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すみっコぐらしに泣かされて。

仲の良い従姉妹には、娘が3人いる。つい最近、ようやく3人とも小学生に通うようになった。彼女たちを見ていると、まだまだ小さいと思うときと、もうそんなに大人になったの!?と驚くときが交互にやってくる。
 
関西・関東在住とずいぶん距離はあるが、それでも年に3〜4回は従姉妹の家へ遊びに行ったりする。お土産にシャトレーゼのケーキを買っていくのが定番だ。
 
ちなみに、従姉妹の子どもは一般的に「従姪」と表記するらしい。(じゅうてつ、いとこめいと読む)聞き慣れない言葉からは遠縁の雰囲気が漂うが、恐らく私たちは世間一般のイメージよりも距離が近い。従姪は3人とも私を「なっちゃん」と呼び、家に着くなり「なあ!遊ぼう!」とせがんでくれる。
 
最初は、いないいなばあ!でニコニコしていたのに、段々とおままごとに誘われるようになり、塗り絵を共にするようになり、オセロで負けてしまい、マンションの1階にある公園での外遊びにも誘われるようになった。
 
初めて車移動が必要な場所へ出かけたのは、長女が小学校になったタイミング。「映画を観に行こうか」という話になったのがきっかけだ。まだ下の2人が小さかったから、私が長女だけを連れて。
 
 
タイトルは「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」。
 
 
長女にとって、人生初の劇場での映画鑑賞だった。当日、家まで迎えに行ったら彼女は大好きな「とかげ」のぬいぐるみをギュッと抱いて私を待っていた。なにそれ。かわいい。小学生だからなくてもいいのだけど、私が運転する車に自分でキッズシートを設置している姿を見て「しっかりしているな」と思ったのをよく覚えている。お喋りをしながら、車で15分ほど走ったところにある小さな映画館へ向かう。
 
映画鑑賞中にフードを食べることは滅多にないが、この日は特別だ。早めに到着した劇場の入口で長女の好きなポップコーンとジュースを買って、トイレもしっかり済ませてから席に着いた。
 
公開からずいぶん日が経ってからの鑑賞だったので、ある程度「大人も泣ける」と話題になっていたのは知っていたけれど、とは言え所詮は「すみっコぐらし」。長女に喜んでもらいたくて観に来たという感覚が強かった。しかし、私は後半でアッサリ泣いた。号泣。ドゥバドゥバ。
 
子ども向けだと思っていたので「はいはい、コイツがこうなってこうなるんでしょ」とある程度ストーリーを予測した気になっていたのが大間違いだった。後半は「えええええええ!?!?!?!そんなあああああああああ!?!?!?!?」の連続。あまりに切なくて涙ドゥバドゥバ。
 
おもしろかったのが、しっかり者の長女はチラチラと周りの人が泣いているのを確認してからホロホロと泣いていたことだ。わかるよ、私も小さい頃は泣く姿を誰かに見られるのが恥ずかしいと思っていたからね。今ではこんなドゥバドゥバオバサンと化しているが。帰宅後、従姉妹には「号泣じだよ!!」と報告した。
 
私自身が次回作を楽しみにしていたのもあり、それ以降なんとなく「すみっコぐらしの映画はなっちゃんと」が従姉妹家では定番化している。
 
2回目の鑑賞は、前回「映画館は暗くなるから怖くて行けない」と半泣きだった次女も連れて。私がガッツリ観たかったので「あんた!トイレ行っときや!?」「そんなにオレンジジュース一気に飲んで大丈夫か!?」を交互にそれぞれ10回ぐらい言った気がする。案の定、エンディングの途中で次女は「トイレ行きたい」と言っていた。エンディングまで頑張ったのえらい。食べきれなかったポップコーンは、従姉妹が持たせていた袋に詰めて持ち帰った。
 
ちなみに大人も楽しめるとは言え、なんだかんだメインターゲットは子どもなので映画の鑑賞時間は60〜70分に設定されている。小さい子でも比較的最後まで座っていられるギリギリのラインだ。その配慮が有り難い。
 
3回目の鑑賞では、いよいよ三女も加わった。当日は映画館のある最寄り駅で待ち合わせて、服とか小物とかも見た。当たり前だけどもう誰も、いないいないばあなんてしない。さみしい。いや、さみしいというより難しい。欲しいものが複雑になっている。なんかさっきからYOASOBIのアイドル歌ってるし。
 
まだ幼稚園に通う年齢の三女は席に座るまで手をつないだけれど、あとの2人はもう手をつながなくても迷子にならない。三女だって、別に手を離したって迷子になる確率はかなり低いはずだ。みんな大きくなった。映画鑑賞という恒例行事があると、前回との違いを通じて成長や変化をしみじみ感じてしまう。頼むフードもナゲットとかになっていた。
 
鑑賞後、小学校に入学したら使えるようにと、すみッコの文具を三女にいくつかプレゼントした。少し早めの入学祝いだ。
 
 
あれから数ヶ月。三女の小学校生活が、とうとう始まった。
 
 
すみっコぐらしの映画は、今のところ2年ごとに公開されている。そのペースが変わらないなら、4回目の公開時期、長女はもう中学生だ。中学生と言えば、親戚の大人よりも同級生と遊びに行く方が俄然楽しい頃だろう。(既に今もやんわりそうかもしれないが)もしかすると、3回目の鑑賞が、私が三姉妹と出かけられる最初で最後だったのかもしれない。
 
3人とも一緒に映画へ行ってくれなくなったら、私はひとりで行くのだろうか。いや、そういえばもうずいぶんと長い間、従姉妹と大人の買い物を楽しんでいない。そのときはようやく子育ての手が離れた従姉妹を誘って、大人っぽい映画でも観に行けばいいか。

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