ベートーヴェンの駄作「第9」
年末が近づくと、どこかから聞こえてくるベートーヴェンの交響曲「第9」。
あれは駄作ですよね、って話じゃないです。
あれは傑作じゃないですか。何言ってんですか。
私が言いたいのは、ピアノソナタ第9番、のことです。
すみません、流行りのクリックベイトというのをやってみました。
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ベートーヴェンのピアノソナタ第9番は、マジ駄作だと思います。
ピアノソナタ9番作品14ー1。ホ長調。
これねー、ホントどうしようもない。弾いたことある人なら分かるでしょう。
ルートヴィヒたん、どーしたの? って出来です。
8番が例の傑作「悲愴」なだけに、その落差がすごい。
私が持っている楽譜の諸井三郎の解説では、
「いわば山頂を極めた人が、緩やかな尾根をここちよく歩いているような姿勢が見える」
とか言ってごまかしてますけど、どーしたの諸井三郎。お前も変だ。
駄作としか言いようがないでしょう、この曲は。
ベートーヴェンだって傑作だけ書いたわけではない。調子の低い曲も多いです。
でも、普通は「凡作」どまりで、「駄作」まで落ちることはない。
たとえば、作品14ー2、次の第10番も、ベートヴェンにしては平凡な曲ですが、それでも随所に、「違いを出そう」という意欲や努力が見える。
だから、地味だけど、ベートーヴェンらしい曲ではある。
しかし、この第9番には、そういう気合いがない。心ここにあらず状態で作曲したとしか思えない。魂が抜けている。
というわけで、この曲が、ベートーヴェンのピアノソナタ、ワースト1です。
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「ベートーヴェンのピアノソナタ・ランキング 32位から1位まで」というのを別に投稿するつもりです。
ベートーヴェンって、「前期」「中期」「後期」とか、「青年の覇気」から「晩年の成熟」に向けて成長していく、とか、そういう「物語」が過剰なんですよね。
だから、交響曲全集も、ピアノソナタ全集も、だいたい(作品)番号順に並べられて、ベートヴェンの「成長」を追って聴く、みたいなスタイルになる。
そういう「物語」を取り払って、もっと自由に扱いたい。
だから、あくまで曲単位で、ワーストからベストまで、ランキングを作りたい。
将来、私がピアノソナタ全集を録音するときは、この順に録音したいんですね。
最初に弾くのは、もちろん「第9」です。