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【レジから檄②】この店は一味違うゼ|新文化◆2006年2月16日号 10面

新文化◆【レジから檄】2006年2月16日号 10面

「この店は一味違うゼ」 

 店の一等地でのフェアを見て「このフェア売れてないでしょ?」。コンサルタントが言った。ムーブックスや徳間書店のオカルトフェアが「売れている」といえるほど売れるわけがない。売れるフェアなら雑学文庫の仕掛けでもやっている(誤解があると困るので説明するとオカルト全面肯定のフェアではなくオカルトをおちょくったフェア)。
 フェアというのは店の個性を商品で演出できる書店の数少ない差別化政策であり書店の醍醐味だと考え、私は数字を獲るためのフェアと個性を演出するフェアを分けて考えています。私自身、マイナー志向のため自然と変なフェアになってしまいますが、店の個性として発信できてお客様に「アノ店は一味違うぜ」と言わせたいのです。(「店長はマイナー萌えですね」とバイトに言われ「萌え」が私の心にも芽生えていることも知りました)
 スズキには思い出のフェアが二つあります。コミック担当時代。「都道府県別コミックフェア」というのをやりました。コミックの舞台を都道府県別に展開したフェアで地元栃木が舞台のコミックが皆無だったことに「自分がマイナー萌えなのは栃木がマイナーだからだ」と思い知りました。
 もう一つは漫画家「藤子・F・不二雄」追悼フェア(フェアってのもおかしいが)。子どもの頃、ドラえもんの絵描き歌を憶えて狂ったように描きまくり、学研の「子供カラー図鑑」全巻全ページにドラえもんの顔が描いてあるという暴挙を行い(学研にドラえもん…今思うと恐ろしい)、そのおかげで人よりも多少絵が巧くなったということで藤子・F・不二雄さんには思い入れがあった。その追悼に微力ながら哀悼の意を込めて関われたことがとても思い出に残っています。
 フェア一つでその店のスタイル、方向性がわかる。出版社の営業の方、売れているフェアの案内も必要だけど、その店の主張、スタイル、客層にあった面白いフェアの提案をお願いします。「この店は一味違うぜ」と思わせるフェアなら結果は問いません。売上げよりも大きな効果が期待できるのですから。
 今月の一言 
「フェアとはファッションである。主張があれば個性だが主張が無ければセンスが無いと思われる」 
スズキ


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