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【木ノ下歌舞伎】勧進帳

 2023年9月9日(土)、池袋の東京芸術劇場(シアターイースト)に、木ノ下歌舞伎『勧進帳』を観に行きました。メモを残します。

■公演情報
 配布されたパンフレットに、東京芸術祭2023 芸術オータムセレクションとあります。東京芸術祭のプログラムの一つのようです。
 東京での公演期間は、2023年9月1日(金)〜24日(日)です。その後、沖縄、長野、岡山、山口、茨城、京都を回るツアー公演となっています。
 上演時間は90分。席は自由席でした。チケットに記載された整理番号順に入場します。私は心配性なのですが、無事座れました。

■木ノ下歌舞伎とは

歴史的な文脈を踏まえつつ、現代における歌舞伎演目上演の可能性を発信する団体。あらゆる視点から歌舞伎にアプローチするため、主宰である木ノ下裕一が指針を示しながら、さまざまな演出家による作品を上演するというスタイルで、京都を中心に2006年より活動を展開している。

木ノ下歌舞伎のホームページより

 今回の『勧進帳』についていうと、主催の木ノ下裕一さんと、演出・舞台美術家の杉原邦生さんがタッグを組み、歌舞伎『勧進帳』の現代劇化や組み直しを行なった作品です。(パンフレットの記載などから書いてみました。)

■印象に残ったこと
①スタイリッシュ
 いきなり「スタイリッシュ」という言葉を使ってしまいましたが、「スタイリッシュ」をインターネットの英和辞典(英ナビ)で引くと、「物腰や衣服に優雅さ、風情、または洗練さがあるさま」とあります。
 確かにそうなんです。舞台や衣装、音楽などの構成など、無駄がない感じで、洗練されていると言えるような感じがしました。
 あんまりネタバレは出来ませんが、舞台は橋のようになっていて、観客は両側から挟むような形で鑑賞します。白い舞台に黒い衣装。現代的な感じがしました。

②ボーダー(を超える)
 チラシやインターネットニュースにもありましたが、歌舞伎『勧進帳』を<関=境界>の物語と捉えているようです。
 国境や性別、生まれた時からの家柄など、人間には色々な境が考えられます。そして、その境を越えられるのか、越えるとどうなるのか、超えざるを得ない状況があるのかなど、私も考えさせられました。

③義経と弁慶の関係
 ②にも関係しますが、義経と弁慶は主従関係です。現代の上司・部下や先輩・後輩の関係とは、また異なる結びつきがあったのだろうなと推測します。弁慶が義経を打つときに、どういった気持ちだったのか、どれくらい躊躇があったのか。
 以前、少し考えたことがあるテーマだったので、こうした新しい形で見ることや、とらえることが出来て、とても良かったと思います。

④その他
 歌舞伎『勧進帳』に出てくる「延年の舞」の場面はあるのかな、など歌舞伎にかぶせながら見る場面もありました。ここでは、「延年の舞」については伏せておきます。

■最後に
 これまで、歌舞伎や文楽で『勧進帳』を見たことはあったのですが、有名で、且つ大きなテーマのような気がする部分もあり、なかなか記事に出来ませんでした。(単なる怠けもありますが)
 今回、思いがけない形で記事にすることが出来て良かったです!

 そして、私は保守的なところがあり、オーソドックスなストーリーを好む傾向にあります。しかし、古典を見ながらも、現代劇にした作品の方を面白く感じたり、この作品は古典を超えているのではないかと感じたことも、何回かあります。
 古典作品を追うばかりではなく、幅を広げたり、それこそ境界線を超えたりしていくことも必要だろうな、と感じた一日でした。

 本日は以上です。

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