見出し画像

【ゲムマ2024春】□○GAMES出展記録

僕らはやらかした


新作落としてすいませんでしたーーーーー!!

この記事って何?

はじめまして、もしくは再度いらしてくださりありがとうございます。
□○GAMESのカクと申します。
相方のマルと2人で□○GAMESというサークルでボードゲームを作っています。
この記事は、僕ら□○GAMESが2024/4/28のゲーム―ケット2024春に参加した際の記録です。

※以前の記事はこちらのマガジンから読むことができます。ご興味がありましたら是非読んでいただければと思います。


ゲームマーケット出展者としての参加も4回目となり、このお馴染みとなった挨拶をこの記事をご覧になっている皆様に再びできる事をありがたく思います。

しかしゲムマだけでなく様々なイベント参加も経験した結果僕らもイベント慣れした……はずなのですが、いつも以上にドタバタし、結果として今までで一番のやらかしをしでかした僕らの4回目のゲムマ出展。

その過程で何があり何を学んだか、内容の都合上、若干言い訳じみてしまい恐縮ですが、よろしければお話させていただければ幸いです。


カレンダーを睨む二月末


今回のゲムマ2024春は秋からの間隔が昨年に比べてタイトであり、当然僕らもそれは認識していた……のだが本業やプライベートの事でドタバタと忙しくなり動き出せたのは2月末。

眼の前に迫る製造の時間的制約とゲームとしてのクオリティを両立させるために僕らは計画を立てた。

まずコンポーネントを紙ペンゲームとダイスを使用する二人対戦ゲームにするという事。

まず紙ペンというコンポーネントに直接的に書き込み、遊んだ結果をモノとして残せる特性をもっと探求してみたいという目論見があった。

それに加えてダイスという乱数の生成機として最もポピュラーでその結果に拡張性のあるコンポーネントの研究を、ライナー・クニツィア『ダイスゲーム百科』のゲームを実際に遊んでみたり、実際にダイスゲームのプロトタイプを作りテストプレイをしたりと、これまでもコツコツ進めて来ていた。

僕らはこの二つの要素に大きな可能性を認識しており、僕らの考える面白いゲームを実現させるのに十分以上にポテンシャルを感じていたのだ。

なによりも紙ペンゲームは印刷は発注してからできるまでが早い!ダイスも既成品を用いれば発注の時間的問題はほぼない!

完璧な計画だ!

よーし頑張るぞー!!!

気合をいれながらカレンダーを睨むと二月末……大丈夫かこれ?

三月頭、迫るタイムリミット、迫る選択の時。


ひとつはマンションを舞台にしたワーカープレイスメントゲーム
もうひとつは株式市場のチャートをテーマしたオークションゲーム

参加者二名の壮大な新作ゲームトーナメントの末、決勝に残された二つのゲームのプロトタイプを目の前にして僕らは悩んでいた。

僕らはその両方に大きな可能性を感じていたのだが、残り時間を考えクオリティを上げる事を考えるとどちらか片方に注力するしかないという現実に直面していた。

まあ、うん……時間制限もあるし……

というわけで現実を見る事にした僕らは(もう一つのゲームも秋に出そうという事にし)株式チャートゲームに舵を切った。

この選択は確かに正解だったのだが……ここからが広大な未知の領域への入口だとはこの時の僕らはつゆほども考えていなかった。


インプット!インプット!インプット!

まずプロトタイプとして荒削りなデザインで作られた株式チャートゲームがあったのだが、ここで一つの問題があった。

僕らはあんまり金融市場には詳しくない、という問題だ。

これってゲームとしてはともかくとして実際問題、お金の動きとして正しいの?

時間は無いけどナラティブとメカニクスに齟齬があると相乗作用どころか邪魔をし合うという事を常々言っている僕らは、ここの部分で問題を感じた。

※ナラティブの話は、以前の開発日誌のナラティブという難題にねじ曲がる頭の項で話しているので興味のある方は読んでいただければ幸いだ。

ので、

残り時間も少ないけど必要な事だし金融市場について勉強していこう!!!

