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閣陵子です。小説(主にショートショート)を投稿していきます。一週間に一回くらいを目標に…

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閣陵子です。小説(主にショートショート)を投稿していきます。一週間に一回くらいを目標に小説を書いていきますので、宜しくお願いします。 いつか長編小説を書くのが夢です。

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ショートショート「古賀とホチキス」

大学に入学し、早3ヶ月が過ぎた。 人見知りのぼくにもようやく友達が出来た。 同じ学科で何度か授業や食堂で顔を合わせるうちに 少しずつ喋るようになり、読書が趣味だということがわかってからはかなり距離が近づいた。 学校が終わったら古本屋や本屋に行ったり、 ファミレスで今まで読んできた本のことをお互い話す時間は楽しかった。 ただ一つ、彼はかなりのずぼらであった。 古賀満はなんでもホチキスで止めるホチラーであった。ホチラーというのは彼が作った造語であり、何でもかんでもホチキスで止める

    • ショートショート【古賀のひみつ】

      最近の古賀くんはなんだかおかしい。 いや、おかしいのが古賀くんなのだが。 僕たちは授業が終わってからいつもと同じ空き教室で二人でああでもない、こうでもないといつもと同じく毒にも薬にもならない会話を繰り広げていた。 すると、髪の長いすらっとした女の人が教室に入ってきた。 その女の人は古賀くんにむけて、手招きをすると古賀くんがぼくにちょっと、といって教室を出た。 古賀くんが、わざわざすいませんと珍しく敬語を使っていたので、恐らく先輩なんだろう。 信じられない。 あの古賀く

      • ショートショート【夢の中で】

        これは夢だと気がついたのは、私が会社に到着し、誰もいない会社のロッカーで荷物をしまっていた時だった。 恐らく今日は平日だと思うのだが、そういえば電車にも、通勤路にも人っ子一人見当たらなかった。 感覚はある。カードキーを差し込む、エレベーターのボタンを押す、バッグの中でタンブラーが動く。 これはもしかして明晰夢なのかも知れないと思うと同時に少しだけ怖くなった。 すると、意識が薄れていき、次の瞬間私は自宅のベッドで横たわっていた。 今しがた体験した夢と思えないリアルな感覚を

        • 短編小説【サブスク兄弟】

          画面の向こうに弟が出来た。 はじめての弟。初めての兄弟。 ひとりぼっちだったぼくに出来た唯一の家族。 これからはもうぼくは一人じゃない。 サブスクリプションをご存知だろうか。 料金を一定期間支払うことで様々なサービスを受けられる。 動画サイトや音楽、雑誌などが有名だが、最近は本当に色々なサービスが出来た。 勇太はぼくの弟で画面の向こうにいるが、まるで本当の兄弟のように息がぴったりで、一緒にいると本当に安心する。 勇太は明るくて、面白くてクラスの中心人物っていうイメージ。

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        ショートショート「古賀とホチキス」

          ショートショート【泣き男と拾い男】

          僕は今日本屋で泣いた。 待ちに待った大好きな漫画の発売日だったのだが、 一冊も残っていなかったのだ。 今日という今日を生きる糧として頑張っていたので、僕は泣いた。 「あの、すいません 大丈夫ですか?良かったらこれ、使ってください」 華奢でマッシュルームカットの男がハンカチを差し出してきた。 僕はそのハンカチを拝借することにし、涙を拭った。 ラルフローレンの上品なタオルハンカチを見ず知らずの男に差し出すなんて得体が知れないとなんとも失礼なことを考えてしまった。 *** 気

          ショートショート【泣き男と拾い男】

          掌編小説【エージェントのお仕事】

          井室達志は激怒した。 それは傍若無人、荒唐無稽が服を着て歩いていると言っても過言ではない、武藤アキに対してだ。 ここは数多くの政治家、研究者を輩出している名門校であり、井室は誉高い生徒会長の職務に従している。井室は曲がったことは許せない、潔癖な男だった。彼の父は外務官であり、国の外交を担う重鎮であったため、常にそうであるべきと教育され、彼もそれに務めた。 一体武藤アキはどうやってここの入試をかいくぐったのかと思うほど、成績は常に低空飛行で素行はいつも逸脱していた。 そう、

          掌編小説【エージェントのお仕事】

          ショートショート【ばーにゃかうださんの消失】

          ばーにゃかうだ@低浮上気味 『諸事情によりしばらくの間ツイッターやめます。すいません…小説はまとめて支部にあげてるのでそちらへどうぞ いつか必ず戻ってきます』 えも仔 『え!?本当ですか!?寂しくなります…でもばーにゃかうださんの帰りをいつまでも待っていますね!』   まみ蔵 『右に同じくです!どうかご自愛を!』 大好きな二次創作の書き手さんであるばーにゃかうださんからの突然の低浮上ツイートに私はひどく動揺した。 ばーにゃかうださんの小説は私の生きる活力だったからだ。

          ショートショート【ばーにゃかうださんの消失】

          掌編小説【失恋保険】

          これで通算100度目の失恋である。 幼稚園から数えて、現在26歳。 バレンタインデー迫る今日、それは突然やってきた。 「悪いけど俺と別れてくれる?」 3つ上の晃はカフェで落ち合うなり、こう切り出した。 「どうして?私たちまだ2ヶ月と2週間しか付き合ってないじゃない 何か不満に思うことがあるなら言ってよ!私直すから!」 晃はため息をつき、私から目を逸らし、今まで見た中で一番冷たい表情でこう言った。 「そういうところだよ、里奈 すぐ感情的になる、俺の話を聞こうとしない、

          掌編小説【失恋保険】

          【本当にありがとうございます】

          おはようございます。閣陵子です。 先ほど「一週間で最もスキされた記事」に選ばれましたの通知が来てとても驚いております。 私の拙い文章を読んでくださった皆様本当にありがとうございます。 中には文章のアドバイスまでしていただいた方もおり、感謝しきれない思いです。 まだまだ小説と呼ぶには及ばない、私の文章ですが… これからも楽しむことを忘れずに文章を綴っていきたいと思います。 また読んでいただけると嬉しいです。 読んでくださった皆様本当にありがとうございました。 閣陵子

          【本当にありがとうございます】

          掌編小説「アスファルト上のピラニア」

          俺の幼馴染が交通事故で亡くなった。 それを知らせたのは夕方のニュースだった。 横断歩道を渡っていたら右折していた車にはねられたそうだ。 ちょうどあいつから来ていたメッセージに返信をしようとしていた頃合いだったのでニュースキャスターの単調なトーンで知らせるそのニュースは全く現実味を帯びていなかった。 「子供の頃さ、道路の白線以外にピラニアが見えるって言ったの覚えてる?」 俺は小学四年の時、街のほうから田舎にある母方の実家に引っ越した。理由は親の離婚だった。 当然、学校は転

          掌編小説「アスファルト上のピラニア」

          ショートショート「付箋と魔法少女」

          最近の文房具はデザイン性に優れているものが多い。私が目にする中ではダントツで付箋がそうである。キャラクターものや柄がプリントされたもの、どれも共通しているのが書き込むスペースがかなり少ないし粘着部分もかなり弱い。会社の後輩のミナちゃんは色んな付箋を使っている。 「これ、確認お願いしまーす。」 数枚の書類のうえにキャラクターが描かれた付箋が貼っており「確認お願いします」と書いてある。すでにその付箋の粘着部分はとれかかっているようだった。 口でいうなら付箋の意味ないじゃんというツ

          ショートショート「付箋と魔法少女」