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コロナで加速する飲食店のDX化 食体験はアナログとデジタルを両立する時代に???

低迷する飲食業界では、店舗のデジタル化に注目が集まっている。最近では、「DX」というトレンドワードでも知られるこの領域だが、飲食業界に広がる店舗デジタル化事例を踏まえ、アフターコロナの飲食店に求められる対応は何なのか考えていってみます。
もしかしたら私たちは外食における食体験を、もっと広い視野で今までの価値感を超えて、見つめる必要があるのかもしれません。

コロナ流行下で進む飲食店のデジタル化

不特定の客とスペースを共有し、店員から対面でサービスを受け、提供された料理を食べる。これが今まで当たり前のように受け入れられてきた飲食店での日常であります。
感染への懸念が広がった2020年3月以降、こうした「普通」が消費者から敬遠され、外食産業は窮地に立たされてきました。店舗側は、消毒用アルコールの設置やスタッフのマスク着用、入店客数の制限といった対策をおこない、顧客が安心して利用できる環境づくりに必死でありますが、
まだ以前のような活気は戻っておらず、感染状況とのにらみ合いが続いているところであります。
今後、コロナウイルスとの共生が求められており、より踏み込んだ対応が飲食店に求められている現状でもあります。

そのような状況のなか、飲食店のデジタル化は特に注目を浴びております。テクノロジーによってもたらされる非接触のシステムや販路の拡大、運営の効率化が、低迷する外食産業を救う救世主だとも感じております。

スマホアプリを通じて、店外から事前注文・事前決済をおこなえるモバイルオーダーは、マクドナルドやスターバックス、吉野家など、テイクアウト・デリバリーの売上割合が大きい外食チェーンを中心に導入が進んでいっております。このようなモバイルオーダーシステムの活用により利用客は、店舗スタッフや共用システムといった感染リスクとの接触を最小限にすることができるのです。

また、「最高のコストパフォーマンス」を体現する俺の株式会社が運営する店舗では、全社的な店舗DX推進の一環として、テーブルに備え付けのQRコードを読み取ることで顧客のスマホから注文をおこなえるデジタルオーダーシステム・テーブルオーダーを導入しております。
こちらもモバイルオーダー同様、接触と言う感染リスクを最小限にできる仕組みであります。

EC事業との両立を図る飲食店の存在

デジタル化は、安心・安全に対する取り組み以外の部分にも波及しつつあります。それは、コロナ禍での利用客の減少を受け、EC事業へと踏み切る飲食店が相次いでおります。

株式会社ソラノイロは、「女性が1人でも気軽にラーメン屋に入れるように」をコンセプトに掲げており、2011年創業以来、人気ラーメン店であります。国内で感染が拡大し始めた2020年3月にもうソラノイロは、自宅でもソラノイロの味が楽しめる、ラーメンキットの通信販売をスタートさせております。

最初はメールで受注する暫定的なシステムだったが、大きな反響があったことで、ネットショップ作成サービス・BASEを活用したECサイトを構築。
そして、ラーメンキットだけでなく、餃子や焼売といった単品メニュー、産地直送の食材とラーメンキットをセットにしたサブスクリプション型の定期便なども行い、商品を増やして販売し続けています。

最近では、看板メニュー「ベジソバ」のキットは、2食入りで2,600円(税込)で、実店舗のメニューと比較すると、やや割高な価格設定であります。しかし、ECサイトの開設以降、注文が殺到している現状であり、代表取締役は、「店舗の売上を全体の6~7割にとどめ、残りをテイクアウト・ECで稼ぐ業態を目指したい」と、過去のインタビューで語ってもいます。

またソラノイロ以外にも、ラーメン店からは麺屋武蔵やAFURIが、居酒屋業態からは串カツ田中や塚田農場が、新たにEC事業へと乗り出していっており、デジタル化が飲食店のビジネスモデルを多様化させていっているのです。

外食産業で曖昧化するさまざまな境界線

ソラノイロが活用したネットショップ作成サービスのBASEは2020年6月、拡大する外食産業の需要に応えるべく、新機能「テイクアウト App」の提供を開始しております。
こちらの機能は、BASE上に開設したECサイト経由で、飲食店がテイクアウト商品を販売できるものになり、実店舗での受け渡しを想定した利用が可能になります。また店舗側が設定した受取日時内での商品注文と、クレジットカードによる事前決済に対応しており、簡易的なモバイルオーダーとも考えられる機能となっています。

このような進サービスにより、BASEでは、ECとモバイルオーダーをワンストップで提供できるようになっており、リアルに限定されてきた飲食店の商圏が、手軽にネット上にまで拡張できることになります。
消費者視点では、さまざまな接点からお気に入りの飲食店の利用が可能となった形になります。

BASE以外では、ミールキットの開発・販売で知られるオイシックス・ラ・大地も、飲食店のEC化支援に名乗りを上げています。
串カツ田中や塚田農場のEC事業は、同社のプラットフォームを活用した例であり、内食を主戦場としてきたオイシックスからすると、外食産業は言わば「競合他社」のような存在であるが、消費者の食体験向上という観点では、同胞でもあると言えます。
オンラインとオフライン、外食と中食・内食の垣根をなくす両社の取り組みは、食市場におけるOMOのモデルケースと呼べるのではないでしょうか。

飲食店のDXが顧客の食体験を変えていく

「企業がテクノロジーを活用し、顧客・社会に対する価値提供の方法を変革させること」を意味するDXであるが、日本では2018年、経済産業省がガイドラインを策定したことで広く知られるようになりました。また同じような意味合いで、「デジタルシフト」が使われることもあります。

コロナ前の日本では、こうしたデジタル化推進の風潮が、店舗の実益ありきで話が進んでいたが、コロナウイルスにより、消費者の衛生面に応える必要性があり、「実店舗の利用をためらう顧客にサービスを届けるため」、といったユーザー目線の文脈で語られるケースが多くなってきている。
これは、DXの定義である「顧客・社会に対する価値提供の方法を変革させること」と同様であり、今後益々のおいしさは前提条件となり、その上での食の体験が求められてくるのではないだろうか。

今までですと実店舗における食の体験は、デジタルによる代替ができないと考えられてきました。
作りたての料理の味、スタッフによる質の高い接客、特別な雰囲気とロケーションなどに価値が見出されてきたためであります。
しかし、消費者の体験という視点に立ったとき、アナログと同等、もしくはそれを超える価値がデジタルに提供できるのならば、デジタルはアナログを凌駕することができ、アフターコロナの時代には、より顧客の体験に踏み込んだアプローチが必要となってくると考えております。

デジタル化は、顧客体験向上のためのひとつの手段でありますが、どのような方法で苦難の時代を生き残っていくのか。。。
各経営者にはさまざまな選択肢が与えられているため、その中から最善で最高の答えを経営者は求められているのかと思います!

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