珈琲の読書録『図解 コーヒー一年生』
まずはざっくり
概要
日本一有名なバリスタによる超初心者向けコーヒー入門書。
おじいちゃんの喫茶店を継ぐことにした平凡な会社員が、コーヒーの木の妖精コフィアからコーヒーの手ほどきを受ける。という設定。
ポイント
著者はコーヒー抽出の世界大会「World Brewers Cup」アジア人初の世界チャンピオン、ファミリーマートのコーヒー監修でもお馴染みの粕谷哲さん。
とにかく説明が上手い。さすがチャンピオン(大会にはプレゼン必須)。
短い漫画→4コマまんが→文章→図解の繰り返しで飽きない。
スーパーで買った豆を使う「普通の淹れ方」と豆選びや抽出を楽しむ「職人的な淹れ方」に優劣をつけず、楽しみ方のバリエーションとするフラットな姿勢がよい。
豆を買いに行くタイミングまで教えてくれる親切仕様。
自分でコーヒーを選んで抽出できる、に特化。
コーヒーの生産国を、あくまでもコーヒーの味わいのイメージとして、人種的な特徴抜きで擬人化する離れ業がすごい。
アイドル的美少女エチオピアちゃんに納得できる人は既にコーヒーおたくなのでは。
語り口がめっちゃ粕谷さん。声が聞こえそう。
名作です。
内容について
ネタバレ感想文
可愛らしく擬人化されたグアテマラくんとエチオピアちゃんが表紙を飾るこの本は、数ある珈琲本の中でも、読み手が何を必要としているかを考え抜いた一冊です。
noteのユーザーさんは文章を書く人が多いですよね。書店でぱらっとでも眺めてみてください。テーマの立て方、構成、見せ方、すごいです。
一年生なので対象は初心者です。豆も道具も持っていません。ネットで検索すると、あらゆる業者さんがあらゆる豆や器具を最高で必需品だと広告しています。飛び込んでも迷うばかりです。
好きなもの・必要なものを見分ける力を身につけるためにはどうしたらいいか。知っておきたいこと、実際にやってみるといいことが段階を踏んで体系化されています。漫画やキャラクターはそのためのツールです。生産国や品種のリストなんて、そのまま見ても楽しいものではありません。可愛らしい漫画を読んでエチオピアのイメージが「アフリカのどこかの国」から「明るくフルーティーなみんなの人気者」に変われば大成功です。
初心者は不安です。自分の好きなものを好きと言っていいのかすら分かりません。この本は、あたり前のことをあたり前に教えた上で「それでも大丈夫!楽しむのが一番です!」と言ってくれます。いい本ですよ。
書誌情報
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