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農業ベンチャーでのお話【2】:育児の毎日からの転機


育児の毎日

結婚を機に、主人の勤務先、縁もゆかりもない土地へ。

大学卒業後から勤めていた仕事を辞め、結婚後間もなく、2人の男児を授かった。
毎日帰りの遅い主人は当てにはできず、かと言ってお互いの実家も遠方。。
慣れない育児や家事を一人、毎日必死にこなしていた。

当時の自分は、人に頼ることは甘え・悪であると考えていたし、他人から文句を言われないように、必死に完璧な母・妻であろうと頑張っていた。

学ぶこと自体が好きで、いつかは何者かになれると信じて勉強や仕事に打ち込んできた。
でも、今はただ、毎日小さな子供の相手をするだけの日々。
企業で着実にキャリアを積んでいる友人に会っては、ただの【お母さん】になった自分を惨めに感じることが多かった。

【お母さん】は代替えの利かない、子供にとって唯一の存在である価値を、あの時の自分は、感じる余裕すらなかった。

転機

転機は急にやってきた。
上の子供が3歳になるタイミングで、近所のお母さんたちと一緒に、子供たちを近くの保育園へ預けることにしたのだ。

幸いにも待機児童問題のない地区であったが、保育園へ子供たちを預けるには、私も就業していることが絶対条件だった。

こうして私は仕事を探すことになり、たまたま携帯の求人サイトで見つけた
《農業ベンチャーのオープニングスタッフ募集》
の広告に、なんだかワクワクする気持ちを覚えた。

即申し込み、翌日には面接に出向くことになった。

ピカピカの会社

10a(1反)の3連棟鉄骨ハウスとコンテナの事務所。
建って間もないピカピカで頑丈なハウスには、たくさんのセンサー類や操作盤が設置されていて、リケジョの私にはただただカッコよく、すぐに心を奪われた。

社長は異業種から就農した同世代の男性で、とても前向きな人物。
大学院まで出て異例のキャリアを持つ社長に、この会社はきっと面白いことをやっていくのだと大いに期待した。

ハウスの中では、もう初冬というのに、青々とした葉をつけたトマトが育っていた。
中玉トマトにしてはずいぶん小さな果実。

1つ勧められて、つまんだ果実は衝撃だった。
甘酸っぱさがグミのように濃縮されていて、イチゴ以上の素晴らしい芳香。
とにかくおいしい。
【フルーツトマト】と呼ばれるものを、私はここで初めて食べた。

自分もここでチャレンジしてみたい。
くすんだ灰色の世界に、一筋の強烈に明るい光が射した感覚。

無事内定をいただき、翌週から収獲や管理作業を行うパートスタッフとして働かせてもらうことになった。
こうして私は新たな道を見つけたのだった。



ちなみに、これは保育園へ子供たちを預け入れる前の話。
入園までの数か月は、ベビーシッターの方へ子供たちを預け、働くことになりました。

毎朝1歳と3歳の子ども達のお弁当におやつ、水筒、お布団…
口にするものすべて、身に付けるもの全てを毎日準備して、、、
仕事より正直大変だった(笑)

更にパートで得たお給料以上にベビーシッターの方へ支払う費用の方が多かったのですが、、、
何より家の外へ出て、大人と一緒に話をすること、働ける事がすごく楽しかったのです。





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