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(23歳・女)の今日、2020年7月18日
スイスのTinderでマッチングした男性が、高田馬場の語学学校で日本語を学び、翻訳家を目指しているお話です。
3年前、スイスに留学していたとき、現地の友人に、フランス語話者と出会える場所がないかと尋ねたところ、フランス語話者と"出会える"、Tinderを紹介されました。
今となっては笑い話ですが、当時のわたしは出会い系市場の知識乏しく、何度スワイプしても「やたら上裸のやつ」しか出てこず、何度かマッチングしても「何のためにTinderやってるの?セックス?みたいな貞操観念のないやべーやつ」しかおらず、新たな世界を垣間見ました。
そんな中でマッチングした1人の男性が日本語を勉強しているとのことで、こんな人もいるのねと、実際に会うことを決めました。
初対面の印象は、なんかチャラそう。身長180cm超のイケメンで、ピアスを開けていて刺青を入れていて、お洒落なブーツを履いていました。そしてスイスのカフェではじめて話した彼は、お世辞にも日本語が流暢ではありませんでした。
漫画から日本語の知識を得ていたため、日本人からすると不思議な話し言葉を使いました。「やばい」「すげえ」をよく使いました。わたしのことを姫と呼ぶなど、彼なりのジョークを織り交ぜていたのですが、わたしはそれを理解できないことがありました。あるいは彼のフランス語のジョークをわたしが真に受けて、会話を中断させることも1時間で1、2回はありました。(Arrête de dire des bêtises=冗談やめて、とたくさん言っていた記憶があります)
けれども、
彼は日本語に真剣で
わたしはフランス語に真剣で
彼はTinderなんてくそくらえで
わたしはTinderなんてくそくらえで
彼には恋人がいて
わたしには恋人がいて
彼はスイス人で
わたしは日本人で
お互いがお互いを想って、ストイックにアドバイスをする、難しい話題はゆっくり話したり英語を使ったりする、彼はコンビニのビニール袋を嫌うけどわたしはそんなでもない、定期的に会っても色恋に発展しない、そんなような関係がわたしはすきでした。
1年間の留学を終え、彼と会うこともなくなり、わたしはフランス語から離れました。
しかし彼はその間も、ずっと日本語を勉強していました。彼は高田馬場の語学学校に通いはじめました。
高田馬場での再会は、衝撃でした。彼はイケメン身長180cm超スタイルお化けで、あの高田馬場のきたない高架橋下は不釣り合いでした。
スイスではフランス語で話す比率が高かったのに、久しぶりに会った彼とは、ほぼ日本語で話しました。聞いたところ、彼は翻訳家を目指しているそうで、日本語検定も取って、着実に前に進んでいました。
わたしは、フランス語を続けなかったわたしにダメ出しをして、わたしは落ち込みました。
大学を卒業して、就職して、結婚する、わたしにとっての「ふつう」は、ふつうじゃありませんでした。そしてわたしはことばを学ぶのがすきでした。
彼がいるから、いまのわたしはそれらを見失いません。いつもありがとう、また東京で待ってるね〜
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