ということになった。

まずは金融商品や金融取引に関しての実用書を数冊読み、
Youtubeで実際にあった金融関係の大きな事件や解説を見て、
最後には莫大な金額が飛び合う手に汗握る映画を何本も見た。

僕らはそれらの情報を共有する度に、あれこれとゲームに取り入れたい要素に関して議論を交わした。

さて、お気づきだろうか。

金融関係の刺激的で合理的な数々の仕組みや事件を一気に見た僕らは、そもそもこの金融市場というモノ自体に大いに面白みを感じてしまっていた。

そう、これらのインプットは非常に有用だった。
プロトタイプでは仮組み状態だったゲームを通してプレイヤーに感じて欲しい体験が確かな熱を持って僕らの中にもたらされたのだから……

してえ……

ゲームにしてえ……

良いと思ったものをゲームにしたい、ゲームにするなら良いものを、そう思い僕らはゲームの大きな枠組みからより質感を持った体験に必須なメカニクスを考え直し、テストプレイを繰り返し……気づいたら完全に別物になっていた。

あれ~~~~~~????

しかし、流石に僕らもここまで大きく初期案から逸脱し別物になっているのは重々承知であり、悲壮な程に覚悟が決まっていた。

それは大きな方針転換である。

今回のゲムマ出展はごく少数のプロトタイプのみとして
期限限界までゲームを調整し
自前の印刷機でコンポーネントを印刷し
会場で梱包することになってでもこのゲームを出す

理論上、この方法なら僕らの作ったゲームの体験を最大限ゲムマに来てくれた方々に伝える事ができる……!

それが決まってから僕らは振り返らずに走り出した。


ゲムマ当日……すいませんでしたァーーー!!

当日、僕らの眼の前に新作ゲームはなかった。

ここでは皆様への説明と後の僕らへの戒めとして、何があったかを詳しく書かせていただきます。
また、同じような事を考えた方がいる場合、僕らの失敗が参考となれば幸いです。


終わりの始まり

まず今回のゲームにおいてメカニクスが変更されコアなコンポーネントはカードとなっていた。

これに関して、僕らは白紙の名刺カードに印刷し自前でプロトタイプを作成する事にした。

これ自体は過去にプロトタイプを作るときに実績があり、問題はないという判断だった。

しかし今回の製造に関し、材料の発注時に僕ことカクがある提案をする。

「印刷用の名刺用紙ってA4の枠から切り離すやつとバラのやつあるけどバラの方がいいよね?」

これに関して言うならば純度100%善意の提案である。

□○GAMESは基本オンラインで作業しており、今回は印刷機の関係でマル側が印刷工程をすることになっていた。

そして前者のA4の名刺用紙の場合、A4の紙に10枚程度の名刺が切り離し可能な状態でセットされており、印刷後にマルが手動で切り離す必要があった。

それに対しバラの名刺用紙の場合、印刷すればそのまま梱包するだけで完成である。

これだけ見ればバラの名刺用紙の方が、マルが行う作業の楽さという点では、圧倒的である。

当然、マルも同意した。

問題はこの時点でふたりとも頭が既に茹だっていたという事である。


4月28日AM5:00

前日から日も変わり、もうすぐ夜も明ける頃までマルは最終的なゲーム全体の調整を行っており、ようやくゲームの説明書作成が完了した。

さあこれで完成だ!とマルが印刷機を起動してしばらく経ってからそれは判明した。

印刷、遅くね?

そう、A4名刺用紙ならば10枚一気に印刷できるところを、バラの名刺用紙の場合は1枚ずつの印刷となる。

今回のコンポーネントのカード枚数はかなり多く、この差はギリギリのタイムリミットの中では致命的だった。

そしてマルはもう一つ気づく

両面印刷、できなくね?

