「医療マーケティング」は、最終的にやっぱり「人」に辿り着くしかない。

こんにちわ。
久しぶりのnoteです。「原体験掘り起こし」連載は、結構疲れるネタなので、気楽にアウトプットできそうなことを書いてみます。

そんな大層なことではなく、これまでクリニック開業するにあたり、書籍やTwitter、人との出逢いで得ることができたインプットを、僕なりにアウトプットするだけなので、ご興味があればご覧ください。

1:はじめに

 そもそも「マーケティング」なんて興味もなかったですし、必要な知識だと思っていませんでした。まあ勤務医だったので当たり前です。そして、そもそも「医療マーケティング」という言葉自体が医療業界に馴染みにくい言葉だとも思います。
 おそらく

「マーケティング」=「金儲け」

という短絡的な考えがあるからだと思います。 実際僕もそう思っていた時期があったと思います。皆さんもお思いになる方は多いかもしれませんが(以前よりは減ったと思いますが・・・)、

「医療」で「お金を儲ける」ことはタブー視されている(もしくはされていた

という面があるからだと思います。ただ、医療従事者はボランティアで働いている訳ではありません。当然です。それ相応の給与をもらい、仕事を通じて幸せになる権利があります。そのためには、最低限のお金は必要です。そのためには「稼ぐ」ことは必要になります。
 そして、当然

「医療を継続して提供していく」

という責務もあります。このためにも「稼ぐ」という概念が必要になります。

また、別の側面でも「マーケティング」という概念が医療業界には必要だと思います。それは「患者さんのために」です。
これまでは、

「クリニックを開業すれば、患者さんはどんどん来る」

という考え方が多く、実際にそういう時代が続いていたと思います。
ただ、今はまったく違います。
クリニックでも専門性が高くなり、クリニック数自体も多くなり、地域によっては飽和状態になっているところもあります。
患者さん自身も、「どこのクリニックを受診するのがいいんだろう??」と思うことも多いかと思います。
だからこそ、

「患者さんが真に求める医療・サービスを創り、その情報を届け、患者さんがその価値を効果的に得ることができるようにする」

いわゆる「医療マーケティング」が必要とされてきていると思います。

2:「医療マーケティング」を細分化してみる。

「医療マーケティング」を細分化してみるといっても、まったく大層なものではありません。逆に普通のマーケティングよりも細分化は楽でしょう。
なぜかと言えば、

「医療広告など医療マーケティングでは法的に制限される部分が多々ある」

からです。

みなさんも医療広告(例えばテレビCMとか)はたくさん見たことがありますよね?。いわゆる美容形成系のものです。
「普通に規制なくやってんじゃん」と思われるかもしれませんが、基本保険診療を行う場合は、あのようなCMはできません。自費診療(自由診療)を行う医療機関の広告は規制外になるので、あのようなCMができるのです。通常保険診療を行っている医療機関が広告するには「医療広告ガイドライン」というものに沿って行わないといけません(違反した場合罰則もあります)。

そういったことを踏まえて考えていくと、

1:患者さんに来院してもらう。⇒集患
2:実際に受診してもらって、クリニックの実際を知ってもらう。
  ⇒クリニックの真実を目の当たりにする「真実の瞬間」
3:かかりつけ患者さん・クリニックのファンになってもらう。

上記過程の中で、規制なく効率よくやれる手立てってのは限られてくるわけです。しかも、他クリニックとの差別化を図るなら、なおさら難しくなる。

でも、考えようによっては、ごちゃごちゃ考えるスキがないので、ポイントは絞りやすいです。

3:集患

本当は「集患」という言葉自体があまり好きではないのですが、わかりやすいので使います。
要は、

自分のクリニックを受診してもらうにはどうするか??

です。
先にも書いたように、この部分の規制が強いのが「医療広告」の実態です。
みなさんも街で見かけるような

立て看板、電柱広告、バスの中釣り

とかですね。あとは、ポスティング広告も行える範疇です。これは、他クリニックと大きな差をつけられる訳ではないですが、やれることなどでやります。

あと、盲点なのが、クリニックのホームページです。なぜ盲点かと言えば、

「インターネット上のホームページは、ガイドライン上原則として広告とは見なさないこととする」

からです。これは、患者さん側が「誘導されてみる」というよりも「みたいとの意思をもってみる」からだと思います。
表現の規制はありますが、ホームページには投資する価値があるといっていいでしょう。

「どういったホームページにするか?」という問題はありますが、ここでも他クリニックとの差別化は必要だと思います。
「じゃあ、どこで差別化するの?」ということになりますが、一応作戦はあります。これは後程書くことにします。

あと、いわゆるSNS媒体(Twitter、Instagram、Facebookなど)に関する記載はガイドラインにはありませんでした。SNS媒体の扱い方については、おそらくはホームページと同様の扱いになると思います。
ただし、
①炎上案件の可能性
②媒体を使用する人たちの年齢層と受診する年齢層の乖離がある可能性
③どういった情報を発信するか?
などの課題があると思っています。

4:クリニックの真実を目の当たりにする「真実の瞬間」

今回のnoteのメインです。

僕は、正直どの業界のマーケティングでも、この「真実を目の当たりにする瞬間」=「真実の瞬間」が最も大事だと思います。そして、すべてを成功させるのも、失敗に終わるかも、この瞬間にかかっているとも思います。どれだけ集患・集客ができたとしても、この瞬間が台無しであれば、すべて失敗です。逆に、集患・集客がうまくいかなくても、この瞬間の充実で逆転もできる可能性もあります。

クリニックでの「真実の瞬間」とは、要は、

受診した患者さんが、クリニックに来院し帰宅するまでの間、クリニック内で、どのように過ごすか?

