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【映画感想】『碁盤斬り』

とても静謐で落ち着いた、しみじみと感じ入るような良い時代劇でした。派手な立ち回りや勧善懲悪のスッキリ感とは無縁ですが、渋い味わいがあります。
この前に『鬼平犯科帳 血闘』を鑑賞しましたが、同じ時代劇でも方向性が違います。どちらも良いものでした。

鬼平犯科帳に続き、かなり力が入っている美術造形はお見事。
主人公の柳田格之進を演じる草なぎ剛さんの演技も良かった。
実直で間違いなく”いい人”ではあるのだけど、どこか感情の一部を無理やり抑制しているような危うさがある佇まい。中盤のある事件をきっかけに爆発する”武士の狂気”の演技。たいへん素晴らしかったです。

惜しむらくは私が囲碁に明るくないということ。題名通り囲碁が主題にあり、主人公が囲碁の達人であること、そして「囲碁の打ち筋にはその人の生き様が表れる」という点が重要な演出になっているため、囲碁の知識があればもっと深い部分で演出の意図に触れることが出来るかと思います。



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