そう、A4名刺用紙ならば通常の印刷トレーを使用し両面印刷できるところを、バラの名刺用紙の場合は特殊なトレーを使う関係で両面印刷ができないのだ。

印刷した後に裏側に更に印刷するという方法で実行面では解決できるものの、これはただでさえ遅い印刷時間が2倍になることを意味していた。

残された時間的猶予を確認し、マルはすべてを悟った。

1セットすら開場までに作り切れないと。

……

そうして、初めて新作を落とした□◯GAMESの二人が会場に到着したわけである。

今回の反省としては、マシンの速さを考慮せず、僕らの労力だけを最小化しようとしていたことが敗因だった。

人間は頑張ればなんとかなるかもしれないが、マシンの限界は努力ではどうしようもない。

手痛い失敗だったが、大きな学びではあった。

新作を落としたことに関しては本当に申し訳ございませんでした……


それはそれとしてゲムマの楽しさを再発見する僕ら

申し訳ない気持ちはありつつも、GALAXY ECLIPSEを用意して設営!

しかし怪我の功名というべきか、これは結果として僕らとしては一番自由なゲームマーケットの始まりだった。


世の中には楽しそうなゲームがいっぱいある

今回のゲムマでは販売するゲームが1作品であることや、支払いを電子決済のみにした関係でかなり余裕があった。

これにより今まで時間中は二人でブースに張り付いて殆どフル稼働だったのを交代で他のブースを見て回れた。

出展側としてゲムマに参加するようになってから、人が少なくなってきた僅かな時間に走り回るように会場を見て回っていたのだが、これによりゲームデザイナーになってから初めてじっくりと他のゲームをチェックする事ができたのだ。

いちプレイヤーとしての見ていた時とは違い、デザイナーとしてゲームを見るのは新鮮で新たな発見が大量にあった。

なによりもゲームの面白さに対しての視点や視野が広がったことで、今まであまり興味を持たなかったジャンルのゲームに関してもグッと来るようになっていたのがとても面白く、二人で交互に買ってきたゲームの品評会をしていたのだが、今までにない量の買い物をしてしまった


僕らに期待してくれている人たちへの感謝!

もちろん既存作品とはいえ、ブースに来てくれた人たちに僕らのゲームを楽しく遊んでもらう事に真剣に向き合っていく過程で非常に嬉しいこともあった。

既に僕らのゲームを遊んでくれている人が応援してくださり
フリッカーレールズハックガードの再販を希望してくれる方もおり
なにより新たに僕らのゲームを知って買ってくださる方々が大勢いた

毎回同じような言葉になってしまい恐縮ですが

僕らのゲームを手に取ってくださった方!買ってくださった方!遊んでくださった方!

本当にありがとうございます!!!!

本当に励みになりますし応援してくださる方々のためにも、僕らもより多くの方に僕らのゲームを遊んでもらうために全力を尽くします!

宣伝となりますが、以前お話したGALAXY ECLIPSE業我捨-Gogasha -をAmazonで販売する計画が現在進行しています。
新たに興味を持ってくださった方や、今まで買えなかったという方にもお伝えいただければ幸いです。


うれしい会場の変化

ゲムマの会場で、ひとつ運営の方の新しい試みでとても嬉しいものがあった。

それは会場の中央辺りに新たに作られたフリープレイスペースだ。

一般のお客さん達が楽しそうに会場で買ったゲームを遊ぶ活気ある光景は、遊んでいるゲームが自分達のものでなくても、あの中に一つでも僕らのゲームがあるかもしれないと思うとそれだけで嬉しくなった。

参加者も増え、環境も変わる中で新たな試みをしている運営の方々には頭が下がります。

今後も楽しみにしています!


閉幕!そして次のゲムマへ!

そういうわけでいつもより自由に、それでいてある意味では激しく過ぎ去ったゲームマーケット2024春は……無事撤収!

失敗はしたものの、その過程で新たなゲーム開発のプロセスを試行錯誤することもでき、ゲムマから新たなインスピレーションも数多く得る事ができ、僕らとしてはかなり実りの多いゲームマーケットだった。

今まで全力疾走だった分、少しだけ歩みを緩めて周りを見渡せたようなそんな気分です。

改めて既にお伝えしているGALAXY ECLIPSEや-gogasha-をAmazonで販売する計画もありつつ、次回のゲムマに向けた新作……もしかしたらゲムマ外で公開できる新作もあるかもしれません。

願わくはまた次のゲムマでお会いしましょう!

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?