本当に面白かった。
レイの奥さんからすると勝手に家を抵当に入れられて、最終最後は裏切られて違う人と再婚されるし、本当にレイのやりたいことを突き詰めていったなって感じでした。
「どの立場で観たらいいのかな」っていうのはあるけど、レイは幸せだったと思うんですよね。
それにマクドナルドはやっぱり偉大なんですよ、経営としては。
ただ、兄弟からすると悲しいお話だとも思います。
それでもレイがいなかったとしたらどこまで大きいビジネスをできたのかは分からないですよね。ここもまた、どの目線で観るかによっては「そんなに悪い映画じゃないんじゃないかな」と思っちゃいましたね。
ぼくは1つの史実と聞いて、正直可哀想だなと思うこともあるけど、何よりも思っていることは、このタイミングでこの映画を観させてくれるってことは「お前、考えろよ」って言われているような気がしているので
1番の成功者は俺かもしれないです。
またここで「考えるチャンスをもらっちゃったな」と思うぐらい、ぼくにとっていい内容でしたね。
――鎌田さんとレイではどのような違いがあるとお考えになりますか?
ぼくも仕事が第一であることは絶対に変わらないと思うんですよ。
例えばマクドナルドの創業者である兄弟が、HIKAKINさんだとします。そうするとぼくはやっぱり、クリエイターさんとも一緒になって幸せになる道を絶対に探すし、家族とか周りの人もそうですけどみんなが幸せになる道を第一に探しますね。
だからといって、レイの行動は冷徹ってことではないと思うんですよね。考えていくなかでどう断捨離していったのかということだと思います。
例えばできる限り自分が断捨離して、ぼくに利益が出なくてもそれで幸せだったら、別にぼくはいいんですよね。だから違う道を模索し続けるんだろうなって。
綺麗事かもしれないですけど、誰かを裏切るってことの方が辛いことだと思っているんです。ぼくの性格上というよりは「できないよな、そんなこと」と思っちゃうし。
ぼくにとって1番楽な選択肢がそれかもしれないですね。関係者が10人いたとして、9人を裏切れって辛いじゃないですか。
――先ほど「レイは変わった」と仰られていましたが、何がきっかけだったと思われますか?
最初はフランチャイズの契約書を結ぶわけじゃないですか、さらっと。でもフランチャイズが成功し始めるとレイはいい気持ちになったからか、シェイクの作り方も変えましたよね。でも本来だったら、
兄弟を裏切らないっていうのは絶対だと思うんですよね。
――マック&ディック兄弟は、レイが持ち合わせていなかったノウハウを与えてくれた存在だからということでしょうか?
そうです。ぼくはクリエイターさんを裏切らないし、クリエイターさんを裏切ってまで売り上げが欲しいとは思わないんですよね。
むしろUUUMもクリエイターさんがいて、HIKAKINさんがいて、だからできたよってことは、絶対的に変わらない事実だと思うんです。それを「俺が作ったんだよ」って言う日は絶対に来ない。
でもレイの考え方は「俺が伸ばしてやったよ」「マクドナルドの創業者は俺」って感じだと思うんです。
けど俺は「それは絶対言えないな」って思っちゃうし。やっぱり絶対言えないですね。
――レイの強さはその1点にあるように感じました。
そう、あれが言えるのもめちゃめちゃ強い。
さっきの話で思い出したことがありました。「カルネアデスの板」って、緊急避難の例としてよく使われる表現だと思うんですけど、
「カルネアデスの板」
一隻の船が難破し、乗組員は全員海に投げ出された。一人の男が命からがら、壊れた船の板切れにすがりついた。するとそこへもう一人、同じ板につかまろうとする者が現れた。しかし、二人がつかまれば板そのものが沈んでしまうと考えた男は、後から来た者を突き飛ばして水死させてしまった。その後、救助された男は殺人の罪で裁判にかけられたが、罪に問われなかった。(引用元:Wikipedia)
ぼくは本当にこういう状況だったらもの凄く辛いと思うんですよね。
ただレイの場合も、ぼくの場合でも、この道しかないのかって言われると、いろいろな形でみんなが幸せになる方法というウルトラCを考えればいいだけじゃないですか。
むしろカルネアデスの板のように、誰か1人を見放せという方がよっぽど辛いわけですよ。だから綺麗事かもしれませけど、ぼくは今は答えのないことでも、考え続ければ絶対にゴールは生まれると思ってます。
そう考えているから、こっちの方が楽だなとも思っちゃうんですよね(笑)。
(画像引用元:映画『ファウンダー』日本公式Twitter)
2020/06/29 追記
表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
誤:「ピアニストのリンダ」
正:「ピアニストのジョアン」
それではまた明日!
最後に。
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そしてお知らせ!
①人生相談というnoteを書きました。ちゃんと回答していきたいと思うのでぜひあれば書き込んでみてください。
②note内にサークルがあります。こちらもよければ。
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