です。

この過程も細分化できます。

①病院到着・受付対応
②問診・検査
③診察
④会計受付・処方受け取り・帰宅

という過程です。
この細分化点でも削り落とせる部分があります。それは、「検査」部門です。専門性の高い機器を設置することもできますが、そもそもニーズがなければ金食い虫になります。維持費なども負荷になるので、施設の身の丈にあったものにすべきでしょう。施設面で大病院に立ち向かおうとするのは悪手です。勝てるわけがありませんから。
あとは、内装などの充実はどうでしょう??これもクリニックの身の丈にあったものが適切だと思います。
みなさんが、街中にあるクリニックを受診したとします。もし、内装がホテルみたいに豪華絢爛だったらどうします??
まあ、人の嗜好によると思うのですが、僕はちょっと気軽には受診できないですね(-_-;) あと、内装面で大病院に立ち向かうのも悪手だと思います。


じゃあ、どこで差別化するのよ??となりますが、この部分への投資が最も大事だし、「真実の瞬間」の充実に直結する部分でもあります。

それが、

人財

です。

「真実の瞬間」の細分化点のすべてに関わるのが「人財」=「人」です。
もちろん、「人なら誰でもよい」とは言えませんが、採用・面接などをしっかり行い、また入職後も丁寧に対応していくことで、最大の武器になるのが、「人」です。

この点は、うまく運用すれば、大病院にも対抗できますし、他クリニックとの差別化にも繋がることになります。

「人」が武器になり、財産である。

ということは、たくさんの方々が著作などでも記していることです。
ですが、「医療マーケティング」では、それが顕著になると思います。「マーケティング」を行っていくうえで制限が多いことにもよりますが、やはり一番は、

「人と人」が向き合うことが医療の本質である。

という点が一番だと思います。

また、しっかりとした採用を行い、接遇・医療知識などの教育を行い育てていくことで、そのクリニック独自の「プロダクト(商品)」にもなります。
(この表現はあくまでも分かりやすく表現するために記載しています)

クリニックが保険診療を行っていく限り、患者さんへ提供する医療というのは、ほぼ全国的に見ても均一化されていると思います。これが、日本の医療のいい部分だと思います(もちろん自費で行う治療も存在します)。要するに、「通常の医療プロダクトで差をつける」ということは非常に困難なのです。
一般の製造業などであれば、独自に商品開発を行い、独自のルートで販売といったこともできますが、医療ではなかなかあり得ません。

そこで、差をつけるなら、

そのクリニックが厳選し、しっかり教育し育てた人財
=そのクリニック独自のプロダクト

を生み出すことが非常に重要になるのです。

こういったことが成功につながってくると、前述したホームページ上での戦略やかかりつけ医やファンになってもらうという戦略も変わってきます。

例えば、

ホームページ上に院長だけでなく、スタッフ全員のコーナーを作る

とか、

クリニックだけでなく、それぞれのスタッフのファンになってもら

といった戦略もとれるようになると思います。


ただ、このクリニック独自のプロダクトを創っていくというのは、魅力的ですが、とても大変なことだと思います。

①採用
どれだけクリニックの理念に沿った人財を確保できるか?単純な採用広告ではなく、理念などを打ち出した採用作戦をとる必要がある。
②教育
接遇・医療知識の教育など
③定着
働きやすい環境創り。働きやすいチーム創り。スタッフ間の信頼関係構築や院長とスタッフ間の信頼関係構築。

などなど。

多分、得られる効果が劇的なだけに、相当な準備・維持努力が必要だと思います。

いつもお世話になってるやまけんさん(@yamaken_edu)のnoteの中でも、

サロン経営者が一番頭を悩ませるのは
人の採用と定着だ。

と書いてるんだけど、まさにその通りだと思います。でも、あれだけ起業してきた変態が、それでも頭を悩ませているのが「人」のことなのです。

そして、やまけんちゃんのnoteでも取り上げられていたネイリストでいらっしゃるはるさん(@haryu_nail)のnote。
読んでみてとても興味を持ったので、初課金してのnote購入。

購入して早々読み終わり、

「よし、明日からネイリストに俺はなるっ!!!」

と思ったのは冗談ですが、
はるさんも、僕と同じように(おこがましくてすみません)、人を人財と考えて、ネイルケアを行うだけでなく、ネイリスト個人も「プロダクト」にしようとしているのかな?と思えました。
そして、

とにかく「人」を好きになり、「人」の言うことを傾聴し話し合うこと。

が重要なのかなと思いました。これからも、何回も読んで参考にしていきたいnoteに出会えました。はるさん、ありがとうございます!


5:最後に・・・

「医療マーケティング」において、「人」というのは最重要な要素であることは疑いようがないし、特に中小クリニックは、そこを重視しなければ生き残れないと思います。

ただ、その重要な「プロダクト」を創って育てていくところに、確固たる方法はないのが実情でしょう。
これは、自分自身が体験・経験していくことも重要ですが、他業界からの方法を転用するのは、とても重要なことです。
僕も偉そうに書きましたが、経営者としてはまったくの素人です。ですから、素人なりにインプットを続け、そしていろんな人に頼りながら進んでいくことになると思います。

僕は

「人に会いに行くことに投資する」

ということをTwitterで知りました。そして、実際にいろんな方々にお会いできましたし、これからもいろんな方々にお会いしたいです。開業したら、なかなか自由には動けなくなります。だから、開業前の今を大事にして、人に会いに行きます。

そして、そこで出逢えた方々にもご協力頂きながら、

自分の経営するクリニックが誇る人財

を創造できればうれしいです。


以上、長々と駄文が続きましたが、最後までお付き合い、ありがとうございました。

では、またの機会にお会いしましょうm(__)m


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